塵骸魔京

メーカー
発売日
2005/06/24
シナリオ
夜刀史朗
原画
Niθ
音楽
ZIZZ

 「塵骸魔京」の感想・レビューをば。

 ■絵■

 原画はNiθ氏。読み方は薄学故に存じません。氏の絵に触れたのは本作が初めてでしたが、ド派手にダークなストーリーとの相性はバッチリ。エロに向いてるか、と言われると微妙だと思いますが、その辺は求めてませんので無問題。

 ■音楽■

 作風からか暗めなBGMが多いですが、やはり注目すべきは戦闘シーンの盛り上がり。特にイグニスのクライマックスで主題歌「孤高之魂魄」が流れた時は鳥肌が立ちました。いとうかなこさんが歌うこの曲のカッコよさは半端じゃなく、今でも頻繁に拝聴させて頂いております。

 ■シナリオ■

 簡単なあらすじ全く他人の感情を感じることが出来ず、所謂「空気を読む」能力があまりにも皆無な主人公・九門克綺。そんな彼がふとしたきっかけより魔物達が跋扈する闇の世界へと足を踏み入れ、また自身に秘められた大いなる謎が解き明かされていく過程において、人外の者との触れ合いによって逆に人間らしさを得ていく皮肉なストーリー進行。

 克綺は自分のことを「心臓がない」とよく表現するけど、これが物理的に心臓が無いのか、人間らしい感情が欠如した自分を揶揄しているのかは最後まで謎。まぁ前者ってことは無いと思いますが……。と思ったら公式サイトのキャラクター紹介で『物理的に心臓が存在しておらず』ってあった。マジかー!?

 ADVと言うよりもビジュアルノベルに近い感じ。戦闘シーンの描写にしても、戦闘そのものの盛り上がりより、心情の表現に力を入れているように感じました。人間らしい感情を持っていない主人公が、最後の最後でどんな『人間らしい判断』を下すのかが物語の肝。

 単なる勧善懲悪の枠に当てはまらない謎のキャラクターも多く、その謎が最後まで解明しなかったのはプレイヤーに対する謎かけと言うよりも、伏線の回収漏れor想定していたシナリオの欠落のような気がしてならないのは、かなり大きなマイナスポイントでした。

 ヒロインは3人プラスα。”最も気高き刃”と呼ばれるイグニス、人狼族の少女・風のうしろを歩むもの(←これが名前)、アパートの管理人と見せかけて実は”最も古い祈り”と呼ばれる機械人形である花輪黄葉がメインの3人で、これに隠しヒロインとして謎の少女・ディディーが加わります。

 この中ではイグニスが群を抜いてるように思います。シナリオ的にも設定的にも個人的にも。とにかく存在の全てがカッコいいのです。ラストは震えましたね、正直。あの演出は反則ですよ、反則。そら震えるっつーの。

 他にも克綺の妹・恵やクラスメート・牧本美佐絵などの登場人物もおりますが、特筆すべきは牧本。クリア後に「あれ? 牧本シナリオは?」と首を傾げたくなるぐらい放置された伏線があるのです。それも誰かのシナリオで片手間に回収出来るような生易しいモノじゃなくて。これならディディーの分を削ってでも牧本を補完して頂きたい、と言うのが多くのプレイヤーの叫びではないでしょうか。

 (※小説等でどうなってるのかは不明。未読ですし、そもそもゲームの伏線はゲーム内で回収するべきかと)

 テキストはやや冗長気味で、難解な表現の多用が気になります。シナリオそのものが長いのはまぁ仕方ないとして、シナリオを進める上で飽きがくるような事が無かったのはテキストを評価するべきポイントではありますが、それでも少々テンポが悪かった感は否めません。これでもうちょっと勢いのある展開を見せてくれたら自信を持って良作としてお薦め出来たかもしれません。


個人的満足度: ★★★★★|★★★★★
執筆: 2007/07/10