2002.5.27 「……ラブシーン?」編


ゲームを起動するたびに「CDチェック」が走るのはさやかさんが可愛いから許します。

メニュー画面になるたびに違うヒロインの声で「水夏」を言う芸コマさもOK。

でもゲームを途中で終了させようとするたびに

「行っちゃうんだぁ!?」

と名無しの少女に叫ばせるのは止めてください。

俺を寝かせないつもりですか。

 

それでは1章・伊月編。

続きと参りますか。

 

【7/26】

朝。

母親に1日分のお小遣い500円をもらう彰。

小遣いを小分けにしてもらうのは昔からのやり方なんだそうです。

 

過去編。

神社に行くと右足に包帯を巻いた伊月の姿が。

どうにも元気の無い伊月の頬に殴られたような跡があることに彰は気付きました。

それを心配して「文句言ってやる」を息巻く彰ですが伊月は強い口調で彰の申し出を断ります。

「いいの……。他人に、殴られたくらい……」

「他人」とは母親のこと。伊月は前回の悟った状態のままのようですね……。

少ししてから伊月も元気になったようです。

彰の顔を見たら元気が出た、という伊月に照れる彰。

照れ隠しに彰はいいものを貸してやる、と言って走っていきました。多分マンガ。

 

現代。

神社に行くと伊月はまた魔法少女さながらに飛び跳ねてました。

(オ、オタクだ……)

と思わず苦笑する彰ですが、その笑みは凍りつきました。

激しい動きをする伊月は確か足を怪我していたはず。

慌てて駆け寄る彰。

「伊月!」

「え?」

「そんなに動いていいのかよ? 足は?」

「あ、うん……」

もう治った、と屈託無く話す伊月。

昨日の今日で、と不思議がる彰ですが本人が言ってるのなら大丈夫だろう、ととりあえず納得。

そして俺の中で伊月にある疑惑が……。

 

アニメの話などでひとしきり盛り上がった後。

伊月は彰がマンガを貸してくれた時のことを話し出しました。

それは伊月が捻挫した次の日のこと。つまりさっきの『過去編』の時のこと。

あの時の頬は母親にぶたれたものだった、と伊月は言います。

そして足がとても痛かったけど我慢して神社に来ていたと言う事も。

その理由は家に居たくなかった、というだけではありませんでした。

彰にはそのもう1つの理由が思い浮かびません。

「う〜ん、分からないや」

「私は怪我をしているけど、小夜ちゃんは平気だから、普通に外に出られるでしょ?」

「うん」

「私ね……」

ひとつ息をついて彰から視線を外す伊月。

「小夜ちゃんと彰くんを、ふたりっきりにしたく無かったんだ」

うっすらと頬を紅潮させながら取り繕うような笑みを浮かべる伊月に彰も笑うしかありません。

「あ、そうそう。そういや、モヨ子を助けたのも、それと同じ日だったっけ」

わざとらしく話をそらす彰。

「うん……」

その時のことを彰は思い浮かべます。

「私ね……あの子と出会えて、とても良かったと思っている」

「うん」

「死んじゃった時……とても悲しかったけれど、今はもう、悲しくないの」

結構な年月が経ってるからな、と彰は心の中で納得。

「彰くんが居なかったら、たぶん、あの子を助ける事は出来なかったと思う」

そう言って伊月はぺこっと頭を下げます。

あの子と引き合わせてくれてどうもありがとう、と。

 

過去編。

伊月にマンガを貸してやった彰。

そこに小夜が息をせき切らせながら走ってきました。

そのまま強引に彰の手を引っ張ってどこかに連れて行く小夜。

「ほら! あそこ見てよ!」

「だったら、パンツをまずは脱げ。話はそれからだ」

「どバカっ!!」

ぶわはははは。

これは不覚にもウケた。本気で笑いました。

ちなみに小夜がここまで強引に彰達を連れてきたのは川を流れるダンボールの中に猫がいたからでした。

小夜は泳げないので彰を連れてきた、と言う訳です。

川に入って猫を助け出した彰に小夜も大喜び。

子猫も可愛くて小夜と伊月はうっとり。

 

神社に子猫を連れてきた3人。名前は”モヨ子”に決定(知ってたけど)。

でも彰の家はアパートだし、水瀬家でも飼うのは無理。

話し合った結果、モヨ子は神社で飼うことになりました。

 

エサは代わりばんこであげることに。彰は夜の担当です。

それで暗くなってから彰が神社にやってくるとそこには伊月がいました。

モヨ子が寂しがってるんじゃないかと思って、と伊月。

一緒に星座を見たりして結構いい雰囲気に……とそこに小夜も登場。

「星座なんて見て、面白い?」

何となく小夜の口調は伊月を責めるような感じです。

その気持ちがわかるだけにちょっと痛々しいというか何と言うか。

そのうち小夜が今度花火をしよう、と言い出しました。

「花火をやるくらいなら、オレはのろしをあげたい」

「……誰に、何を伝えるのよ?」

「東京に残してきたあの子に、オレの思いを伝えるんだ」

「……でぇ!?」

驚いてまじまじと彰の顔を覗いてくる小夜。

「それ……ほんと?」

「容赦無く嘘だ」

「…………!」

「な、何で怒るんだ……?」

「ヘンな冗談は止めてよね!」

「そうだよ、彰くん」

2人に責められてたじろぐ彰。お前やっぱり面白いかも。

そして3人は1週間後に花火をする約束をして神社を後にするのでした。

 

【7/27】

外に飯を食いに出かけた彰が帰ってくるとばあちゃんに伊月から電話があったことを知らされました。

それを告げてもまだ何か言いたげなばあちゃん。

「何?」

「……水瀬さんの娘さん、いつの間に治ったんじゃ?」

「え? ……ああ、昨日はもう、治ったとか言ってたけど?」

「ほう……そうか。それは、良かったの……」

そう言ってばあちゃんは何度も頷きながら去っていきました。

もう伊月の足の怪我のことを知ってるのか、と田舎のネットワークに恐れをなす彰。

でもんな訳が無くて。

『治った』……ですか。なにやらめちゃくちゃ意味深です。

ここから導き出されることは…………なんでしょ?

 

過去編。

約束した花火の夜がやってきました。

彰が神社に着くと2人はもう着いていましたが何やら元気が無い様子。

原因は伊月でした。

星空に見とれているうちに躓いてしまった伊月が花火を川に落としてしまったのです。

泣きそうになりながら謝る伊月。小夜も元気がありません。

一方的に伊月を攻め立てる小夜は場を取り繕うとする彰の言葉に耳を貸しません。

そんな小夜に彰も思わぬ言葉が口から飛び出します。

「……お前って、案外冷たい奴だなあ」

「……え?」

凍りつく小夜の表情。

それに構わず彰は話を進めます。

モヨ子を川から助けた時のことを引き合いに出しながら強い口調で小夜を責める彰。

「彰くん……」

伊月の声で我に返って言い過ぎたことを謝る彰ですが小夜の表情はまるで能面のよう。

「はは……」

小夜らしくない、乾いた笑い声。

「冷たい……か。あたし、あんたにそんな風に思われてたんだ」

「小夜……」

「……じゃあね。ふたりで、星でも見てなよ」

そう言って後ろも振り返らずに去っていった小夜。

ここで彰は迷いました。

小夜を追うべきか。伊月のそばにいるべきか。

その時、何を思ったのか伊月は言いました。

「この子じゃ……彰くんの代わりにならないよ」

それを聞いて彰は留まることに。

伊月が小夜を追うように言ったらそうした、と考えながら。

彰は思います。

ふたり居るって事は、進むべき道が二本あるようなものなんだ、と。

 

現代に。

彰は神社に向かっていました。

夕方伊月から電話があって、夜に神社で会いたい、と言われたのです。

神社の石段を登る彰。

既に伊月は神社で待っていました。

伊月は花火をやろうと思って彰を誘ったのでした。

あの夏休みは結局出来なかったから、と伊月。

もちろん彰に異存はありません。

 

線香花火のオレンジ色の光に浮かぶ伊月の顔。

花火は儚いからこんなにも綺麗なんだ、と伊月は言います。

「花火が消えるのを、死と例えるなら……」

「死……」

「きっと、死ぬから美しいんだと思うの」

「…………」

「そして、それは人間も同じで……」

またコレか……。

「人間?」

「死んでしまった人間が蘇るのは、醜いことかもしれないけれど、私はそれでもいいと思う」

「……死んだ人間は、死んだままだよ」

……これが彰に言える精一杯だったんだろうなぁ。

「その人を心から愛しているなら、そんなこと関係無いから」

「…………」

「たとえ死人でも……私は、愛したいな」

消える線香花火。

新しい線香花火に火を着けた時にはもう伊月はいつもの伊月。

伊月は昔花火が出来なかった時のことを話し出しました。

彰が自分をかばい、小夜を追いかけずに側に居てくれたことが嬉しかった、と伊月は言います。

そして線香花火の火が消えました。

「ねえ、彰くん……」

「うん?」

「今だから言うけどね……私の行動は、すごく自覚的だったんだよ」

「自覚的?」

はい、と頷く伊月。

「私は自覚的に、彰くんの目を、自分に向けさせようとしたの」

その言葉に目眩がしそうになる彰。

結局自分だけが3人の中で無自覚だったのだ、と。

 

「今もまた……自覚的に行動しても、いい?」

 

そう言って目を閉じる伊月。

確かになんて自覚的なんだろう、と思いながらも今の彰はそれに応えることが出来ます。

 

そっと伊月の側に近寄る彰。

冷たい頬。冷たい唇。

そんな伊月を感じながらずっと唇を合わせ続けることしかできません。

それでも満足な彰。

薄暗い中でもはっきりと伊月の顔が真っ赤なのがわかり、それは彰も同じ。

「彰くん……」

「……うん?」

「何だか……恥ずかしいね」

「……うん」

その後は息苦しいような沈黙。

しばらくして消え入るような声で伊月が言いました。

「恥ずか……しいね」

「……うん」

そしてまた沈黙。

「あー……」

耐え切れなくなった彰が無意味に声を出して帰ることを宣言。やや根性無し。

帰り際に振り向いた彰。

伊月は何だかとても儚げに彰を見つめていました……。

 

 

ラブシーンです。

ラブシーンなんですが……どこか暗いです。

少なくとも伊月の『死』に関する話題はキスする直前の話題じゃありません。

やっぱり伊月って普通じゃないかも……。

 

【7/28】

本屋に参考書を買いにって、駅の近くを歩いていた彰の耳に飛び込んできた言葉。

「子供からかつあげ……」

妙なセリフに思わず振り返ると、駅舎の壁際に女の子がしゃがみこんでいました。

色んな物を目の前の地面に並べて、それらを一心不乱に見つめている女の子。

  ○のぞいてみる

  ○関わらないほうがいいかな

とりあえず覗いてみましょう。

「ガレージ・セール?」

「え?」

ぽかんとした表情で彰を見上げる女の子はまさにさやかさんその人。

「……車庫ならいりませんよ」

「違う違う」

これを売ってるのか?と彰が尋ねると更にぽかんとした表情を強めるさやかさん。

さすがに違ったか、と彰も焦り気味。

何せそこにあるのはハンカチ・ティッシュ・携帯用裁縫セット・あめ玉2つ・きれいなビー玉・ハモニカ・子猫のテレホンカード・櫛・そして意味深な「幸せ家族計画」など訳のわからないものばかり。

ところが

「はい! 全部10円です!」

と元気に返事を返すさやかさん。

呆気にとられる彰ですが、服も汚れているさやかさんを見てきっと洗濯にも事欠く暮らしをしているんだろう、と段々可哀想になってきました。

なのであめ玉ひとつとビー玉を購入。

「ありがとうございます!」

とさやかさんは100万$の笑顔。

一体なんだったのかはきっと2章ではっきりすることでしょう。

 

本屋を出た時、彰は怪しい人物を目撃しました。

一目で普通じゃないことがわかるその人物。

はっきり言えば「キ○ガイ」じみた感じのその男はきっと伊月の親父でしょう。

 

 

……とすいません。

かなり中途半端なところですが今日はここまで。

こんなペースじゃいつになったら終わることやら……どうか気長にお付き合い願います。

以下次回!!


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