2002.6.27 「宏、偉い!!」編


果たして……宏に自分が死神であることを告げたお嬢は……。

 

【7/26】の続き

自ら死神であることを告げたお嬢は食欲がありません。元々具合が悪かったし。

そんなお嬢を何とか起こして宏は食事。

『お食事は、いつも通り2人前でよろしいですか?』

そう言った旅館の人。それで宏はお嬢の姿が自分達以外の人間には見えていないことに気付きました。

お嬢は死神であることに触れられるのが嫌なようです。

「先に言っておくが、お主や大方の人間が理解しているようなものでは無い。死神とはな」

死神とは魂の運び手であり、それ以上でも以下でもない、とメデスは言います。

できるのは魂を移動させるのが精一杯。魂を刈り取る鎌など持っていない。それが死神。

常に『死』と近いところに居るお嬢。

「……人に嫌がられるから……だから、隠して?」

「そうなんだ。でもね……元からボクは、人と会う事はほとんど無いから」

「……神社で野宿をしているから?」

緩やかに首を振るお嬢。

「ボクはね……死に近い人にしか見えないから……」

「…………」

「だから、普通の人の目には入らないんだ。……隠すも隠さないも無いんだよ……」

「……? 待ってくれ……死に近い人って、どういう意味なんだ?」

「……これから、死んでしまう人」

「…………!」

「それに……自分の愛しい人が、死んでしまう人」

「……愛しい……」

「他にもあるかもしれない……。良くは、分からないから」

最早宏にはお嬢の声が聞こえていませんでした。

お嬢の言葉から連想される1つの事実。

お嬢の姿が見えていた人間……父親、女将さん、華子、ちとせ、自分。

「!?」

まさか……、と宏。

ちとせの手術は近く行われる予定でした。

うまくいく確証など無い手術が。

「まさか……」

「…………」

「な、なあっ!」

お嬢の肩を強く掴む宏。

「ちとせなんだろ!? ちとせが死ぬんだろ!?」

「…………」

「やめてくれ! なあ、頼む、やめてくれよっ! まだ! おれはまだ、全然あいつと遊んでやってないんだ! たくさん約束があって……何一つ叶えてやってないんだよッ!」

だから……、と床に額を擦り付けんばかりに宏は頼みますが……ああ、やめてくれ……辛い……辛いよ。

「……無理だよ」

恐る恐る上げた目に入ってきたのは強く強く握られたお嬢の手。

「……お主は、さっきの話をもう忘れてしまったのか」

死神とは魂の運び手に過ぎず、お嬢にはそれを制御する手段は無い、とメデスははっきりと言いました。

「ああ……」

だから女将さんの死も止める事ができなかった……。

「お嬢は分かっていたんじゃないのか? ……買い物に行ったあの人が、死ぬ事になるって……」

「当たり前だよ」

何のためらいも無く言うお嬢に、宏はやはり自分とは種別が違うのだという事を認識。

「やっぱり……言わない方が良かったかな?」

そこでお嬢が始めて浮かべる表情……それは笑み。

「嫌だよね、ボクの事。嫌になったよね?」

  ○…………。

  ○そんな事、無い。

 

 

 

 

ある訳無いだろう!!!

 

何の悲しみも無くお嬢がこんなことをしているとでも思ってると思ってるのか!?!?(変な日本語)

こんなにも優しいお嬢が……こんなにも悲しい運命に立たされている……。

『嫌になった』だと?

んな訳あるか!!

愛しい……愛しいよお嬢!!!

 

「……そんな事は無い」

きっぱりと言った宏。えらーーーーい!!!!

混乱しきった頭の中で、唯一はっきりとした気持ち。

「……そんな事は無い」

「ん〜……」

突然悩みだしたお嬢。

「……ほんと?」

「ほんとだよ」

「ほんとにほんと?」

「ほんとにほんと」

「ほんとにほんとにほんと?」

「ほんとにほんとにほんと」

 ・

 ・

 ・

「はー、はー、はー……」

「ぜはー、ぜはー、ぜはー……」

なんとなく「Kanon」の『あゆ子供バージョン』を思わせるやり取り。

「ほんと〜に、ボクを嫌いになってないんだ」

「もう、いいって……その繰り返しは」

「ん〜……でも、もう1回だけ。ね」

ピンと指を1本立てるお嬢。

真剣な顔を可愛い、と思う宏。怖いぐらい同感だ。

「ほんと〜に。嫌いになって無いよ」

とりあえずちとせのことは置いておくことにする宏。

そう……今は目の前の大切な存在を守るために……行け宏!!!

「へへ……」

花開くように相好を崩すお嬢。

「嬉しいな。ほんとに」

気が抜けたのか、突然お嬢のお腹の虫が鳴りました。

もう宏は食べ終わっていたのですが「一緒に食べよう」とお嬢。

「こっちに来てよ」

ふたり並んでご飯を食べる2人。

隣に座るお嬢の横顔。それは宏にとっては普通の女の子に見えて。

死神などとは決して呼べなくて。

種別が違うなんて思った自分がひどく馬鹿らしく思えるほどのお嬢の横顔。

そしてふと宏は思いました。

 

死神である気持ちは、どんなものなのだろう……?

 

【7/27】

例によって悪夢を見た宏。

それでもお嬢に汗を拭きとってもらえるなら悪夢も悪くないかな、なんて思ってみたり(俺が)。

いつも通り美味しそうに朝食をとるお嬢。

でもそこに女将さんの姿はありません。

そのことを宏は悲しいと思いますが、ではお嬢はどうなのか。

女将さんの死を悲しいと思っているのか。

悲しくはないのだろう、と宏は思います。

死に対して一種の不感症にならなければやっていけないはず……確かに。

でも。

お嬢はひとりぼっち(メデスは置いといて)。

誰とも繋がりを持てず(メデスは置いといて)。

あるいは、親しくなった人は目の前から永久に消え失せ。

あるいは、親しくなった人はその人の愛しい人の死に悲しむ。

いつか耐え切れなくなる時が来るはずだ、と宏。

死神でさえなければ……そう宏は思わずにいられません。

「なあ、お嬢」

「ん?」

「食べ終わったら、ちょっとつき合ってもらいたい事があるんだけど、いいか?」

「つき合ってもらいたい事? 何?」

「ちょっと……な」

 

宏の用とはお嬢に服を着てもらうことでした

と言っても今まで裸だった訳ではなく女将さんが前に用意してくれた服に着替えてくれ、という事です。

それには女将さんの厚意に答えると言う意味もあったのでしょうが真の狙いは別の所に。

お嬢が普段着ている真っ黒な服が『死』を連想させる、と。

宏は少しでもお嬢から『死神であること』を遠ざけないのです。……ううっ、いい奴だ。

目の前には服の山。

むずがるお嬢を何とか説き伏せ、着替えさせることに成功。

お嬢が着替える間は廊下で待っていようと部屋を出ようとした宏……と止めるお嬢。

「どこ行くの?」

「……いや、だから、通路で待ってようと」

「やだよ、そんなの」

「は?」

「部屋の中に居て。じゃないと、着替えないよ、ボク」

何ですとーーー!?!?

「…………」

目の前の宏を全く気にせず浴衣を脱ごうとするお嬢。

慌てて宏はその腕を掴んで止めますが……

「ん? 何?」

「あ、い、いや……」

「手、掴んでたら、着替えられないよ?」

んで『にこー笑い』。ハイ、宏の負け。

宏はお嬢がこの手の事には無頓着だったことを思い出しました。

しかしちとせと同じくらいの年頃の女の子の着替えを言うのは……と宏。

  ○これでいいのだ。

  ○良くない。

いいんです!!!

「……分かったよ。じゃ、見てる」

「うん」

グッ(←手を握る音)

そして浴衣を脱いでいる最中に身体の力が抜けてしまったお嬢……まさかここまで来て!?

「おーい! 宏!」

ばっ、と開いたふすま。やってきたのは華子。

「……ん?」

「あ」

「…………」

すたすたと歩み寄ってきたかと思うと……

「誅殺」

どがっ!!

「あうっ!」

顔面に蹴り。ま、そーなるわな。

「警察は110番……と」

携帯を取り出す華子。

「いたいけな少女を毒牙にかけようとしている野郎が居ます……でいいかな」

「ま、待ていっ!」

携帯を奪い取って受話器に耳を寄せると「警察です」の声。

ほんとにかけてやがった。さすが華子の姐さん。

「…………」

電話を切る宏。

「あ……。お前ね、やめてよね、悪戯電話になっちゃうじゃない」

「本気でかけるなぁっ! ……まぁ、ともかく、おれの話を聞け」

宏は華子に説明。

その間にお嬢の身体も元に戻ったようです。

とりあえず無理矢理宏がお嬢を……って訳じゃないことは華子にわかってもらえました。

それでも宏を廊下に出そうとした華子ですがお嬢の宏がいなくちゃ着替えない、という言葉にため息。勝負アリ。

 

そして始まったお嬢のファッションショー!!

キャー!! ブラボー♪

とりあえず下の下着を残してお嬢は真っ裸。

「何だよ、その顔は」

「……犯罪者」

「うるさい」

これにしよ、とお嬢が選んだのはお嬢様っぽいワンピース。

こ、これは……。

「どうかな?」

「あ、ああ……いいんでない?」

「ほんと?」

にこー笑い。

「声が上擦ってた」

「黙れ」

次に選んだのはセーラー服。

ああ……。な、なんですと……?

「どう?」

「うんうん。いいっす」

「ほんと?」

にこー笑い。

「顔が緩んでる」

「お前は帰れ」

さらにお嬢が選んだのはメイド服。

た、たまらん……。

「いい?」

「いー! いいっす!」

「鼻の下が物理的に伸びてるわね……」

「何とでも言いやがれ」

 

堪能させてもらいました。

もう満腹です。

ちなみにメイド服は2章で蒼司が持っていたやつでしょうか。

となるとやっぱりあの時のは千夏さんじゃなくて華子ってことですね。

 

華子は宏に以前した質問の答えを聞いてきました。

村に留まるか、施設に帰るか。

こんところのゴタゴタのため一端宏は答えを保留。

「ところでお嬢は、どうしてこの村に来たんだ?」

え? ボク? とお嬢。

「え〜とね、言われたの。ここに忘れ物があるから、探してこいって」

「忘れ物? 良かったら、おれも手伝うけど」

「う〜ん、でもね、ボクも分からないんだよ」

「何が?」

「ボクが、何を探せばいいのか」

「…………」

そう言えばお嬢は記憶が無いんだった、と宏。

っつーかそれ本当にホントなの?

「そんなんで、見つかるのか?」

「どうだろうね? ボクにも分からないよ」

華子に探してこいって言った人に訊ねてみれば、と言われてお嬢はその人にはなかなか会えないと言いました。

「ボクに探せって言ったのは、神様なんだ」

「…………」

「なんでやねん」

びゅしっ!

「……どうして?」

「お嬢のギャグは、ハイブアウすぎて分からないって」

「ギャグじゃ無いんだけどな……」

ぶちぶち文句を言うお嬢。

まぁ本当なんでしょうけど華子の前で言っちゃあいけませんね。

っつーか『神様』って、これまた曖昧な表現ですねぇ。

 

3人でちとせのところへ向かいますが、ちとせは病院にいったとかで居ませんでした。

そして華子と別れてお嬢と旅館へ。

石を蹴って遊ぶお嬢を見ながら宏は不思議な感覚に囚われました。

それは誰とも交わることもなく生きてきて、これからもそうであろうお嬢に対する感情。

哀れみか、悲しみか、それとも全く別の感情なのか。

「これから、遊ばないか?」

「遊ぶ? あなたと?」

「そう」

「うん、いいよ。遊ぼ! 遊ぼ!」

手を繋いだ状態で(羨ましい)飛び跳ねて喜ぶお嬢。

「それじゃ、何をして遊ぶ?」

「そうだな……」

  ○野球。

  ○サッカー。

  ○麻雀。

う〜ん、野球もサッカーも人数が足りませんねぇ。

だから麻雀に決定。……って麻雀は4人(or3人)でやるものですって?

大丈夫です。

世の中には2人麻雀なんてものを考えたスゴイ人がいるのです。

それなのに宏ってば「ふたりじゃ出来ないよな」なんて言ってます。モノを知らんやつです。

「じゃあね……ボク、泳ぎたいな」

それで決定。

商店街で水着を買って一路海へ。

 

海はもの凄い人込みでした。

ただでさえお嬢は普通の人には見えないので危ないことしかりです。

そこで人の少ない場所を思い出した宏(3章で良和達が行ったところでしょうか)。

  ○海岸線をひたすら歩く。

  ○海に向かってひたすら歩く。

それこそ『なんでやねん』ですね。

とにかく泳げないお嬢に指導したり、溺れるお嬢を助けたりとスクール水着のお嬢と楽しく戯れた宏でした。

 

手を繋いでお嬢と歩く宏。

途中で現れた華子に冷やかされたとしても俺は羨ましいです。

華子はそこで拾ったという帽子を持っていました。それはさやかさんの帽子でしょう。

なるほど……この日はちょうど蒼司がさやかさんに守ってみせることを誓った日なんですね。

宏が見覚えがある、なんて言ったもんだから華子はそれを押し付けて去っていってしまいました。

でも宏はさやかさんの素性なんて知りません……と思ったらお嬢が知ってる、と。

そこでお嬢が届けることになしました。

なるほど……お嬢が律に帽子を返せたのはこーゆー訳だったんですね。

 

歩きながら突然身体に力が入らなくなったお嬢。

宏におんぶしてもらってお嬢は楽しそうでしたが、その身体の軽さに宏は悲しみを感じるのでした。

 

 

それにしても4章長ぇよ!!

さすが本編……と言いたいところですが、一体残りどのくらいなんでしょうか?

焦ってゲームをやるのはあまり好きじゃないんですが、後がつかえてますので……。

それでは以下次回!!


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