2002.6.22 「やべぇ……マジで可愛い……」編


さぁ行きましょう。

 

【7/16】

夢にうなされて起きた宏。あれは……人の顔でしょうか?

目が覚めると顔を覗き込んできていたお嬢。

うなされていた宏を心配して窓を開けてくれていたようです。うん、可愛い(関係無い)。

布団の畳み方を教えるとお嬢はいざチャレンジ。

何度か挑戦して何とか畳むことに成功しますが、その間お嬢は妙に楽しそう。

もちろん成功したあとは「にこー笑い」です。

 

いきなり浴衣を脱ぎだしたお嬢……ってなにぃ!?

「浴衣って妙にスースーするから」

「…………」

宏が自分が居るから、と止めても聞かずに浴衣を脱いでしまったお嬢。

宏曰く「それはとても薄い胸で、ただ乳首だけが、女の子であることを示している」とのこと。

つーか目ぐらい逸らせよ宏。

その後トイレに駆け込んだ宏はそこで何をやったのやら……。

 

朝食。

お嬢は相変わらず魚などを食べません。

それでも吸い物には口をつけますが、宏が鰹節でダシを取っていることを言うと気が引けてしまった模様。

「生きていたんだよ?」

「え?」

「生き物は、生きていたんだよ? でも、食べられる時は死んじゃうんだ」

「そりゃ、ま、そうだけど……」

「たぶん、死にたくないと思っていたよね?」

野菜などは何も考えないし、思わないから……とお嬢。

「栄養には……気を付けろよ」

宏が言えたのはそれだけでした。

 

旅館を出て実家へ向かう宏。

そして宏の服の裾を掴んで付いてくるお嬢。どうやら何が何でも付いてくる気のようです。

暑い暑い、とアルキメデスと話ながらお嬢は歩きます。

お嬢の呼び名を決めようという宏の言葉にお嬢は言いました。

「じゃあ……”お嬢”って呼んでよ」

「あぁ、腹話術でぬいぐるみが使っている呼び名な。分かった」

「…………」

「お嬢。そろそろ、真実を明かしてもいいのでは?」

この男、そう悪人でも無い様子、とアルキメデス。

するとお嬢は木陰で宏を手招き。

「ほら、ご挨拶して、アルキメデス」

「いや、腹話術なら……」

エヘン! とアルキメデスは喉(?)を鳴らすと……

「我が輩は猫である! 名はアルキメデス! 無機物ではあるが、まあ気にするな!」

「…………」

パチパチパチ。

とりあえず拍手。

「ふむ。早くも我が輩の歓心を得ようというのか。感心だな!」

「いや、ほんと上手いと思うよ。プロ級なんじゃないか? 今のダジャレも、まぁナイスだ」

腹話術じゃないと言ってもどうしても信じない宏に、きりっと口を結んで顔を突き出すお嬢。

一瞬キスでもして欲しいのかと思いましたがどうやら口を押さえろ、という意味の様子です。

それでもベラベラしゃべるアルキメデス。

「……リアル?」

「リアルリアル」

「現実感無き現代において、現実(リアル)を得られることの何と尊いことか。もうちょっと喜んだらどうだ? 遠慮はいらんぞ」

「…………」

何で猫に偉そうな事を言われなければ……と嘆く宏ですがそれ以前の問題かと。

「嬉しいなあ」

宏とは裏腹に笑みを浮かべるお嬢。

「秘密を共有できるって、嬉しいよねぇ」

俺はお嬢の笑顔を見られるのが嬉しいです。

 

やってきた宏の実家。

そのドデカい家にお嬢も浮かれた様子です。

「お兄ちゃん!」

「おう」

ベッドで半身を起こして大きく手を振る妹のちとせ。

ちなみに既に『ちとせボイスパッチ』は適用済みです。ふっふっふ。

見たところちとせは何歳ぐらいなんでしょうか……小学生?

大きく見積もっても中学1・2年かと。

お嬢を紹介するとちとせはとても嬉しそうな顔になりました。

身体のせいで外に出られないちとせは友達が少ないんだそうです……ってまた病弱系の話ですか。

駄目だって……俺最近ソレ系に弱いんだから。

「こんにちは」

元気に挨拶 with 「にこー笑い」。

「こんにちは……うわー、可愛いぬいぐるみ」

「……可愛い?」

宏の気も知らずにちとせはメデス(宏に習ってこう呼びます)に釘付け。

そして自己紹介。

「初めまして。わたしは、稲葉ちとせです」

「あ……」

「…………?」

「山田花子だっけ?」

「う……」

「いやいや、綾小路紗耶香だったか?」

「あう……」

「…………?」

きょとんとするちとせ。

「……ぽかぽか」

「ぽかぽか」

自分は『太陽の戦士ポカポカ』であると名乗った訳ではないのは確かです。

「殴打の擬音だな」

「からかったから?」

「ほんとにぶったら痛いもん」

  ・

  ・

  ・

  ・

なんて可愛いヤツなんだよ、お嬢!!

 

可愛い!! 可愛すぎるよ!! はうぅぅぅ。

 

「……ぽかぽか」

「……ぼかぼか」

「……ぐしゃぐしゃ!」

「ぐちゃっ、ぐちょっ!!」

「……エスカレーションが凄まじいな……」

それはともかく宏はちとせにお嬢が名前を覚えていないことを説明。

それを聞いてちとせが言いました。

「名前が無いと……不安じゃない?」

「…………!」

不安だよ、とお嬢。

「凄く、不安なの」

「…………」

名前は拠り所であり、拠り所とは安心を与えてくれるものだ、と宏は思います。

だからお嬢は不安で……。

すいません。

俺、実はお嬢は名前を覚えていないんじゃなくて、実は言わないだけなんだと思っていました。

疑ってゴメンよお嬢……。

「大丈夫」

ちとせはにこっと笑って両手をお嬢に向かって差し出しました。

「自分の名前なんだもん。きっと、思い出すよ」

ぜったい、とちとせ。

「うん」

お嬢はそう言ってちとせの手を握り締めるのでした……。

 

父親に会えないままが続く宏。

部屋に戻ってくるとお嬢とちとせはあやとりをしていました。

ちとせの指から取れなくて悩むお嬢の代わりに見事あやとりをやってのけた宏。

しかも宏オリジナル。

「名付けて、蟹工船」

お前はのび太か。

どうやら宏はちとせの相手をしているうちにあやとりが上手くなったようです。

オリジナルを編み出す程上手くなるまでちとせをあやとりをやっていたところに宏の優しさが表れてると思うのですがいかがでしょう?

そしてちとせの身体に負担をかけるといけないのでまだ遊びたがるお嬢には悪いけど帰宅タイム。

「じゃ、ちとせ、おれ達は帰るな……また明日来るから」

「うん、また明日。お嬢ちゃんも。絶対だよ」

その呼び方が妙で思わず吹き出してしまった宏でした。

 

帰り道。

「チーちゃんって、どっか身体悪くしてるの?」

チーちゃんとはちとせのこと。すっかり仲が良くなったようです。

心臓に障害を抱え、学校に通うこともできないちとせ。

そのことを説明すると……

「……命に関わる病気なの?」

「…………!」

宏はショックを受けながらもそれを否定。まるで自分に言い聞かせるような口ぶりが……痛いです。

「女将さん……」

「え?」

「女将さんも……病気?」

「……?」

お嬢がそう思う理由はさっきと同じ『何となく』。

宏は女将さんが病気なんて聞いたことがないのでそれも否定。

それを聞いてもお嬢の顔は晴れません。

何となく揺れているように見えるお嬢。

「お嬢?」

「…………」

そしていきなり倒れてしまったお嬢に慌てる宏とメデス。

宏がお嬢を抱えたまま駆け込んだ場所は……神社。

伊月の登場です。

「どうか……したんですか?」

「いや、ちょっと、気分を悪くしたみたいなんです」

「日射病ですか?」

「ええ……ですかね」

それを聞いてハンカチを取り出した伊月。

  ○自分でやる

  ○巫女さんに任せる

やらせて頂きます。この役は譲れません。

伊月からハンカチを受け取り、井戸水で濡らしてお嬢の額を拭ってあげる宏。

多少はお嬢の表情も緩んだみたいです。よかったよかった。

伊月も安心したのか池の方へを掃除しに消えていきました。箒を振り回しながら。

月に代わっていぢめてるのでしょう。

「……こんな事、良くあるのか?」

「何がだ?」

「だから、暑い中を歩いていると、倒れるとか」

「…………」

それを知ってどうする、とメデス。

「どうするって……」

「外野がいくら騒いだところで、どうにもならん事もある」

「…………?」

いや……とメデスは続けます。

「お主はむしろ−−−」

「んん……」

そこで目覚めたお嬢。

起きようとするお嬢にもうちょっと休むように言う宏。

真っ黒な服を着てないでもうちょっと涼しげな格好をしろ、と言う宏の言葉にお嬢は承諾しません。

「ボクはこの格好で、いいの」

「そうか」

お気に入りなのかもしれない、と宏も追及はしませんがそんな生易しい理由じゃないでしょう。

「もう、ほんとに大丈夫だよ」

そう言ってすっくと立ち上がったお嬢は本当に大丈夫のようです。

伊月に挨拶をして神社を出ようとした時。

「さっき、顔を拭いてくれたの、あなた?」

「そうだけど?」

「ありがとうね」

お嬢はにこーと笑ったのでした。

よかった……顔を自分で拭いてあげて本当によかった……。

 

「そう言えばさ、メデス」

「人の名前を略すな。失礼な」

「……お前、人じゃ無いだろう」

「……しまった!」

「さっき、何を言いかけたんだ?」

「……人がショックを受けているのに、さらっと流すんじゃ無い」

「お前、人じゃ無いだろう」

「しまった!」

「…………」

「…………」

わはははは。メデス、オモロいぞ。

宏もいい感じですが、しゃべるメデスに対して順応性高過ぎです。

「で、さっき、何を言いかけたんだ?」

「さっき、とは?」

「だから、お嬢を介抱している時に、外野がどうとか言って……」

「お主はむしろ?」

「そうそう、その台詞」

「…………」

「むしろ、何なんだ?」

「何の話?」

「いや、メデスと話していてな……」

「稲葉」

宏の言葉を遮るように言ったメデス。

「お主はむしろ、内野なのだ」

「? 内野?」

「外野では無くな」

「…………」

「ねえねえってば。何の話?」

裾を引っ張ってくるお嬢。

「いや……何の話だ?」

「それは、そのうち……わわ!」

「ボクを仲間外れにするんなら、こうだもん!」

ぶんぶん!

「目、目が〜!」

メデスをぐるぐると振り回すお嬢。

結局その場はそれで話は終了。

 

旅館に帰って宏はお嬢に記憶を取り戻そう、と宣言。

それはちとせとの会話でお嬢が不安を感じていることを知ったからです。宏もいいヤツだ。

そこで色々を質問をしようとする宏ですがお嬢はどうやら乗り気ではない様子。

赤い目・銀髪・白すぎる肌。完全に異邦人の姿ですが言葉は達者。

今度は逆にお嬢から質問されました。

「ボクとあなたって……どっかで会った事なかった?」

「おれと?」

「うん」

「…………ああ!」

「思い出したの!?」

そういや七夕の日妙な奴を見かけた、と宏。

「あの時は魔物かとも思ったけど、今考えてみると、お嬢だったのか?」

「…………」

ひどく落胆した様子のお嬢。

「……もう、いい」

お嬢はごろんと背中を向けて横になってしまいました。

「どうしたんだ、急に?」

魔物なんて言ったことを怒っているのかと思い謝る宏ですがお嬢は答えません。

ただ「いいの」と。

「もう、いいの」

「お嬢……」

ひどく寂しげな声。

「その方が、むしろ良かったのかもしれないから……」

「……え?」

それ以上お嬢は何も言いませんでした。

 

やがて眠りについたお嬢。

お嬢をうちわで扇いでやりながら宏はメデスにさっきお嬢が何を言いたかったのかを訊ねますがメデスは答えません。

分からないし、分かったとしても言うことは出来ない、とメデス。

宏もそれ以上は聞こうとしません。

「お前……いったい、いつからのつき合いなんだ?」

「さて、いつからだったか……」

「忘れたのか?」

「まあ、そうだな」

「……お前らは、忘れてばっかりだな」

「……ふん」

 

宏とお嬢は昔出会ったことがあった?

それはいつ? どこで?

むむむ……。

宏とお嬢の見た目の年齢差を考えるとお嬢は歳を取らないってことでしょうか。

 

お嬢と2人で夜の散歩へ。

お嬢は星やら虫の声やらに顔を輝かせながら歩きます。

「……あなたは、楽しくない?」

「まあ、俺は見慣れているからなあ……」

「ボクだって見慣れているもん」

どこか不満げ。

「そうか。感受性が豊かなんだな」

お嬢は少し黙ったかと思うと……

「もうっ!」

「え? あ、おい……」

何なんだろう、と宏。俺にもわかりません。

お嬢はこれが散歩だと知らなかったようです。

宏が散歩だと言うと改めて一緒に歩いていいか、とお嬢。

「歩いてるじゃないか……こうして」

「これから、だよ」

「そりゃ、構わないけど……」

「ボクは特に散歩は好きじゃないけど、でもね……ひとりだとつまらない事も……ふたりだと、楽しくなるんだよ」

「楽しく……」

 

『……あなたは、楽しくない?』

 

「そうだな……」

「うん」

にこー、と笑うお嬢。やっぱり可愛い……。

ところで宏の頭に浮かんだ『あなたは〜』の声は一体!?

と、そこに。

「どわあっ!!」

「な、何だぁ!?」

いきなり聞こえてきた大声。お嬢でもメデスでもありません。

「ぬわあっ!!」

「……あの声は」

その声は食堂『ボンバイエ』から。

「あーもー、ぶちむかつくっ!!」

そしてごちそー様と言いながら食堂から出てきたのは……

「また坂神が負けたのか?」

「あんん!?」

千夏さん!? でも言葉遣いが……。

「久しぶりだな、華子(はなこ)」

「…………」

ぽかっ!

「いだっ! な、何でぶつんだ?」

「名前は正確に言わないとね」

「だから、ハ・ナ・コ、だろ」

ぽかっ!

「いや、鬼瓦ズンド子だったか」

ぼくぅっっ!!

「……あ〜あ〜、そうそう、カコだった」

「久しぶりね、宏」

ちなみに『宏』は発音されず。デフォルトなんだから言ってくれてもいいのに。

どうやら坂神ファンの華子さんは坂神が負けた事で騒いでいたようです。

……と言うかどう見ても千夏さん。

この謎はあっさりプレイヤーに提示されるものだったんですね。よかった……本当によかった……。

宏は華子を攻略対象ではないことなどを含め(笑)お嬢に紹介。異母姉弟なんだそうです。

「……誘拐?」

「何を言ってる?」

「いくらもてないからって……」

「だから、何を言っている?」

「違うんだ?」

そして華子は愛想笑いを浮かべているお嬢を見つめて……

「可愛い……」

うむ、同感。

「は?」

「ぶち可愛いわあ〜!」

「え? ……わわっ!」

抱きついたりそのまま倒れたりと騒いでから華子も自己紹介。

「わたしは七条華子(かこ)。こいつの姉なの。よろしくね」

本当は華子(はなこ)だから偽名だけどな、と心の中で宏。一体どっちなのでしょうか?

「あ、う、うん……よろしく」

お嬢は宏の後ろに回って前に出てこようとしません。人見知りする訳でもなさそうなのに。

宏はお嬢のことを説明。

「わたしの事はカコって呼んでいいから。これから仲良くしましょうね。お嬢ちゃん」

「う、うん……」

「それじゃ、わたしはこれで」

「あんまり飲み過ぎるなよ。弱いんだから」

「分かってる」

そうして華子は消えていきました。

「あの人……苦手だよ」

悪い奴じゃない、と一応華子を弁護した宏にそう言ったお嬢。

その理由はお嬢自身も分かっていないようですが。

 

 

 

そんな訳で華子登場です。一体千夏さんとの関係やいかに。

「さん付け」するかしないかはまぁ俺の気分ってことで。

お嬢が華子を苦手をするのは千夏さんが関係しているのでしょうか?

そしてちとせも登場。

病弱な妹……また卑怯な設定で登場しました。

お嬢の姿は今までの経験から言うと死に縁のある人間にしか見えないような気がします。

とするとやはり宏の周りで『死』がこれから起こりえる、ということなんでしょう。

順当に(失礼)いけばちとせですが、宏本人という可能性もありますね。

それにお嬢の姿が見える女将さん……7/25に事故に遭うのはやはり……。

 

やばいぐらいペースが遅いです。

もうすぐ発売の「D.C.」のこともあるのでマジでペースアップします。

それでは以下次回!!


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