2002.5.26 「……オカルト?」編
ガンガンまいりましょう。
【7/24】
雨が降ってます。
リューマチで病院に通っているばーちゃんは節々が痛そうです。南無。
そのばーちゃんの口から語られた衝撃的な話。
それは『雨が長々と続いた明くる日、水瀬家の嫁さんと娘さんが消えた』という話。
ばーちゃん曰く『実家にでも帰ったのだろう』とのことでしたが……。
ここで問題なのは母親ではありません。
どっちの娘が『消えた』のか、ということです。
彰は「小夜が死んだ」ことをばーちゃんが言っているのだと思ってますが話はそう簡単ではないでしょう。
「水夏」プレイヤーの誰もがここで思ったであろう推測。
それは『伊月は本当に伊月なのか』ということ。
果たして……。
過去編。
ある日の放課後。
1人で帰ろうとした彰の目に飛び込んできたのは伊月と小堺が数人の女子と一緒に校舎の角を曲がっていく姿でした。
2人が一緒にいるのはどう考えてもおかしいので彰も校舎裏に駆けつけます。
「おいっ! 何やってるんだよっ!」
突き飛ばされた(らしい)伊月の前に思わず立ちふさがる彰。
最期まででかい態度の小堺でしたが、そのうち全員がバツが悪そうにして去っていきました。
一緒に帰りながらも伊月は元気がないまま。
別れた後、元気になってくれることを祈る彰でした。
現代。
伊月に会いたい、と彰。
そこで思いついたのが電話です。
早速昔の連絡網で調べ始めました。
過去編。伊月視点。
彰にお礼を言いたくてドキドキしながら電話をかける伊月。
現代。
ドキドキしながら携帯で水瀬家に電話をかける彰。
長いコールの後、でてきたのは身震いするほど不気味なしゃがれた声。
彰はまだ両親が離婚して『風間』になったことを言っていなかったので昔通りの『連城』という性で名乗りました。
「連城と申しますが、伊月さんはいらっしゃるでしょうか?」
すると携帯から聞こえてきたのはとんでもない大音量での叫び声。
「この野郎!!」
「ふざけるんじゃねえ!!」
「ぶち殺すぞ!!」などと時折聞こえてきます。
電話を切ろう、と電源ボタンを押す直前に聞こえてきたのは……
「伊月はなぁ!! 俺が−−」
確かに電話をかけた先は水瀬家。
そして最期に聞こえてきたセリフ。
彰の心に不安が押し寄せます。
そこに帰ってきたばーちゃん。
電話のことを話すとその相手はおそらくは元神主である伊月の親父であることがわかりました。
妻と娘が消えて以来、おかしくなってしまったそうです。
あんな父親と2人きりで生活している伊月のことを思うといてもたってもいられなくなった彰は神社へと向かいました。
雨の中、伊月は神社にいました。
走ってきてずぶ濡れの彰を見て驚く伊月。
「走ってきたの? どうして?」
「早く、神社に着きたかったから」
「? 神社に来たって、何も無いよ? セイラームウンショーがやってる訳でも無いし……」
「そんなショーはやって無くても、伊月が居るじゃん」
「え? 私?」
不思議そうな顔をする伊月。
「何というか、伊月の顔が見たくて、ここに来たんだけど」
「…………」
顔を赤らめる2人。
モヨ子のことを思い出していた、と伊月は言います。
それは昔3人で飼っていた猫の名前。
ふと真顔になって伊月が言いました。
「私ね……思うんだ」
「ん?」
「死にはね、二段階あるんじゃないかって」
「二段階?」
「そう……。一段階目はね、普通の死。死んじゃうってこと」
「うん」
「二段階目はね……みんなの記憶から、消えちゃうこと」
「…………」
「人の頭から綺麗さっぱり居なくなって……生きていた事も、死んじゃった事も忘れられちゃう」
「うん」
「私には、それがね……」
そう言ってモヨ子を埋めた木の根元を見る伊月。
「それが、取り返しのつかない死なんだと思えるの」
「取り返しのつかない死……か」
「うん、だから私は、死んだ人を忘れちゃいけないと思う。それは、可哀想なことだから」
「ああ……そうだな」
目を瞑って心の中でモヨ子に向かって手を合わせる彰。
これからはたくさん思い出すようにしよう、と。
「死者を想うのは、大事。そうすれば……」
暗い口調。
そこに心をざわめかせるものを彰は感じました。
でもそこにいるのはいつも伊月。
安堵した彰は「また明日」と言って帰っていきました。
電話のことを言えなかった、と思いながら。
伊月の言っている「死者」とはやっぱり小夜のことなんでしょうか。
何気に伊月って電波系? なんて思ってみたり。
過去編。
伊月から電話がかかってきました。
助けてもらったことのお礼です。
それだけの電話だったのですが妙に緊張していた彰でした。
【7/25】
彰は神社へと向かいました。以上。
過去編。
彰と伊月と小夜。
3人で帰りながらも彰は微妙な立場です。
最近伊月がよくしゃべるようになってきていたのですが、小夜とは全く話題が合わないのです。
小夜とはTVドラマの話題。伊月とは星座の話題。
どちらも彰はよくても伊月と小夜にとっては相容れない話題。
必然的にどちらかとしか話ができないのです。
そこで3人で話せる話題は……と彰が持ち出したのは放課後の出来事。
いつものように伊月に掃除を押し付けようとした小堺にはっきりと伊月が断りの言葉を言ったのです。
その冷たくも凛々しい口調に押し負けた小堺は自分で掃除を……ということがあったとのこと。
小夜も大喜び。彰もにんまり、と言う訳です。
でも何故急に伊月が強くなったのかが小夜にはわかりません。
それを聞かれた伊月が彰と目配せしたのを小夜が見逃すわけがありませんでした。
ごまかそうとする彰と伊月に執拗に迫る小夜。
それは冗談ではすまない勢いです。
自分に隠し事なんて、と引く気配を見せない小夜に2人は校舎裏での出来事を話しました。
そのこともあって強くならないといけないと思った、と伊月は言います。
小夜も理解はしたようですが自分に隠されていたことがどうしても納得がいかない様子。
やがて見たいTVがある、と子供じみた言い訳をして走り去っていきました。
小夜が怒る理由がわからず困惑する2人。
でも彰には1つわかったことがありました。
それは3人の関係がだんだんと変わっていっていること。
とまぁ、あからさまに小夜の気持ちが彰にあることがわかってきました。
本人は気付いてるのかどうか微妙ですが。
そして伊月も彰が好きなことは確実。
波乱の匂いです。
果たして3人の関係は……(って過去の話なんですけどね)。
現代編。
神社に着いた彰ですが伊月の姿はありません。
○取り敢えず、色々と探してみる
○池の方に行ってみる
○この場でまってみる
まぁ色々と探してみましょう。
この選択肢でバッドエンド、とか言われたら理不尽だな、と思いつつ。
色々探してみましたが伊月の姿はありません。
そこで彰は神社にある蔵の中にも行ってみて……いつの間にか寝入っていました。
そして目を覚ますと隣には巫女さんが。つまり伊月が。
声をかける彰ですが伊月の反応はありません。
どうやら読んでいるマンガ(「なかよひ」というらしい)に熱中していて彰の声も耳に入らない様子。
結局伊月がマンガを読み終わって彰が起きたことに気付いたのは1時間後のことでした。
神社の裏山を登る2人。
「るふぅ〜……絶景ですな」
また「るふぅ」かよ。どうかと思うよ。
開けた高台のような場所。伊月はそこがお気に入りだと言います。
そして「逃げ出したいような時によく来る」とも。
「逃げ出す……? 何から?」
「”今”じゃない時間とか……。”ここ”じゃ無い場所とか……」
「…………」
「何か嫌な事があるとな。ここに来るんだ」
「……何があったんだ?」
「…………」
少し黙ってから伊月は言いました。
「血が繋がってると……考えも繋がるのかな?」
「……は?」
「テレパシーとかそういうの。あるかな?」
「……い、いや……無いんじゃない?」
「最近ね……なんだか、私が考えているような事を、お父さんが口にするようになったから」
「……というか、自分で口にしたんじゃないの? その、伊月の考えってやつを。そのこと自体を忘れてるだけで」
「ううん、そんなこと無いよ」
首を振って彰の言葉を否定する伊月。
「だって、人には言えないような事だから」
「人に言えない?」
「たぶん、普通の人にとっては、奇妙なことだから」
「どんなこと?」
「…………」
「言えないよ。だって……」
寂しげな表情の伊月。
「言ったら、おかしな人間って思われちゃうから」
「思わないよ」
「ううん、ごめんね。私、彰くんに嫌われたくないから。避けられたくないから」
「だから、んなこと無いって」
「じゃあ……また、今度」
「……分かった。じゃ、今度」
「うん」
今度っていつなんだろうか、と彰は思います。
裏山から降りる途中、伊月が何かに躓いて転んでしまいました。
遠慮がちな伊月を背負って道を降りる彰。
昔にもそんなことがあった、と2人は思い出します。
過去編。
伊月をおぶさって裏山の道を歩く彰。小夜も一緒です。
とても歩けないような伊月ですが、小夜は何を思ったのか自分で歩くように言います。
当然そんなことが出来る訳もありません。
そもそも何故こんなことになったのか。
それは小夜が神社の蔵の鍵を手に入れたことから始まりました。
不安げな伊月にノリノリの小夜。彰もまんざらではありません。
そして蔵の中から出た時に見知らぬ怖いおっさんが凄い勢いで走ってきたので裏山に逃げた、というのがこうなった原因でした。
小夜曰くあのおっさんは神社の神主とのこと。
ってことは2人の親父なのですがそのことを小夜は言わなかったようです。
そもそも彰は巫女さんになった伊月を見て、初めて水瀬家が神社を守ってきた家系だと知ったぐらいですからね。
きっと2人は彰に家のことはあまり言いたくなかったのでしょう。
そして伊月は掛け軸のようなものを蔵から持ち出していました。
一体どんな掛け軸なのやら。
小夜が突然「手伝ってあげる」と伊月を背負った彰に寄ってきました。
伊月の身体を持ち上げようとでもしたらしいのですが、逆にバランスを崩して彰は両手を地面につくことに。
いたずらはやめろ、と強く言うと小夜は走り去ってしまいました。
彰には何がなんだかわかりません。
現代。
「もう一度……3人で来たかったよね……」
彰に背負われた伊月が寂しげに呟きました。
「小夜ちゃんね」
神社に着いた時、伊月がぽつりと言いました。
「彰くんが、好きだったんだよ」
じわじわと彰の身体に染み込む言葉の意味。
(ああ……)
涙が出そうになった彰。
初めて死と言うものを実感した。
決してその人が目の前に現れはしないということ。
「小夜ちゃんは、訳も無く不機嫌になったりはしない。ちゃんと理由があったの。彰くんは……それが何だか、知っていた?」
「…………」
目元を拭いつつも、何て答えたらいいか分からない彰。
当時の自分はその事を知っていたような、分からなかったような。
それとも意識するのが恥ずかしくてわざと頭の外に締め出していたのか。
「知らなかったよ」
「……小夜ちゃんが怒るのはね、私と彰くんが仲良くした時だった」
「…………」
「やきもちだったんだよ。でも……」
彰の方を見て伊月は言います。
「妬かれるような、関係だったかな? 私たち」
思わず目をそらす彰。
「別に……普通の友達だったんじゃないか?」
「うん……」
「…………」
「…………」
「…………」
「ごめんね……ヘンなこと訊いちゃって」
「伊月はさ、割とヘンな奴だから」
「……そうかもしれないね」
謝ってばかりだった伊月。
でもだんだん意味もなく謝るようなことは無くなっていきました。
それは彰のおかげだ、と伊月は言います。
その変化を伊月は嬉しい、と思っていました。
どうしても病院で足を診てもらうことを承諾しない伊月。
そんな伊月のために彰は湿布を買いにいくのでした。
過去編。伊月視点です。
裏山から帰ると両親はまた喧嘩していました。
その現実にさい悩まされる伊月。
現実から逃れようと手に取った本は中原中也の詩集。
それは伊月の大好きな詩人でした。
もうひとつひとつの詩をそらんじる事が出来るほどに。
『愛するものが死んだ時には、自殺しなけあ(きゃあ)なりません』
『愛するものが死んだ時には、それより他に、方法がない』
何度読んでも感動してしまう、と伊月。
(これこそ、本当の愛の形だと私は思うのです)
愛する人が死んだら自分も死ななければならない。
それが出来なくて、どうして真実の愛と言えるのか。
伊月は思います。
男女は愛し合って夫婦になるもの。
夫婦とは愛し合っているもの。
だとすると両親はもう夫婦ではない。
ひとつ屋根の下に居るだけの他人。
その娘も他人に過ぎない……。
いつの間にか涙は乾いていました。
なぜなら他人の喧嘩なんて悲しくないし、気にもならないから。
一つの真理に辿り着いたような気持ちになって、心が透明になった伊月。
ふと目にとまったのは蔵から持ち出してきた巻物。
苦労して紐を解いて巻物を転がします。
読めない文字が途切れて、やがて見えてきたのは色あせた絵。
それは女の人が裸で横たわっている絵でした。
魅入られたように巻物を転がす伊月。
吐きそうな気持ちになりながらも伊月は絵から目を離すことはできません。
その絵の女の人は死体であり、その死体が醜く腐敗してしていく過程が克明に描かれていたのです。
抑えきれない手の震えと共に巻物をめくっていきますが……最期まで見ることは出来ませんでした。
突然部屋に入ってきた母親が伊月に平手を振るって巻物を持っていってしまったのです。
部屋に1人残された伊月。
のろのろと布団を敷いて、眠りについたのでした。
……。
…………。
………………なんつーか。
伊月ってマジで電波系?
なんかヤバい思想ですよ。
いや別に中原中也を否定する訳じゃありませんが、あまり中学1年の考えることじゃありません。
やはりそれは家庭事情に問題があるからなんでしょうけど……ちょっとキツいです。
ついでと言っては何ですが中原中也について調べてみました。今まで名前ぐらいしか知りませんでしたから。
かなり悲しい人生を送った詩人のようです(あくまで私の印象の話です)。
伊月が朗読した詩は『春日狂想』という詩でした。
中也には1人の息子がいました。しかしその息子は2歳にしてあまりに早い死を迎えてしまいます。
この詩はその後中也が悲嘆に暮れ、神経を病んでいた頃に書かれた詩なんだそうです。
以下は『春日狂想』の一部です。
愛するものが死んだときには、
自殺しなけあなりません。愛するものが死んだときには、
それより他に、方法がない。けれどもそれでも、業が深くて、
なほもながらふことともなつたら、奉仕の気持ちに、なることなんです。
奉仕の気持ちに、なることなんです。愛するものは、死んだのですから、
たしかにそれは、死んだのですから、もはやどうにも、ならぬのですから、
そのもののために、そのもののために、奉仕の気持ちにならなけあならない。
奉仕の気持ちにならなけあならない。
……何とも言えません。
何とも言えなくさせる詩です。
詩なんて読んだことのない私ですが……はぁ。
何やらオカルトめいてきたような感じですが……どうなるんでしょ?
ちょっとイっちゃってる系の伊月に彰はどうするのか。
果たして小夜はどうなったのか。
かなり遅いペースですが以下次回!!