2002.3.30 「加奈よ、永遠に……」編


 

「加奈」クライマックス……。

 

血液検査の結果、隆道と加奈のHLA型はミスマッチゼロ。

兄妹、いやそれ以上の絆がなせる業なのか。

もしくは夕美の愛の力か。

 

手術開始。

麻酔で眠っている隆道が見た夢は……。

 

『いってきます!』

 

今まで一度も見たことがないような元気な加奈が、弾むような足取りで走っていく姿でした。

 

藤堂加奈−−−

俺の妹。

血の繋がっていない、最愛の妹……いや。

俺と加奈の間には、今や切っても切れない繋がりがあった−−−。

 

加奈が健康になり、大学に入学した夢を見る隆道。

そして……手術終了。

 

1週間後。

手術後眠り続けていた加奈が目覚めました。

その間隆道と同じ大学に行く夢を見ていたという加奈。

手術は成功したのでした。

 

1ヵ月後。

大学に復学した隆道は午前の授業を終えて帰宅すると、玄関の鍵が開いていました。

「ん……無用心だな……」

ドアを開けるとそこにはキレイに並べられた小さな靴が1組。

慌てて玄関に上がりキッチン、和室、寝室など覗いても誰もいないことを確認するや、隆道は階段を駆け上がりました。

途中けつまづいて足の甲を打っても気にならない隆道。

2階に上がると『KANA』と書かれたドアの前に立って……ノブに手をかける。

「夢オチだったら……一生無神論者だ」

ドアを開けると聞こえてきたのは掃除機の音。

 

 

 

「か……」

 

 

 

目の前にある光景は、隆道がずっと願っていた希望そのもの。

 

 

 

「加奈!」

 

 

 

「え……?」

 

 

 

振り返った加奈と目が合って、みるみるうちに表情が輝いて−−−

 

 

 

 

 

「おかえり、お兄ちゃん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もういいです。

俺は満足です。この光景を見られただけで俺はいいんです。

この後のことはもうどうでも……。

 

って訳にもいかないのでどうぞ。

 

・抱き合う2人。

・加奈が健康になったことを喜び合う2人。

・論理、禁忌などを超越して愛し合っていることを確認した2人。

・ヤる2人。

 

「なにはともあれ……おかえり、加奈」

「……た、ただいまぁ」

 

幸せな『加奈のいる生活』が続きます。

その間、両親の臓器移植に反対したことに関する加奈への謝罪があったりしましたが概ね平和に時は流れていきました。

隆道と加奈の『精神的にも肉体的にも一つになる蜜月の時』が。

でもそんな時にも終わりがやってきました。

 

卒業後(高校かな?)、小さな本屋に就職することを決めた加奈。

加奈はそれと同時に一人暮らしをすることにしました。両親の反対を押し切った形です。

理由は……まぁ色々です。

隆道との関係を今のままではなく、胸を張ってよりそう関係にするため。

隆道に依存せずに生きられるようになるため。

その気持ちを理解している隆道は止めることができません。

 

そしてやってきた加奈の旅立ちの日。

引越しのトラックの陰でキスをする2人。

「……そうだな、何か俺にかけて欲しい言葉、あるか?」

「えーと……うん、あるよ」

「よし、聞こう」

「二つ」

「いいとも」

「一つ目は、何か元気で生きていこうって思えるようなやつを」

しばし考えた後隆道は言いました。

「……よし、心して聞けよ」

「はい」

「おまえの中にある腎はな、俺のと同じ腎なんだ。だから、おまえがどこにいるか感じることができるんだ」

「……どこにいても?」

「ああ。だから万が一の時は、どこにいても助けに行ってやるからな」

「……」

「一心同体だ、な?」

「……ぐす」

「こらあ、励ましの言葉で泣く奴があるか」

「だって……なんか、わーって感動しちゃって……やだな……ごめんね」

加奈の涙を拭いながら隆道はそっと加奈を抱き寄せます。

「よしよし」

「お兄ちゃんの胸ってあったかい……」

「ホームシックになったか?」

「……なったかも」

「それで、二つ目はどんなのがいい?」

「……うん、二つ目はね」

ごしごしと涙を拭いて加奈は言いました。

「愛してるって」

「なるほど」

えらそうに……。

「駄目?」

「いや、本当のことだし。よし、じゃあ行くぞ」

「……はい」

「愛してる、加奈」

「……」

「……」

「……」

「どうした?」

「……ちょっと……また感動しちゃって」

「言った甲斐はあったかな」

「あはは……お兄ちゃんの『愛してる』は……やっぱり効くなあ……」

「……」

「わたしも……愛してるからね」

 

そしてもう加奈が出発する時間に。

笑って見送らなければいけないのに涙が溢れてしまう隆道。

自分のために泣いてくれる隆道の涙を唇で拭う加奈。

「……」

「……」

正直隆道は迷っていました。

行くな、といえば加奈を止めることができるかもしれない、と。

ずっとずっと一緒にいたいから。

 

 

 

けど……。

 

 

 

「一心同体……だから、ね?」

 

 

 

「行ってこい、加奈」

 

 

 

「はい!」

 

 

 

満面の笑みを浮かべて、大きく元気に頷く加奈。

百点満点の笑みを。

 

 

 

そして軽快に走り出す。

 

 

 

 

 

「行ってきます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

加奈と俺の、新しい人生が始まる−−−

 

 

 

 

 

 

[ Fin ]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハッピーエンド!!!

 

そのことに文句があるやつは前に出ろ!!!

 

 

と言う訳で。

 

加奈は助かりました。

自分の人生を歩き始めたのです。

隆道と共にある人生を。

 

それだけで……十分です。

 

『ED1 ベストエンド はじまりのさよなら』でした。

 

 

 

以上を持ちまして「加奈〜いもうと〜」は完了です。

長い間ありがとうございました。

とりあえず今は余韻に浸らせていただきます。

明日にでも総評等を書きますので、今はただこの喜びを噛み締めさせてください……。


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