2002.4.20 「もう『むつき』じゃいられない?」編
【2/3】
雪希と一緒に登校。
校門のところには進藤さんが。
雪希が気を利かせて先に行ってしまいますが進藤さんもすぐに校舎の中へ。
やっぱり恥ずかしいんですかね。
土曜日の放課後。
進藤さんを道草に誘おうと1年生の教室へと健二は向かいます……がその途中で進藤さんとばったり。
どうやら進藤さんも健二の教室へ向かっていたようです。
それを指摘されて照れまくりの進藤さんがかなりいい感じ。
さて、道草です。
■むつきちゃんに案内してもらう
■案内する
案内してもらおうかなぁ……と思ったのですが結局健二が決めちゃいました。
一緒に商店街に向かう2人。
2人が入ったのはファミレス。おそらく日和シナリオや雪希シナリオで出てきたレストランでしょう。
カップルの多いレストランの中で顔を赤くして小さくなっていく進藤さん。緊張しまくりです。
なかでも1つのグラスに入っていた1本のポッキーを「あ〜ん」なんてやってる強者カップルに店内も騒然。
それを見て赤くなりながらも、どこか期待したような目で健二を見つめる進藤さん。
「せ、せ、先輩…」
「ど、どした?」
「……」
「……」
「あ、えと…その…」
ますます期待するような目をする進藤さんに健二も緊張気味。
「え、えっと…」
「あ、あのさ…」
「は、は、はいー!」
「こ、声が裏返ってる」
「す、す、すいません…」
このままでは流されて「ポッキーあ〜ん」なんてやってしまう、と健二は話の流れを方向転換。
「きょ、今日は天気がいいな?」
「そ、そうですね…」
「明日も晴れるかな?」
「…は、はい」
一気に沈んだ声になる進藤さん。
「……あのさ…」
「はい…」
「…明日は暇?」
「え?」
「良かったら、どっかに遊びに行かない?」
「え? え? えと…その…」
「あ、用事とかあるんなら…」
「な、ないです…ひ、暇なんです」
「それなら…決定?」
「け、決定です」
「じゃ、じゃあ…」
「は、はい…」
嬉しいです、と進藤さんは笑顔に。
そんな進藤さんを見て、やっぱり笑顔が一番可愛いな、と健二。
今回の健二は本当に素直です。
……落とし穴が待ってるとは知らずに。
駅での別れ際。
お礼を言う進藤さんですが、やはり何か言いたそうにして……結局何も言えず。
真実は一体いつ告げられるのか……。
【2/4】
日曜日。
進藤さんとの約束があるため早起きする健二。
妙に機嫌がいい健二の様子に雪希が気付いてツッコんできました。
そんな雪希に見送られて早めに家を出た健二は待ち合わせ時間よりも30分も早く待ち合わせ場所に到着。
でもそこには既に進藤さんの姿が。
ひょっとして早く来たんじゃなくて遅れたんじゃないか、と健二は謝りますが進藤さんは1時間も早く来ていたそうです。
お互いに顔を赤くしてと言うか、照れながらと言うか……とにかく出発です。
2人が向かったのは子供の頃の思い出がある海。
誰も居ない、静かな海岸線を歩く2人。
特に重要な事を話すでもなく、穏やかな会話をしながら海岸線を歩く静かな時……。
そのまま夕方まで。
いつまで歩いてんだ? と聞きたくなります。
それでも2人は幸せでした。確かな相手の温もりを感じたのでしょう。
でも……。
進藤さんのモノローグ。
自宅に帰ってベッドに横になる進藤さん。
思い出されるのは健二の言葉。
『じゃあ、また明日な』
「今日は…楽しかったな…」
待ち合わせに早く着いて。
でも健二も早く来てくれて。
海を一緒に歩いて。
潮風に流されてくる健二の髪の石鹸の匂いが心地よくて。
「嬉しかったな…」
夕暮れの砂浜で健二と過した時間は、自分だけの大切な時間。
大事な思い出。
繰り返し思うのは健二の姿。
そして自分に向けられる声。
『むつきちゃん…』
そんな声が嫌い。
好きな先輩にそう呼ばれることだけが…
髪を括るリボン。
それは『あれ』からお気に入りになって、同じようなのを買い続けてきて、いつのまにか欠かせない物になっていた。
『あの日』からずっと付けていたリボン。
そうすればいつか自分だって、と。
「先輩…私を見ていてくれるのかな…」
そう考えると哀しくなってしまう進藤さん。
健二が優しいから。
誰にでも優しいんじゃないかと思ってしまう。
「駄目だね…私って…」
頑張らなくちゃ、と自分に言い聞かせて目を閉じる。
…だけど……
あくまで健二が見ているのは『むつき』であって『自分』ではない、と言う思いが進藤さんの中にあるのでしょうか。
それによる不安と罪悪感。
もどかしいです。
健二に言ってしまえばいいのに、と誰もがやきもきしたことでしょう。
きっと健二は受け入れてくれるはずなのに……。
ふぅ。
【2/5】
朝。
食事をしながら、そして登校しながらも健二は上機嫌のまま。
雪希は色々と聞き出そうとしてきますが結局教えないまま。
まぁ雪希もわかってると思いますけどね。
校門のとこにはいつもの通り進藤さんが。
お互いに前日の事を思い出してギコちない健二と進藤さん。
その様子に納得した雪希は健二を応援しつつ先に校舎の中へ。
玄関のところで出会った清香や日和も完全に進藤さんを健二の『彼女』と見なして、妙に上機嫌のまま去っていきました。
休み時間の度に日和や清香の質問責めにあう健二。
『彼女』と言われても完全に否定しない健二はきっともう『そういう』気持ちなのでしょう。
放課後。
今日こそ進藤さんの教室まで迎えに行こうとした健二が自分の教室を飛び出すと、そこには息をきらした進藤さんが。
走ってきたのか、と健二に言われて何とかごまかそうと息を止める進藤さん。
でも赤い顔がますます赤くなって、さらには青くなってきて……
「お、おい?」
「クラッ…」
「だ、大丈夫か?」
「す、すいません…」
「いや、それはいいけど…」
「ちょっと貧血になってしまいました…」
貧血と言うより酸欠、と健二。
進藤さん、かなり変です。
「別に、無理して息まで止めなくても…」
「だ、だって…その…」
「はぁ…」
「あの、え、えと…す、少し恥ずかしくて…」
また顔を赤くする進藤さん。
この日も一緒に帰宅です。
歩きながらの話題はもうすぐやってくるテストのこと。
そして別れ際はまた何か言いたそうな進藤さんと小さく手を振り合って健二は帰るのでした。
【2/6】
テスト勉強のせいか、この日は雪希まで寝坊。
ダッシュで登校です。
息を切らせながら到着した校門には進藤さんの姿が。
いつもの時間にやってこない健二達を心配していたようです。
また昼に、とその場は解散。
そして昼休み。
健二の教室で3人でお弁当。
雪希は昨夜のうちに弁当を作っておいたそうです。
弁当に入っていた既製品のコロッケの中のピーマンが食べられない健二。
雪希がそれをもらうと健二の弁当は寂しくなってしまいました。
すると自分のおかずを「宜しかったら」と差し出してきた進藤さん。
その様子を見て「お邪魔かな?」と雪希。
慌てる2人ですが言い訳はしません。
恥ずかしいけど悪い気もしない、と健二。
放課後。
いつもの通り進藤さんの教室に向かって駆け出した健二。
そしてこれまたいつもの通り、途中の廊下で進藤さんと衝突。
肩で息をしているお互いを見て「楽しい」と思える健二は本当に素直です。
小さく笑い合いながら今日も一緒に帰る2人でした。
今日はどこに道草しようか、と健二が考えた時に浮かんできたのは昔のことでした。
クレーンゲームが得意だと言っていた『むつき』のこと。
それでゲーセンに向かう2人ですが、どこか浮かない顔の進藤さん。
クレーンゲームの前に立たされるとそれはますます顕著に。
でも進藤さんが本当のことを言えるはずもなく。
健二が指定したぬいぐるみを取ろうと真剣に取り組む進藤さん。
それでも結局、数回チャレンジした結果は……
「……」
「んじゃ、帰ろうか?」
「……」
「まあ、調子の悪い日だってあるよ」
「は、はい…」
落ち込みながら「ごめんなさい」と謝る進藤さん。
ぬいぐるみを取れなかったことを謝っているのか。
それとも『別のこと』を謝っているのか。
『すいません』『ごめんなさい』は禁止、と言う健二の言葉に明るい返事を返した進藤さんはやっと笑顔に。
健二はそれは一番嬉しかったのでした。
【2/7】
テスト開始の日です。
雪希は日直のため先に登校。
健二は後から1人で登校……と思いきや途中で日和と合流。
そのまま学校まで行くといつもの通り進藤さんが校門で健二を待ってました。
進藤さんは日和と仲良く(?)話をしている健二が非常に気になる様子。
話の内容は効率のいい勉強方法について。
日和が思いついた方法は健二と2人で勉強することでした。
「テスト勉強?」
「うん、二人で一緒にするの〜」
「お前と二人?」
「そうだよぉ」
「だ、駄目です!」
「え?」
「うん?」
普段からは考えられないような進藤さんの大きな声。
それ以降は顔を赤くして何も言えずに健二を見つめる仕草。
そこから進藤さんが考えていたことを読み取った健二は「一緒にテスト勉強はできない」と日和に言い出しました。
「どうして?」
「…え?」
「ちょっと約束があるのを忘れてた」
「約束って?」
進藤さんの方を見てから、今度は日和に視線を向ける健二。
「遊びに行く約束をしてたんだ」
「あ…」
「あ、そうなんだぁ〜」
「日和、悪いな?」
「ううん、約束があるんならしょうがないね」
「せ、先輩…」
「まあ、前から約束してたからな」
「それじゃ、今度だね〜」
「ま、機会があればな?」
「うん」
約束なんて当然してないはず。
なかなか『進藤さんシナリオの健二』はナイスな男っぷりですね。
テスト終了後、健二の教室の方へやってきたのは進藤さん。
玄関のところで朝のことを謝る進藤さんですが健二は気にしてないのでOK。
ですが一緒に商店街を歩いていても進藤さんは謝ってばかりです。
「そこまで気にすることじゃないぜ?」
「で、でも…」
「ん?」
先輩が、と進藤さん。
「女の人と仲良くしてたの見たら………ご、ごめんなさい…」
「……もしかして…」
「…え?」
「やきも…」
「ち、ちちがいます!」
「声ひっくりかえってるよ…」
「あ、いえ、その…えと…」
「ゴメンゴメン、違ったか?」
「ち、違くて…違ってなくて…」
「………」
「え、えと…」
真っ赤になって小さくなってる進藤さんを可愛い、と思う健二。
「こんなところが『むつきちゃん』らしい」なんて思う健二にちょっと痛い。
「少し嬉しいな?」
「え?」
「俺、なんか恥ずかしいこと言ってるな?」
「そ、そんなことないです」
「そうか?」
「だ、だって…」
笑顔になって……
「わ、私も…嬉しいですから…」
春休みに遊ぶことを約束する2人。
喜ぶ進藤さんの姿に子供の頃の『むつき』の印象を重ねる健二でした……。
えーと……
なんて言うか……
進藤さん、超かわいい。
いいですね〜いいですね〜。
進藤さんもなかなか俺にクリティカルヒットですよ。
大人しくて健気で。
でもその裏に隠された事実を考えると胸が痛い……。
【2/8】
雪希と一緒に登校。
校門にはいつものように「また空を見ていた」と進藤さんが。
雪希は笑いながらまた先に教室へ。
雪希が少しずつ壊れていく様子に『日和菌に感染』呼ばわりの健二。
やっぱり進藤さんはすぐに教室に行っちゃったんですけどね。
テスト終了後。
廊下にはこれまたいつものように進藤さんが。
もじもじしながら健二をテスト勉強に誘ってきた進藤さん。もちろん快諾。
健二の部屋にやってきた進藤さん。
テスト勉強としてはロクに役に立たなかった健二ですが、進藤さんと穏やかな時間を過せたので満足のようです。
そしてその帰り道。
「あ、あの…先輩…」
「ん?」
「せ、先輩にお電話しても…いいですか?」
「ああ、構わないぜ?」
「良かった…」
「んじゃ、俺も電話していいか?」
「あ、は、はい」
嬉しいです、と顔をほころばせる進藤さん。でも……
「そんな大げさだろ?」
「先輩からお電…」
そこで言葉が途切れた進藤さん。『あること』に気付いたのでしょう。
「…あ」
「どうしたんだ?」
「ご、ごめんなさい…」
やっぱり電話を頂く訳には、と申し訳なさそうに、そして哀しそうに進藤さんは言います。
「ん? 都合が悪いとか?」
「は、はい…」
肩を落とす進藤さんの姿に、理由を言い出しにくいことを読み取った健二。
きっと親父とかがうるさかったりするのかも、なんて思ってますがもちろんそんな単純な理由ではありません。
健二が電話で『むつきさん、いらっしゃいますか?』なんて聞いたら一発で『嘘』がばれてしまいますからね……。
それでも「他に男が…」なんて微塵も思わないところが健二らしくていいかな、と。
「まあ、色々と事情があるさ」
「は、はい…すいません」
「いいって…」
そして電車に乗って帰っていった進藤さん。
もちろんお互いに小さく手を振る2人でした……。
【2/9】
何故か健二は1人で登校。雪希は?
校門には進藤さんが。
いつもよりも健二は早く登校してきたのですが、それでもいつものように校門に立っていた進藤さんに「今日は早起きか?」なんてマヌケなことを聞く健二。
いつもこの時間なんです、と進藤さん。
「…え?」
「その…理由とかあって…」
「ほうほう、理由とは?」
「わ、笑いませんか?」
「笑うわけないだろ?」
「り、理由は…」
「うんうん」
「せ、先輩が来るのを……待ってました」
「俺?」
「え、えと…」
思わず黙りこくる進藤さん。
「……」
「こらこら、顔が赤いぞ」
「あの…えと…」
少しだけ慌てる進藤さんの頭に手を乗せて、柔らかい髪をクシャッとする健二。
ちょっとだけ目を細めて嬉しそうな表情。
そして顔を赤くした照れ笑い。
「ばかだな…」
「…え」
「こんな寒い所ですっと立ってたら、風邪ひいちまうだろ…」
恋の病には既にかかってますけどね。なんちて。ププッ(寒っ)。
「…は、はい」
「だからさ…」
「…………ご、ごめんなさい」
「しょうがねぇな」
「……」
初めて進藤さんが毎朝健二を待っていたことに気付いた健二。ニブ過ぎです。
「じゃあ、これからは俺も早起きするよ」
「えっ…」
「それでここで待たせないようにする」
「せ、せんぱい…」
顔を赤くして喜ぶ進藤さん。
2人は朝からラブラブだったとさ。
この日のテストも終了。
一緒に帰って、その別れ際。
お礼を言おうとした進藤さんの言葉を「毎回お礼ってのも他人行儀だ」と遮る健二。
「また明日ってくらいが丁度いいぜ?」
明るい表情で安心したように頷く進藤さん。
その頭のリボンに健二の目はいきました。
「そのリボンってさ…昔に俺がプレゼントした物?」
「え…」
「いや、いくらなんでも、そんな何年も保つとは思えなくてさ…」
「………」
黙ってしまった進藤さん。
それはもちろんリボンをもらったのは『むつき』だから……。
変なこと聞いたか、と健二も不安そうです。
「…いえ、違います」
「ああ、そうだよな」
「これが私が似た物を探してきて…」
「あ、なるほど…」
嬉しいと同時に少しだけ寂しかった健二。
自分のあげたリボンではないのは寂しいけど、わざわざ似た物を探してくれたのが進藤さんの気持ちが嬉しかったのです。
「はい、もう何代目が分からない位です…」
「そうだったんだ…」
じゃあさ、と健二。
「今度また新しいのプレゼントするよ」
「えっ…ホントですか!?」
「ああ、嘘じゃないよ」
『あはは、う、嬉しいです…』
先輩の言葉が嬉しかった。
でも、本当に喜んでいていいの?
そう自分に問いかける進藤さん。
進藤さんのモノローグです。
思い返すのは子供の頃のこと。
夕焼けの空よりも赤いリボンがとても綺麗に見えたこと。
どきどきしながら嬉しがっていたこと。
『ありがとう…』『ずっと大切にします』
潮風に流れたその言葉に顔を赤くしていた健二のこと。
あの日のリボンは進藤さんのお気に入りになってずっとしてきたこと。
そしてもうリボンをしてきた一つの理由。
もしかしたら、もう一度、見つけて欲しくてずっとしてたのかも…
先輩…本当に私を見てくれてるのかな…
『そのリボンってさ…昔に俺がプレゼントした物?』
健二の言葉を思い出し、そして落ち込んでしまう進藤さん。
「今度また新しいのプレゼントするよ』
きっと先輩は私を見ていてくれる。
そう信じる進藤さんでした……。
なにやら微妙な文章ですね……。
昔、健二にリボンをもらったのが進藤さんのように読み取れてしまいます。
でも俺は騙されませんよ?
そして健二の目に映っているのが自分なのか『むつき』なのか……不安に駆られる進藤さん。
ああ……本当のことを健二に言ってくれ!!
大丈夫だから!!
健二なら大丈夫だからさあ!!!
【2/10】
雪希と一緒に登校。結局昨日はなんだったんだろう?
校門にはやっぱり進藤さん。
雪希に春休みの予定を聞かれた進藤さんは健二の方をチラッと。
「遊びに行くんだよな?」
「は、はい」
「あれあれあれ〜」
「ど、どうしたんだよ?」
「なるほど、そうなんだ〜♪」
「か、片瀬さん?」
「うん、分かったよ」
「分かったって…」
「あはは〜♪」
ノリノリの雪希。こんな雪希もグッドです。
そして最後のテストが終わりました。
進藤さんとどこかに行こうと廊下で2人でいるところに声をかけてきたのは清香。
テストも終わったことだしみんなでパーっと騒ごうか、と言うのです。
たまにはいいか、と健二と進藤さんも参加。
どこに行くのかと思ったら…………ゲーセンかよ。せめてカラオケとかにしない?
健二をレースゲームに誘ってきた日和。
そして健二が筐体へと乗り込もうとすると、後ろから裾をクイッと掴まれる感触が。
「……」
「ん?」
「せ、先輩…」
進藤さんの心配そうな目と不安気味な顔を見て健二は言いたいことを理解。
日和にレースゲームは苦手なんだ、と言って参加を辞退する健二。
そう言われて1人でも楽しそうにゲームに挑む日和が妙に可哀そう……。
今度は清香。
パンチングマシーンの前で汗を拭う清香が勝負を挑んできました。
清香にはハンデをつけて、それでも健二が勝ったら「デートでもしてあげる」と清香。
「……!」
誰が好き好んでチビッコとデートするか、と健二は勝ったら違う物を請求しようとマシーンの前で構えますが……
「だ、駄目です!」
「え?」
「は?」
「あ、えと…その…」
「どうしたの? おっきな声だして?」
「その…あの…」
「……」
よっこいしょ、と軽くパンチを繰り出した健二。もちろんスコアは……。
手首を捻挫したようだ、と健二は言い訳。
それを「情けない」で済ませる清香もスゴい。
少し俯いて健二の裾を引っ張る進藤さん。
夕方、清香達を見送って2人きりに。
ゲーセンでのことを謝ってくる進藤さんの髪をクシャッと健二。
「先輩…」
「まだ、気になるのか?」
「は、はい…」
「俺は嬉しかったぜ?」
「え?」
「やきもちだろ?」
「え、えと…その…」
「あれ? 違った?」
「ち、違ってない…です」
「そりゃ、良かった」
翌日からは春休み。
2人だけで遊びに行こう、と約束した時の進藤さんの笑顔……たまらない。
近くに遊園地ができたことを雪希に聞いて、進藤さんとどこに行くかが決定。
もちろん雪希にからかわれながら。
【2/11】
やってきました遊園地。
コースターの安全バーで遊んでいてあやうく落ちそうになったり、お化け屋敷で進藤さんがめちゃくちゃ怖がったりしながらも楽しい時を過ごす2人。
夕暮れ。
周りのカップル達を羨ましがる進藤さん。
そしてキスする一組のカップルに言葉を失う2人。
帰ろうか、と踏み出された足。
背中には進藤さんに裾を掴まれている感触。
「……」
「……」
「先輩…」
「……」
「わ、私…」
「えと…その…」
「あ、あれ? …」
「な、何を言おうとしたんだろ…」
「その…あの…」
「……」
きゅっと唇を噛み締めて俯く進藤さん。
目尻には少しだけライトに光る滴。
「…先輩」
「……」
リボンに括られた柔らかそうな髪に触れる。
そっと…ゆっくりと近づいて……
小さな唇にゆっくりと重ねる……
『私のこと好き』
『大人しい子の方が好き?』
子供の頃、そう聞いた相手は少しだけ赤い顔をして、小さくゆっくりと頷いた。
『キスして…』
耳に聞こえてきたのは波の音と、近くにある相手の小さな息遣い。
健二と初めてキスした昔のこと。
小さな子供の頃の思い出。
『うっ、うっ』
『もう会えないの…』
何故かはわからないまま、そう言って走った海沿いの長い道は、目が霞んで見えなかった。
何度も転びそうになった。
小さな子供の頃の思い出。
そしてゆっくりと2人は離れて……
「……」
「……」
「せ、先輩…嬉しいです」
「えっと……二回目だね」
「……そう…ですね…」
「帰ろうか?」
「…はい」
海からの風を寒く感じながら歩く道。
それでも進藤さんと繋いだ手だけは暖かく……。
やがて目の前にはいつもの駅。
「……」
また明日、と健二。
「おやすみ、むつきちゃん」
「…………はい」
そう言った『進藤さん』は確かに笑顔で……。
「先輩…」
「ん?」
「前に見た冬の花火…綺麗でした」
「…花火?」
「白い夜の砂浜に…舞いあがった光が綺麗でした」
「先輩…」
進藤さんの部屋。
思い出すのは健二のことばかり。どんな時も健二のことを考えていたいと思える進藤さん。
『んじゃ、また明日』
『明日』と言う言葉が進藤さんを元気にしてくれた。
『やきもちだろ?』
照れながらそう言ってくれるのが嬉しかった。
『俺は嬉しかったぜ?』
健二の赤くなった顔が「側にいてもいいんだ」と進藤さんを励ましてくれた。
『むつきちゃん』
けれどこの先はどうなってしまうのか。
健二の笑顔が遠のいてしまう気がしてしまう。
「……」
「嫌だよ…」
「嫌なんだもん…」
健二が優しいから嫌い。
自分に優しくしてくれるから好き。
ずっとこのままでいなきゃ…
先輩は私を見てくれないのかな?
健二の別れ際の言葉を思い出す。
明日から雪希が部活の合宿。
家には健二1人になってしまう。
だから遊びに来ないか、と言う健二の言葉。
嬉しかった健二の言葉。
「でも…」
と言う訳で進藤さんです。
物語は大きく動きました。
それは健二と進藤さんの仲が進んだとか、キスをしたとか言うことではありません。
いや、もちろんそれはそれで大きいし羨ましいんですが、俺が言いたいのはそこではありません。
遊園地で遊んだ後の別れ際。
その時の進藤さんの言葉。
『白い夜の砂浜に…舞いあがった光が綺麗でした』
これは『むつき』の思い出ではありません。
『むつき』が健二とやっていたのは線香花火。
白い砂浜に舞いあがる光。そんな花火をやっていたのは……妹の方でした。
ついにそれを口にした進藤さん。
それは進藤さんなりの告白だったのではないでしょうか。
意図的なものであったかどうかはわかりません。
でも健二と確かな絆で結ばれた(キス)今、『むつき』でいることに耐えられなくなってきているのだとしたら……。
雪希の居ない片瀬家にやってくる進藤さん。
健二との運命やいかに(当然ヤることヤるんだろうなぁ)。
以下次回!!