2002.7.1 「夏祭り」編
例によって例の如く、です。
今日は一気にエンディングまで見ちゃいました。
案の定すぐクライマックスでしたよ。
そんな訳でGO!!
……の前に。
「あらすじで見る」ってものすげぇ便利ですね。
これを丸写しすればこの日記はかなり楽だったのでは、なんて思ってみたり。
【8/2】の続き
カカシに母親の快復を祈る少年。
その少年とカカシの間に立って祈りの邪魔になっていたのは……宏でした。
いつの間にか青空の下にいた宏。
少年と歩く宏は、そこが常盤村であることを確信しつつもどこか違和感を感じていました。
どうにも口の悪い少年に腹を立てながらも宏は我慢して一緒に歩きます。
少年曰く「今年の祭りは中止」。
理由を尋ねる宏に少年は呆れた風に言いました。
「決まってるだろ、大人の男がいないんだよ。それに食べ物もないしな……」
自分の知る限りでは祭りが中止になったことがない宏。
ならばもっと昔なら、と考えた時違和感の正体がわかりました。
電柱が無かったのです。
「今は、いつだ?」
「8月2日」
「何年の?」
「昭和20年だよ」
それはお嬢の初仕事でした。
そしていきなり自分の正体を明かしたり、死神の時計まで見せてしまったりと問題を起こしまくりのお嬢はメデスに怒られています。
この日は少年の母親の魂を回収する日。
夕暮れに。
少年の名前は春樹。稲葉春樹。
それは宏の祖父の名前でした。
これはお嬢の夢であることに宏は気付いています。
そこで思い出したのは以前『夢』で聞いたお嬢の言葉。
『ほら、約束したでしょ? お祭りは中止になったけど、2人だけでお祭りしようって』
「春樹……お前誰かと約束してるんじゃないのか?」
「え!?」
目を丸くする春樹。
「あぁ……うん……だけどな」
「なんだよ」
お嬢は春樹が来るのを待っているはず。
ここに、本当のお嬢がいるんだ。
春樹が懐から取り出したのは1本のとうもろこし。
「1本しか手に入らなかったんだ……」
「それを−−」
「お母さんに……食べさせてやりたい……」
「……お前」
宏がつかむとビクッと震えた春樹の肩。
「−−持っていかなかったんだな?」
「だって……」
薄れる春樹の姿。
「仕方ないじゃないか。後で謝るから……ごめんって。でも……なんでか今、お祭りに向かっているんだ」
最早春樹の姿は透けていました。
「…………行け春樹……。お母さんが待ってる」
「いいの?」
「お前は、お前の選んだ道を行け。お前が逃げたんじゃないってことは、おれが伝えてやるから」
「なぁ……」
「なんだ?」
「ありがとう。兄貴ができたみたいで嬉しかった」
「…………」
春樹の姿も、声も、完全に消えました。
『お嬢の望んだ春樹』が。
同時にガラガラと崩れ始めた周囲の景色。
山裾に立てられた神社に収束するように消えていく世界。
まだ果たされていない約束。
宏の鼓動も弱まってきていました。
「お嬢……」
最後の力を振り絞って走り出した宏。
お嬢にもらった命はお嬢の元へ還ろうしていました。
つまりそれは宏の死。
それを表すかのように力が抜けていく宏の身体。
それでも宏はお嬢の元へと向かいます。
「駄目なのかな……せっかく約束したのに、何度夢見ても破られちゃう……。悲しいかな……悲しいよね……うん」
神社の段に座って涙を流すお嬢。
青く黒く塗りつぶされていく空。
「ねぇ。アルキメデス……」
「…………」
「死神って、ずっとこんなことしていくの? 生きてる人と別れるだけでもこんなに辛いのに、ボクのために、みんな、ずっと会えなくなるんでしょ? そんなの嫌だよ、ボク……」
「そうですな……真実を隠してもなんの意味もない。これは始まりに過ぎませぬ。万物の理が死で終わるのならば、死神が解放されるのは生の瞬間−−」
「生の瞬間?」
「人を愛すること−−と聞き及んでいます」
胸を押さえるお嬢。
「愛って、人を好きになるってことだよね……?」
「左様」
「ボク……あの子のこと好きなのに終わらないよ? どっちかと言うと痛い……」
痛い。好きになればなるほど別れが寂しい。
自分は落ちこぼれだからきっと終われない、とお嬢。
「辛い事、嫌な事は、えてして忘れやすいものです。悲しみも時間が癒してくれるでしょう」
「忘れる?」
忘れてしまえばいいのか、とお嬢は思います。
辛いことや悲しいことは全て。
取り出したのは懐中時計。
全てを忘れようとするお嬢。
一生懸命看病してくれた姉や一人で寂しかった夜、そして男の子のことも。
もう、人を好きになんかなりたくない。
みんなみんな忘れてしまおう。
想いを込められた懐中時計。
おそらくはこうしてお嬢の記憶や『好きになる感情』は千夏さんとして懐中時計に封じ込められたのでしょう。
せめて……。
せめて、あの男の子に、この恋心だけは残したい。
消える。
世界が消える。
想いが消える。
…………。
……。
……いいよね。
チーちゃんのことも。
あったかかった女将さんのことも。
焼きもろこしのことも。
忘れていこう。
……できるかな。
忘れること、出来るかな。
あの人のこと……。
やさしかった人のことも忘れよう。
ぽろぽろと流れる涙。
お祭り行きたかったよね。
手を繋ぎたかったよね。
楽しい時間を過ごしたかったよね。
もっともっと、夏が過ぎても一緒に行きたかったよね……。
「うぅ……うぅ……」
涙が懐中時計にこぼれる。
信じてたんだよ。
きっと来てくれるって。
石段からひょっこりと笑顔がのぞくのを、ずっと待ってたんだよ。
でも、もうおしまい。
みんな、さよなら。
さよなら……宏。
お嬢が全てを諦めようとした時、お嬢に差した1つの影が。
「よっ」
「えっ……?」
「……あ、あ」
「どうした?」
笑いながら何気ない風を装って話しかける宏。
今にも死にそうな状態のくせに……くっ。
「遅くなっちまったけど、ぎりぎりセーフだな」
まだ完全に日は落ちていませんでした。
「あんまり時間がないな」
「いやだ……」
首を振るお嬢。
「いやだっ……せっかく忘れようとしたのに−−辛いことや悲しいことも全部忘れようと思ったのに……どうして来ちゃったの!? どうしてボクにやさしくするのッ!! もう、人を好きになって心が痛いのは嫌なのに−−ッ! なんでこんなに……せつなくて、嬉しくて……後で寂しくなるだけなのに……」
「説教くさいのはアルキメデスにまかせたいんだけどな……」
深く息を吸って、その全てをお嬢への言葉に。
「すごく酷いこと言うけど……おれのことを忘れないで欲しい」
「だって……」
「あのな、お嬢−−」
宏は願います。
自分の笑顔を覚えていて欲しい、と。
「おれ馬鹿だけどさ、よく考えたら、人の命を助けたいと思うのって、すごく普通のことだと思った……。辛いのも悲しいのに……自分の望むよりも幸せが遠いのも、人のために自分を犠牲にするのも、自分のために人を犠牲にするのも、決まり事破ってでも自分の大切な気持ちを守るのも、すごく当り前のことだった」
だから……
「お嬢は、悪くない」
「……悪くない……うんん。でも、ボクがいなかったらみんな笑ってた。やっぱり、人の幸せを奪うことはいけないんだよ……」
「うん、だからさ。消えた人や、残された人のために泣いてやれる、落ちこぼれの死神が大好きだった」
「おれは、死神とか人間とかじゃなくて、お嬢のそんなところが好きだった」
リリン−−。
宏にしがみ付いてきたお嬢。
「嫌だよ! なんで消えるの! おいてかれるのがどんなに辛いか分かってるの! どうして、みんなみんなボクをおいてくの!」
「ごめんな」
既に薄くなってきた手でお嬢の頭をなでる宏。
「やだよ……約束したのに……一緒に夏祭り行こうって言ったのに」
「ごめんな。ほんと、ごめん……だけど、その悲しさとか、痛さから逃げないでくれ。悲しさや痛さは、楽しさの裏返しだから。それを知っていれば、みんなをもっと好きになれるから」
普通の女の子として暮らせるから……。
「あなたじゃなきゃいけないのに……」
「……うん」
ごめんな。
もう言葉が出ない宏。
がんばれ。
さよなら。
ありがとう。
そんな想いを全て詰め込んで宏はお嬢を抱きしめます。
お嬢に見逃してもらった命でこんなにも幸せになれたから。
今度はお嬢に幸せになって欲しいから。
忘れ物、届けたよ……。
神社。
千夏さんという存在が指の先からきらきらとした光の粒子となって消えようとしていました。
果たしてお嬢の元へ還ることができるのかどうかわからない千夏さん。
そんな千夏さんを心の中から励ますのは華子。
「私は、あなたがあなたであったことに感謝します」
(気にするな。こっちは気まぐれだ。ケセラセラって笑い飛ばせ)
「はい」
そう言って覚悟を決めた千夏さん。
手の中で光るのは懐中時計。
心の奥にある3つの暖かみ。
それは少しでも2人の助けになるように手に入れた3つの”逝き場のない愛情”。
無関係な人間を巻き込み、怒らせ、新しい憎しみや悲しみを生み、時には人の生き死にさえも変えてきた。
「許してください……そう言うには、私は確信的過ぎました」
(顔を上げて涙を拭え千夏……過去は戻らない。今は前だけを見据えろ。残った連中には、謝っといてやる)
「……はい」
顔を上げる千夏さん。
『千夏』とは少年とお嬢が考えて、ノートにたくさん書かれた名前の中のちっぽけな存在。
その役目はもうすぐ終わろうとしていました。
千夏さんは世界をぐるっと見渡しました。
それが千夏さんの見る最後の景色。
「…………」
最後に見つめたのは倒れている宏。
すでに心臓が止まっていましたが、まだ運命に抗っている宏の姿。
私も、あなたが好きでした。
私は、ワタシに還るけれど−−。
この私も、1人の女の子としてあなたのことを好きでした。
あの子と私の立場が逆ならば、どんなに悲しくて幸せだったのだろう……。
そんな風に『もう1人のワタシ』に嫉妬したこともあった千夏さん。
(今も、本当にそう思っているの……?)
千夏さんは笑顔で首を振りました。
「いえ……私は、私であったことに感謝します」
「ありがとう」
(ありがとう)
そして全てが光に包まれました。
みーんみんみん。
「…………」
青空の下、神社で目覚めた宏。
とても長い夢を見ていたような気持ち。
「…………」
何か大切なモノを忘れているような気も。
「おはよう」
「え?」
いつのまにそこにいたのか(最初からいたんだろうけど)境内の真ん中で煙草を吸っている華子。
「夢を見たって顔をしてるな」
「あ、ああ……」
「どんな夢だった?」
「……そうだな。おかしな夢だった。名前のない死神の少女をここで拾って、お前にも死神が取り憑いていて。ちとせは病気で手術することになって、おれ、死んだはずなんだ」
「おかしな夢だな」
「……ああ」
笑い出した宏。
楽しくて仕方が無くて。
だって、傑作だよ……。
宏の手の中には金色の懐中時計と七夕の短冊が。
短冊に書かれた下手くそな字。
『探し物、見つかりますように』
「…………」
「ほら、家に帰るぞ」
「……ん」
見上げた華子の胸にも金色の懐中時計がぶら下がっていました。
「なぁ……先に帰っててくれないか」
「置いてっていいのか?」
「ああ」
「後悔しないな?」
「ああ」
「なにするんだ?」
「少し、泣いてから帰ろうと思う」
マジマジと宏の顔を覗き込んでくる華子。
がんばれよ、と言い残して華子はそのまま消えていきました。
みーんみんみん。
泣こうにも平和すぎて呆然としてしまうような光景。
「…………」
辛いことや悲しいことは、得てして忘れやすいもの。
そんなメデスの言葉を宏は呟きました。
光がまぶしくて、短冊で日を遮ると……裏には別の文字が透けて見えました。
「……あ、あはははは」
腹が痛いほど笑う宏。
こんな傑作な夢を見たなんて……。
立ち上がって神社の一角に植えられた竹に走り寄り、宏は短冊を吊るしました。
「よし!」
結局泣けないまま。
泣いちゃいけないと思って。
絶対に泣いてやるもんか、と。
「おーい華子! 今日は海に行くぞー!」
セミの鳴き声に負けないくらいの大きな声。
もう一度だけ短冊を見つめて宏は思います。
待っている。
おれはこの村で待っている。
だから、またな。
短冊に書かれた文字。
『また忘れ物をしました。今度の夏、とりに行きます』
『追伸……』
『浮気したらぽかぽかだぞ!』
夏祭りにて。
人混みの中で誰かを探している宏。
射的でたくさんの景品を手に入れてゴキゲンな華子。
すっかり元気になって、今でもメデスを持ち歩いているちとせ。
そして……。
「あっ! 居た居た!」
宏が探している人。
「へへ、到着」
お嬢。もう『名無しの少女』ではありません。名前表記も『少女』になってます。
「何だよ、どこ行ってたんだよ。せっかく買ってきたのに、もう冷めちゃったかもな」
「ええ〜? まだだいじょうぶだよぅ」
宏から焼きもろこしを受け取ると早速かぶりつくお嬢。
「んぐ……がう……ボクね……あぐ……人と喋ってたんだよ」
「人? 誰と?」
「ん〜? 名前は知らないよ。男の子でね、橘学園に通っているんだって」
「…………」
「でね、んぐ……ボク、学園の事、色々聞いちゃった。それでボク、すっごく楽しみになってきちゃったよ」
「そりゃ良かったな」
「うん。チーちゃんと一緒のクラスになれるかなって、ボク今からどきどきなんだ」
夏が終わったら一緒の学園に通うとことになっていたお嬢と宏。
もちろん通う部は違いますが。
「ん? どうかした?」
「いや……」
もう独りではなく、多くの人と出会い、喋っていくであろうお嬢。
自分もそのうち、それらの人の波に押しやられてしまうのだろうか、と宏は思います。
要するに『その他大勢』になってしまうのではないか、と。
「ん〜……」
宏の顔を睨んできたお嬢。
「ん?」
「えいっ!」
「お、おい、こんな所で……」
「へへ……だいじょぶだよ!」
「で、でも、周りに人がたくさん居るぞ?」
「心配しなくていいの。だってボクには、あなたしか映ってないんだから」
「…………」
「もう〜、ほんと、可愛い!」
「わあ〜! お姉ちゃん、見て見て! あのふたり、抱き合ってるよ!」
「いやはや、お熱い事ですなあ」
「ひゅ〜ひゅ〜」
「ひゅ〜ひゅ〜」
「や、やはり見られている……」
「へへ……」
「……なあ」
「うん?」
「夏が終わって、秋が来ても……ずっと、一緒に居ような」
「うん!」
「秋が終わって、冬が来て、春になったって、ボク達、ずっと一緒だよ」
季節はめぐってゆく。
否応も無く、ふたりを次の季節に連れてゆく。
秋の暮れていく薄墨の中にあっても。
冬の吹きすさぶ寒風の中にあっても。
春のうららかな午後の中にあっても。
また夏が来ても……。
それでも、おれ達は一緒に先へと進むのだろう。
「ずうっと、ね」
クリアーー!!!!
おめでとう俺!!
お疲れ様俺!!
ありがとう「水夏」!!
愛してる、お嬢!!
と言う訳で無事クリアいたしました。
何はともあれおさらいです。
まず『お嬢』という存在について考えてみます。
やはりお嬢はメデスの語っていた姉妹のうちの妹でした。
メデスはその妹の願いから生まれた存在で。
そしてその初仕事は何故か遠く離れた日本での仕事であり、それは宏の祖父である春樹の母親の魂を運ぶこと。
初仕事という事もあり、お嬢は春樹と仲良くしたり自分の正体を教えたりとやりたい放題。
結果として春樹と仲良く……平たく言えば春樹のことが好きになります。
そして中止になってしまった夏祭りの代わりに、2人だけで夏祭りをすることに。
でも春樹はお嬢の元へ現れませんでした。
それは春樹の1つしか手に入れることが出来なかったとうもろこしはお嬢ではなく、死に瀕している母親に上げたかったから。
結局春樹はお嬢の元へは向かわずに母親の所へととうもろこしを持って行きます。
独り神社で春樹を待ち続けたお嬢の気持ちはどんなものだったのでしょうか。
そして数十年が過ぎ……お嬢がまた常盤村にやって来ました。
今度の仕事は宏の母親の魂の回収。そして宏の魂の回収でした。
宏と仲が良くなったお嬢ですが、それは春樹の面影を宏の中に見出していたのかもしれません。
春樹とお嬢が会った時の夏祭りが中止になっていた以上、お嬢と夏祭りに行ったのは宏でしょう。
その後宏の母親は宏の祈りも空しく天に召されました。
それをお嬢のせいにして、お嬢をなじった宏。
泣き出したお嬢から逃げ出すように走り出して……交通事故。
それすらもお嬢の『仕事』の範疇だった……とは言いません。
でもいずれにせよ宏の死は運命と言う名の予定通りでした。
しかしお嬢は宏に自分の命の半分を分け与え、その命を救い姿を消しました。
そしてさらに月日は流れ……三度お嬢は常盤村に。
「神様に忘れ物を探すように言われてきた」とお嬢は言いましたが、同時にしっかりと『仕事』もありました。
律や女将さん、そしてちとせの魂の回収です。
宏がお嬢の姿を見る事ができたのはちとせの運命が決まっていたからでした。
お嬢は宏と再会してすぐに命を半分分け与えた少年であることに気付き、行動を共にすることに。
お嬢がたびたび身体を壊していた理由がいまいち分からないのですが……それはやはり宏に命を半分分けてしまっていたことによる負担から来ているものだと思います。
だからこそ神様はお嬢に探し物をするよう命じたとは考えられないでしょうか。
神様の狙いが宏の命を捨ててお嬢を助けることにあったのか、もしくは今回のような結果になることが分かっていたのかどうかはやっぱりわからないんですけどね。
おそらくお嬢は『消える』寸前まできていたのでしょう。
不老不死である死神の命は半分でも人間の命としては事足りても、死神の命としては足りないものだった、と私は考えました。
ならばお嬢が消えてしまうのを防ぐ方法は……と考えてまず浮かんでくるのが『宏に分けた命を返してもらう』ことでしょう。
宏がやろうとしたのはそれでしたし、実際それは成就されそうになりました。
でもそれは最終的には成就されることはありませんでした。では何故成就されなかったのかと言うとお嬢が助かるもう一つの方法が成就されたからだと思います。
もう一つの方法とは「お嬢が人間になること」。
さきほど申し上げた通り、死神の命は半分でも人間には事足りるのです。
ならばお嬢が人間になれば……つまり死神から解放されれば問題はありません。
となると後はお嬢が人間になるにはどうすればいいのか、となります。
それはメデスが言ってました。
「人を愛すること」
それこそが死神を解放する唯一の方法です。
愛情を知れば死神という運命から解放される……奇しくもそれは己の死によってお嬢を救おうとした宏によって、お嬢は知ることになりました。
同時にそれは昔自分から捨てた恋愛と言う感情と記憶である『千夏』を受け入れることにも繋がります。
そうしてお嬢は人間となり、宏と共に歩んでいくことができるようになりました。
神社から消えた後、お嬢がどこに消えてしまったのかはわかりません。
でも短冊にメッセージを残していったりしていたところを見るとその場にいたことは間違いなく、消えてしまっていた訳ではないのは明白です。
やはり死神ではなくなってしまったので後処理みたいなものがあったんでしょうかね。
神様に「今までありがとうございました」とは退職の挨拶をしに行ってたりとか……。
その後常盤村に帰って来たお嬢はちとせと一緒の学年として学園に通うことになっていました。
戸籍等をどうしたのかが気になりますが、その辺は全ての事情を把握していてかつ常盤村においてはドデカい権力の持ち主となっていた華子の力によるもの、と考えるのが妥当でしょう。
とにかくこうしてお嬢は幸せになりました。
次に千夏さんについて。
上記で述べたように千夏さんはお嬢が懐中時計に封じ込めることにより捨ててしまった恋愛という感情や記憶の一部です。
それ故に彼女はおそらくあまりにも純粋な命だったのではないか、と推測できます。
なぜなら彼女を構成しているものは恋愛と言った感情のみなのですから。
そんな彼女の望みはお嬢の元へと還ることでした。
しかし当然お嬢は千夏さんを拒むであろうし、ただ1つになったとしても死神を続けるだけの存在となってしまいます。
恋愛と言うあまりに人間的な感情そのものである千夏さんがそんなことを望むはずがありません。
そこで千夏さんが考えたのは、やはりお嬢を人間にすることだったのではないでしょうか。
より強い愛情と共にお嬢の元へと還ることができたのなら、お嬢と共に自分は人間になれる、と。
ただ千夏さんがお嬢に還るだけでは2人が分かれる前と同じです。
春樹のことが好きだったお嬢ですが、それは子供の「好き」であって、愛情とまではいかないものだったのでしょう。
そこで千夏さんの行ったことが「愛情集め」。
他人の持つ『愛情』と言うものと一緒にお嬢へと還れば「人間になるために必要な愛情の量」に足り、目的を果たせると考えたのだと思います。
その行動を起こすための身体として白羽の矢が立ったのが華子。
千夏さんは愛情を集めました。でもそれはただの愛情ではなく『逝き場のない愛情』です。それも3つ。
『3つ』と言う数……これは言うまでも無く1章から3章までのことを言っています。
つまり3つの愛情とは1章の伊月、2章の律、3章の茜を指しているのでしょう。
ここで重要なのは『行き場』ではなく『逝き場』であること。しかも『愛情』の。
千夏さんは初めから伊月達の『愛情』が成就されないことを望んでいたとしか思えないのです。
言い方は悪いですが、どこにも向けられなくなってしまった愛情を掠め取る事により目的を達成しようとしていたとしか。
伊月を幽霊として蘇らせ、茜を助け、律に……何をしたのかはわかりませんが、とにかく千夏さんは自分達のために彼等を利用したのです。
その事を涙ながらに謝る千夏さんですが、それでもその行為を止めようとはしなかったでしょう。
何故なら彼女はあまりにも純粋な存在であり、『恋愛』と言う全てに対して優先される(いわば最も自分勝手な)感情そのものだから。
その行為はお嬢のためであり、ひいては自分のため。
彼女は最も自己中心的な存在である、と言えます。
それに対してお嬢は全く逆である、と言えるでしょう。
あくまで他人のために頑張り続けてきたお嬢と、自分のためには周りに構わない千夏さん。
相反する2人が1つになって……出来上がるのが『人間』である。
そう考えるのは穿ちすぎでしょうか。
とまぁグダグダと述べてまいりましたがんなこたどーでもいいんです。
お嬢は幸せになった!!
ちとせも幸せになった!!
これだけで満足です。
あ〜、とにかくこれで「水夏」も終わった終わった。ふぅー、長かったぜ……。
と思ってメニューでクリア後に見られるようになる『幕間』を見てみました。
そこにあったのは『追憶』。つまり好きな場面を見ることができるのですが……シナリオ達成率:83%。
まだ1/5も残ってるんですか?
まぁ途中の選択肢によって見られなかった場面とかがある程度なんだろなぁ、とかすかな希望をもってちょっとネットで検索してみました。
んで一応クリアしたからいいかな、と攻略系のページを見てみたのですが……エンディングは4つもありました。
今回のエンディングはお嬢系のトゥルーエンディング『夏祭り』だそうです。
残るエンディングは以下の3つ。
- お嬢系のグッドエンディング『学生服の少女』
- ちとせ系エンディングの『お土産』
- バッドエンディングの『鬼籍』
これらは仕方ないので攻略を見ながらダッシュでやってしまいます。
やや気持ちが咎めないでもないのですが、いい加減長くやりすぎたのと『夏祭り』こそが真のエンディングだと信じて疑わないのが理由です。
次回より残るエンディングをクリアしていきたいと思います。
それでは以下次回!!