名無し(あやめ)

(ななし)


色街で拾われ、名前も付けられないままに育った少女。

 

おそらくは「銀色」の中でもぶっちぎりで悲しい生い立ちの持ち主です。生きているのか死んでいるのかもわからないままに育ち、「生きた証が欲しい」と言って死んでいった……。そんな「名無し」に名前をつけた儀助には心から「ありがとう」と言いたい。

「名無し」……いや「あやめ」にとって儀助との暮らしは幸せだったのでしょうか。流されるように生きた、と言う点では色街時代とあまり変わらないかもしれません。事実、儀助と会った当初は全く生きようとする意志を感じませんでした。ただ食べたいから握り飯を食っただけで、それは別に「生きるため」ではない。そんな印象でした。ならば色街にいた時と同じなのか、と言えばそれは違います。それだけは断言できるのです。

その根拠は儀助の存在。最初は物珍しさだけだったにも関わらず殺せなかった「名無し」は儀助にとっても特別な存在でした。想ってくれる人がいる。それこそが一番の違いです。ありがとう……本当にありがとう儀助。

死ぬ間際、岩穴に残された時に「側にいて欲しかった」と思えたことはあやめにとっても大きな成長と言えるでしょう。自分以外の誰かを想うことが何よりの「生きている証」なのではないでしょうか。

 

プレイ日記最終回でも書きましたが、儀助とあやめの幸せな生活。これこそが「生きた証」であると私は信じて疑ってません。あやめが自分の意思をはっきりと表す回数は本当に少ないです。儀助の胸で泣いた時。あとは銀糸に願いを込めた時。おそらくはこの2回だけだったでしょう。どちらもある意味ネガティブな感情(と言うと御幣がありますが)だったためか、エンディングでの明るく笑うあやめの姿がどんなに眩しかったことか……。その辺に関しては他のヒロインにも言えることなんですが、あの「あやめ」を見られただけでもクリアした甲斐があった、と心から思えるのです。

 

この「あやめ」と言うヒロインは主人公と俗に言う「恋愛関係」にならない稀有なキャラクターだったと思います。でもそれは決して軽い関係ではなく、本当に深い人間と人間の結びつきであったと思うのですがいかがでしょうか?


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