12RIVEN -the Ψcliminal of integral-「12RIVEN -the Ψcliminal of integral-」の感想&レビューをば。18禁ゲームじゃないコンシューマ作品だけど、PC版をプレイしたのでここに掲載。ネタバレが致命的な作品なので、公式サイトとかに掲載されてるレベルのネタを隠さない上限にしたいと思います。思いますが、難しそうだなぁ……。 ■絵■ キャラクターデザインは滝川悠さんとbomiさんのお二人。主に滝川さんが錬丸ルートで、bomiさんが鳴海ルートを担当した、と考えればいいかも。いずれも立ち絵に関しては特に気にならなかったんですけど、一部のイベントCGに難あり、でしたね。上手・下手は好みの問題があるからさておくとしても、どうにも「ヤッツケ突貫で描きました&塗りました」的なCGが見受けられてアチャー。実際はどうやって描かれたのかなんてわかりませんけど、プレイヤーにそう感じさせてる時点でちょっとマイナスポイントかと思います。ただ、この微妙な絵がある意味伏線やトリックに1枚噛んでるとか噛んでないとか……。 ■音楽■ 特に印象的なBGMは無し。緊張感・緊迫感が命の作品だけに、雰囲気を盛り上げる音楽面はもうちょっと頑張って欲しかったかな。ED『プロセス』よりもOP『third bridge』の方が気に入ってます。 ■シナリオ■ 簡単なあらすじ高校生・雅堂錬丸と公安捜査官・三嶋鳴海のもとに、ほぼ同時に届いたメールにはそれぞれ『ミュウと言う少女の命が奪われようとしている』とあった。そしてメールで指定されていた廃ホテルの屋上へ駆けつけた2人が見たものは、降りしきる雨の中で倒れる少女と不思議な力を使う集団。必死で抵抗する錬丸と鳴海だったが、鳴海は拘束されてしまい、錬丸もミュウをかばいながら自分自身も絶体絶命に。そして錬丸が文字通り命を賭して逃げ出した先は、自分達以外誰もいない世界だった。 と言うワケでいつも通りクリア順にヒロイン別感想、といきたいところですが「12RIVEN」はそんなゲームではありません。鳴海視点で進む『鳴海ルート』と、錬丸視点で進む『錬丸ルート』、その後解決編となる『∫(インテグラル)ルート』の3つのルートに分かれることになります。そんなワケで、クリア順に各ルート感想をば。 ▼鳴海ルート▼ 重態の後輩・真琴と自分達を守って瀕死となったチサトを心配しながら、消えた錬丸とミュウの影を追いかけつつ、同僚で元カレの大手町や養父であるボスすら完全には信じられない状況において、妙に頭のキレる高校生・オメガを携えるもその正体も微妙に不明であり、得体の知れない複数の組織が入り混じる中、謎の超能力を使う連中を相手に、目的も手段もわからない『第弐エクリプス計画』を阻止するべく奔走する話。一言で言えば混沌。もう次から次へと新たな真実にぶち当たり、新たな敵が現れて、真実や常識を覆す更に新たな真実が出てきて……と、とにかく東奔西走とは正にこのこと。 一度見たり聞いたりしたものは絶対に忘れないと”サイクロペディア症候群”を武器に、鳴海は『第弐エクリプス計画』阻止に向けて文字通り走り続けます……走り続けるんですけど、その様子が”走らされてる”感があって、自らの意思で動いてるイメージが伝わってこないんですよね。鳴海の無力感を醸し出すために狙ってそんな雰囲気を作り出していたのかもしれませんが、それ故にあまり感情移入が出来ませんでした。 基本的に謎の8割は解けないまま鳴海ルートは完結してしまうので、クリア後も爽快感はあまり無し。クライマックスもなんだかあっけなく感じてしまい、「それで終わり?」みたいなエンディングでした。「12RIVEN」と言う物語で言えばプロローグ的なシナリオですので仕方ないんでしょうけど、もう少しカタルシスを感じたかったかなー、と思います。 ▼錬丸ルート▼ ミュウと2人で逃げた挙句にたどり着いた”生物がいない”謎の世界。その中で出会ったマイナなる女性と行動を共にしながら、元の世界への帰還を目指しつつ、ミュウを守り続けることを目標に錬丸が頑張るストーリーです。目的が比較的はっきりしていて錬丸達が能動的に動いてくれるおかげか、鳴海よりも感情移入が出来ました。鳴海ルートと表裏一体ではあるものの、その一体っぷりはそれぞれのシナリオをプレイするだけでは味わえず、その醍醐味はこの後の『∫ルート』までお預けです。 ヒロインたるミュウが可愛いのか微妙なのか、なかなか絶妙なラインを攻めてきてくれるのが困ったもの。や、可愛いとは思うんですけど、現実にあの喋りをされたらブチきれるような気がしないでもないのです。でも「ありんちょす」は私の中で大流行中だったり。 錬丸のいいところは決してスーパーマンじゃないところですね。『Ψ』も使えず、めちゃくちゃ頭がいいワケでも運動神経がいいワケでもないけど、それでもミュウのために奮闘する姿がまさしく等身大のヒーロー。まぁ【志村会vsミラージュ】のあたりでの流されっぷりは少々頂けませんでしたが。それにあのエンディングはどうなんだろう……と思わないでもありませんけど、全ては『∫ルート』のために。 ▼∫ルート▼ 鳴海ルートと錬丸ルートを融合させ、更には新たな真実を見出す完結編。”Ψ”の正体、ミュウの正体、マイナの正体、チナトの正体、オメガの正体、メイの正体、はては鳴海の正体まで、それまで当たり前としていた事柄を次から次へと覆されていく怒涛の展開。その見事としか言えない複雑怪奇な事実の絡み合いは、一体どんな脳みそから生まれてくるのやら。 の関係には「やられた!」と物凄い勢いで帽子を脱ぎました。あのを隠していたとは。ただしについては正直「?」ですね。や、プレイしていてとは思ってたんですけど、が、ってことに気付けなかったのはぶっちゃけが大きな理由の1つじゃないですか。だと思ってましたし。もしかしてそのためにしてたとか? だとしたら理解は出来ても、ちょっと納得は出来ないかも。 鳴海視点における重要人物である真琴に関しても、いきなり重態状態で登場して、その後は回想シーンでチラホラ出てくるぐらいでしたので、鳴海がどんなに心配してもプレイヤー的には真琴とは積み重ねた時間や経験が無いのであまり心配にならないと言う致命的な穴があったんですよね。そこをもっと上手く扱ってもうちょっと思い入れが生むことが出来れば、真琴と言うキャラやクライマックスに至るまでの展開にも、感情移入度が大いにアップしたのではないかと思います。 もう1つ気になったのはってことでしょうか。確かに見事なトリックでしたが、これはじゃないですか。その分、衝撃と感動は薄かったのは個人的に残念でした。 それでも次々と明かされていった真実に、正直圧倒されたのも確か。特に前述のやにはシテヤラレタ感がいっぱいで、エンディングの大団円的ハッピーエンドも良かったです。中でも遊々が。錬丸サイドにいた頃の遊々はあまり好きにはなれなかったんですけど、ラスト付近の展開から一気にお気に入りとなりました。 とにかく”infinityシリーズ”の醍醐味とも言える無茶無理無謀かつ難解混迷を極めた独自路線的超SF設定の数々と、その設定を大いに利用した伏線と謎の山盛り展開に、こっちはもうイッパイイッパイでした。何とか理解したつもりではいるものの、それを誰かに説明しろと言われても「無理」としか言えないような状況です。自分の中で自分なりの解釈を見出して咀嚼・消化するには、最低でもあと2周はしないとダメでしょうね。 今の私の希望は、20年前ぐらいからの時系列と、ゲーム内時間の時系列の両方を懇切丁寧に解説してくれる親切かつ奇特な人の登場です。まとめサイトとか出来てくれないかな……。 テキストは面白さよりもスピード感と謎解きを重視してる傾向があるので、日常の描写は読みやすくはあるものの、面白みにはやや欠けるところがあったように思います。キャラゲーじゃない分を差し引いたとしても、終盤にならないと明かされない設定を背負ったキャラが多いため、どうしても表面をなぞる程度しかキャラを掘り下げられなかったのも痛い。それは主人公の1人である鳴海にすら言えることでした。 分量はこれぐらいがちょうどいい、と言うよりもこれ以上は無理。共通ルート以外はあまりスキップ出来ないですし、プレイ時間はそれなりに長かったように思います。これで世間で短いとか言われてたら、私はもうどうしようって感じですよ。 声優さんの演技に関しては問題無しで、中でも一番光っていたのは遊々役の小林ゆうさん。あの尊大かつ芝居がかった大仰な台詞回しは楽しませて頂きました。のも、やっぱり伏線なんですかね? タイムリミットが定められている中でのストーリー展開をわかりやすくするため、そしてための場面転換ごとの時刻表示は演出としてグッド。ただ現実問題として、あの時間通りに行動するのは人間として無理があるような気がしないでもありません。 時間の概念を扱っていることで、細かく検証すればどこかしらに矛盾や綻びがあるかもしれませんが、そんな重箱の隅を突いたところでさほど意味は無い上に無粋の極みですので、特にここでは突っ込まない方向で。決して面倒臭いワケではありませんよ? 小難しい理屈や薀蓄を読ませられることに耐性があり、サスペンスや謎解きが好きな方であれば楽しめることは間違いないでしょう。語られる概念の難しさは”infinityシリーズ”の中でもナンバー1だったと思います。私自身はそれなりに楽しめましたが、怒涛のごとく提示されてくる真実・新事実の嵐を処理するのにあっぷあっぷで、ストーリーを楽しむ余裕があまりなかったのが残念でした。あとプレイしたのがPS2版ではなくWindows版だったので、どうにも「ここでエロシーン?」的な考えが頭をよぎったりして。ゴメンなさい。 |
| 個人的満足度: ★★★★★|★★★★★ |
| 執筆: 2008/04/17 |