D.C.U〜ダ・カーポU〜

メーカー
発売日
2006/05/26
シナリオ
たけうちこうた
望月JET
雨野智晴
森の眼
舞浜ののか
原画
たにはらなつき
ちのちもち(赤松ヒロツ)
かゆらゆか
みつまむ
えこ
鳴海
音楽
Angel Note
猫野こめっと
tororo
鈴木マサキ
大久保薫
稲田昌宏(Alchemy+)
中野慎也
宇佐美宏
BABY FAZE

 プレイしたこと自体が意外だと言われまくっている「D.C.U」の感想でも。ネタバレ防止をする気力が無いので未プレイかつプレイ予定の方はご注意を。

 ■絵■

 複数原画家さんによる絵はキャラごとに違いが出てきて微妙な違和感があるものの、許容できる範囲だったので特に問題は無し。どなたがどのキャラを担当なさっているのかは存じませんが、個人的には小恋の絵が一番好きかな。

 ■音楽■

 印象に残ったBGMは特に無し。頻繁にボーカル曲のあるムービーが流れたりと、音楽に注力している様が伝わって参りました。ただ”過ぎたるは及ばずが如し”とでも申しますか、シナリオの流れをぶった切る勢いで挿入されるムービーにややウンザリ。クリックで飛ばせるものの、プレイしていて「またムービーかよ……」と気勢を削がれてしまいました。曲は結構いいんですけど。

 ■シナリオ■

 舞台は前作「D.C.」から50年経った初音島。再び桜が一年中咲き乱れるようになっているこの島で、主人公・桜内義之を中心に繰り広げられる”こそばゆい学園恋愛アドベンチャー”とのこと。ぶっちゃけ全然こそばゆくありませんでした。いきなりネタバレしてしまえば、前作と同様に”願いを叶える桜”が物語の根幹にあります。あと”魔法”も。

 以下クリア順にヒロイン別感想。

 ▼白河 ななか

 気さくで明るくて可愛い学園のアイドル。ただし「何を考えてるのかわからない」「やたらベタベタしてる」と言った理由から同性にはあまり好かれないタイプ。歌が上手くて、”白河”と言う名字ってことは前作ヒロインの1人である白河ことりの孫ってことなんでしょうか? 人の心を読む能力に関しては願いを叶える桜の力なので血縁は関係無いにしても、何らかの血縁関係はありそうですね。狙ってやっているのだと思いますが、その辺も含めて「ことりの焼き直し」的なイメージが拭いきれません。

 シナリオとしては能力云々よりも、渉・小恋を交えた”愛と友情の四角関係”が主。4人でバンドを組んでラジオ番組に出演しようと楽しく練習していたところで、義之とななかが付き合い始めたことにより、微妙なバランスを保っていた人間関係が崩れてしまう……と言う話。桜も魔法も関係ねー。

 『ことりシナリオの焼き直し』と書きましたが、それはことりとななかの設定と、能力を得る過程・失った後の過程の(明らかに狙っている)相似から感じた印象です。ただ、四角関係や病院にいる少女・小日向ゆずの存在などの要素が加わったことで、物語が多様化したようにも感じました。かと言ってそれがプラス要素なったかどうかは微妙なところで、【能力】【四角関係】【ゆず】の関係性がやや強引かつ無意味なものになっているのでは? 能力が無くてもストーリーには支障が無いように思えますし(イコール「D.C.U」である意味が無いことになっちゃいますけど)。

 ▼月島 小恋

 義之の幼なじみ。素直で純真なクラスのイジられ役。義之に想いを寄せていながらも長い間打ち明けることが出来ずにいて、いざ義之と結ばれる……と言う段になってななかの存在が大きくクローズアップされると言う話。ななかシナリオと同様に小恋のことが好きな渉の存在も大きく、これもまた当然の如く四角関係に発展。

 押せ押せのななかに対して、どうにも自分の気持ちをはっきりさせない小恋がじれったいのなんの。逆に積極的なアタックを見せながらも、好きな人や親友の気持ちを慮るななかの方が魅力的に見えてしまうのは如何なものか。小恋がなかなか踏み出さない理由も「なんだかなぁ」と言った感じですし。ななかシナリオで見せたウザいぐらいの勢いだった嫉妬魂はどうした?

 あと気になったのはシナリオによってキャラがコロコロ変わることでしょうか。ライターの違いによるものだとは思いますが、義之に彼女が出来るや否やあっさり身を引いて応援する立場に回る小恋と、ななか・小恋シナリオのイタい人と呼んでも支障が無いぐらいの小恋なんて完全に別人。口調まで違うような。こーゆーのって萎えるんですよね。

 ▼天枷 美夏

 ロボット。人間嫌いだった美夏が徐々に心を開いていく前半と、性的玩具のイメージが付き纏うロボットに対する偏見vs美夏を1人の人格・仲間として見る義之達の戦いが主になる後半と言う2つの展開が軸。悪い話じゃない。むしろ”いい話”なんだけど、それ以上のものは無い。心に訴えかけてくるものが無い、なんて言ったら大袈裟だけど、ようは読んでて「へー」で終わっちゃうんですよ。なんら新しいものを感じられなかったのが敗因か。

 ”バナナミン”を補給しないといけない、とか言ってバナナを食うのは美春の設定を引っぱっているんでしょうけど、それは美春好きの私に喧嘩を売ってるのでしょうか。(※単なる私情)

 ▼雪村 杏

 義之のクラスメートで、淡々と「ロリ」とか「萌え」とかを普通に口にするクール系。これがまた驚くほどに可愛くない。シナリオもグダグダで、クリア後はディスクがフリスビーに見えた。

 ▼朝倉 由夢

 義之と小さい頃から兄妹のように育ってきたため、義之のことを「兄さん」と呼ぶ。家の中と外では性格が真逆で、異様なまでに外面がいい……とまぁ見た目からもわかるように言ってみればポスト音夢。シナリオ展開上も音夢を彷彿とさせるようなシーンも多く、実際に音夢(と「DC」の主人公である純一)の孫と言う設定。「かったるい」が口癖という時点で敵認定は確実でしたが、幸いなことに気に障るほど連発されなかったので一安心。この口癖のせいで純一はいきなり萎えたからなぁ。

 それはともかく由夢。母親の血か(音姫参照)予知夢を見る能力があり、やがてやってくる未来を知りながらも義之と結ばれる健気さと強さがあり、ラストの夢からハッピーエンドに持っていくまでの流れもなかなか良かったと思います。ただそれでも全く可愛いとは思えなかったんですが、最早この辺は個人的趣向の問題ですのでご容赦願います。つか声優さんの演技が……うーん。あと義之が朝目覚めたらいきなり由夢が○ェラをしていたのを見て「どうやったら、こんな状況になるのか、まったく流れがわからない」とか言ってましたが、それはこっちのセリフです。

 ▼朝倉 音姫

 由夢と同じく小さい頃から義之と一緒で、親しみを込めて「弟くん」と呼んでくる姉的存在。母親が”正義の魔法使い”であり、音姫はその後継者。どのシナリオでも朝方に義之の部屋の窓を寂しげに見上げているシーンがありますが、その真相は音姫シナリオで明かされました。かいつまんで言うと『街の人を助けるために義之を見殺しに、と言うより直接手をかけるに等しい行為を行うことになる』という過酷な運命を背負っていたとのこと。

 正に全シナリオに絡んでくるキーパーソンとも言えるキャラなんですが、それが自分のシナリオともなるとこうも(キャラ的に)弱くなるとは。なんつーか、ただ普通に「弟的存在を好きになったお姉ちゃん」的なシナリオを貫いた方がまだインパクトがあったような気がします。音姫が自分の使命果たすべきかどうか苦悩する部分は、思っていた以上にあっさりしていたように感じました。わざわざ最後にとっておいたのに肩透かしを喰らった気分です。最後をエロシーンで締めくくられたような印象があるのもマイナスポイント。

 ▼芳乃 さくら

 全員をクリアすると物語の裏で何が行われたのかを知ることが出来る「D.C.」に突入。そこではさくらが主人公となって”枯れない桜”が再び咲き乱れ始めた理由等が明らかになります。前作での主要キャラをここまでイジめるのか、と言う酷い仕打ちではございましたが、物語を別視点から見る手法は嫌いじゃありません。

 さくらの奮闘が無事実って、ハッピーじゃなくてもベターなエンドを迎えられれば……と思ったら一体何が起こったのか全くわからないエンディングに。見事なまでの次回作に向けた布石? わけのわからないことでプレイヤーを煙に巻く手法? いずれにしてもシコリを残す終わり方でした。はっきり言ってしまえば不愉快

 全体としては丁寧に作られていたように思えます。でもそれだけだったかな、と。テキストが面白かったワケでもなく、ぐいぐい引き込まれるシナリオだったワケでもなく。かと言ってキャラ萌えに徹しているワケでもなく(ひょっとしたらキャラ萌えゲーだったのかもしれませんが、私は全くピクリともしませんでしたので(※ハートが、です。股間が、ではありません))、個人的には”萌えゲー”にカテゴライズする気にもならず。全てが中途半端? そんな感じ。お薦めにあらず。


個人的満足度: ★★★★★|★★★★★
執筆: 2006/07/13