波の間に間に〜さざなみ診療所〜

発売日
2005/01/27
シナリオ
北側寒囲
原画
ぺこ
音楽
沢村竣
絵莉
村井徹哉

 「波の間に間に〜さざなみ診療所〜」の感想&レビューをば。

■絵■

 原画はぺこさん。柔らかくて淡い印象の塗りと相まって、ゲームの雰囲気にはぴったりの絵柄でした。北側さんのシナリオとは相性がいいように思います。ただ「ここでイベントCGがないの?」的なシーンが多かったのが残念です。

■音楽■

 主題歌をヒロインにキャスティングされている歌の上手い声優さんに歌ってもらうのは、ブルームハンドルの得意技。いい仕事してます。BGMも悪くないけど、使いどころに一部難アリ。

■シナリオ■

 簡単なあらすじ不真面目な勤務態度を咎められて、離島の診療所に左遷させられてきた研修医・篠原修太郎。自然以外に何もなく、海と山に囲まれた神来島から一刻も早く脱出することを考えていた修太郎は、島の人達との交流を深めるにつれて徐々に島を愛するようになり、また医者としての自覚にも目覚めていくことになる……。

 言ってみれば『頭の悪いDr.●トー』って感じでしょうか。以下クリア順にヒロイン別感想。

▼清瀬理恵▼

 人となり(?)島唯一の診療所に勤務する唯一のナース。生粋の神来島っ子であり、生真面目で融通が利かない性格。初対面でおちゃらけていた修太郎を最初は軽蔑していた。晩酌などのオヤジ趣味あり。

 素直になれないツンツン娘。でもそこが可愛い。たまに照れて顔を赤らめたりしながら強がったり。そこも可愛い。何かと修太郎と衝突する理恵ですが、成長していく修太郎を一番近くで見ているのですから、惹かれていくのもやむなしと言ったところ。付き合った相手に完璧を求めるのは周囲から欠点として見られがちではありますけど、それだけ修太郎に期待しているのだと思えば、やっぱり可愛いものじゃないですか。

 そんなこんなで、こんな看護婦がいたら間違いなく通いつめること請け合いな理恵さん。上記の通り修太郎と一番多く行動を共にしているため登場するイベントも多く、徐々に修太郎に対する態度が変わっていくのが見て取れるのは好印象でした。一度勘違いから関係を持ってしまった後、直ちに結ばれるような安易な展開じゃなかったのも悪くなかったです。結論としては言葉ではなく態度で自分の気持ちを表す”神来島スタイル”万歳、ってことで。

 しかしあのスタイルでパツパツなナース服とか、一歩間違えるとエロスの権化だと思います。

▼向井真名▼

 人となり(?)診療所の医師・邦光の孫娘で裕美子の一人娘。元気で明るく、修太郎を真っ直ぐに慕ってくるとても良い子。機転も利くが基本的にはおっちょこちょいで思い込みの激しい一面も。

 初対面から修太郎を慕いまくってくるんですが、あいにく私は『お兄ちゃん』と言う呼ばれ方に魅力を感じない、世の妹大好きな方々とは一線を画す性癖の持ち主。まぁその辺は抜きにしても、好き好き大好き攻勢は大いに私の自尊心を満たしてくれました。こんな子が近くにいたら、間違いなく人生勝ち組です。

 そうは言っても修太郎と付き合うようになってからの付きまといっぷりは、少々邪魔っけではありました(理恵さんとの空間に……、と凄まじく個人的な怒りを燃やすプレイヤーがここに1人)。でもそこから一歩大人になって、更には目指すべき目標と歩むべき道、取るべき方法を自分で選んでみせた真名の成長に乾杯。このゲームは基本的に修太郎の成長物語ではありましたが、真名は唯一修太郎と同じぐらい成長してみせたキャラだったかと思います。

▼浅葱遙▼

 人となり(?)心臓に持病があり、母親の実家がある神来島へ夏休みを利用して療養にやってきた女の子。真名とは知り合ってすぐに親友に。

 母親が裕美子さんを一方的にライバル視してる、という設定をもう少し上手く使って欲しいところではありましたけど、裕美子さんの癒しパワーの前には積年の(一方的な)恨みも形無し。あれはあれで平和的解決でしたのでホンワカ出来ました。それ以上に残念だったのは、遙自身のキャラが非常に薄かったばかりか、シナリオまで薄くて印象があまり残らない点です。もうちょっと掘り下げて欲しかったかなぁ。

 ”先”を感じさせるエンディングは悪くありませんが、遙の場合はその”先”を見せてくれた方がより良かったのではないでしょうか。なんかあの終わり方だと、結ばれてすぐにハイサヨウナラ的な展開のせいもあって、いまいち余韻が残らないように感じました。あと個人的な趣向として『ラストは1枚絵(イベントCG)で終わるのがイイ』ってのがあるので、それがなされなかった点もマイナスポイントだったり。

 元々が真名シナリオからの派生で、半分おまけみたいなシナリオでしたのであまり多くを望んではいけないのかもしれません。

▼片瀬玖実▼

 人となり(?)島唯一のスナック・エウレカのママで、歳の離れた妹・梨花と2人暮らし。その美貌と魅惑的なスタイル、気風のいい性格で島の若い男達憧れの的。

 遙シナリオが半分おまけみたいなシナリオだったとしたら、玖実シナリオは完全なおまけ。酔っ払って意識をなくしていた修太郎を突然襲う玖実→結婚エンド】と言う神がかり的な怒涛の展開に呆然唖然。ま、それこそおまけってことで「サービス、さんきゅーです」と捉えるのが吉でしょう。妹の梨花と合わせて色々と動かせそうなキャラだっただけに、ちょっと勿体なかったです。

▼向井裕美子▼

 人となり(?)診療所の医師・邦光の娘で真名の母親。10年前に漁師であった夫を亡くしている未亡人。真名ぐらいの娘がいるとは思えないほどの若々しさと、歳相応以上の包容力の持ち主で、島の隠れたアイドル的存在。

 誤解を恐れずに言ってしまえば、この裕美子さんは『攻略出来る秋子さん(Ka●on)』。年齢不詳の若々しさと柔らかくも温かい包容力。さりげなく導いてくれる優しさ。美貌とスタイル。この母性と可愛らしさの融合に、漁労長じゃなくても夢中になってしまうのは仕方のないこと。それは私とて例外ではなく、修太郎よりも年上で全ヒロインの中でも最年長であるにも関わらず、一番可愛らしいとか何事ですか。非常にけしからんです。その魅惑のオッパイも凄くけしからんです。

 裕美子さんシナリオは修太郎が一番成長するシナリオでもあったので、そーゆー意味でもお気に入りのシナリオで、お気に入りのキャラ。亡くなった旦那さんに嫉妬するまであります。

▲親子丼▲

 裕美子さん&真名を相手取った当然の夢落ちシナリオ。これこそ真・おまけ。もしかして夢落ちハーレムシナリオはブルームハンドルの定番なのでしょうか?

 私がプレイした北側寒囲さんシナリオのゲームとしては3作品目ですけど、相変わらず小さいコミュニティ内の人間模様を描くのが非常に上手い。いつも小さな騒動が起こる暖かくて優しい田舎町で、その上あんなにも美人揃いとなれば、即刻移住を希望したくなる勢いです。

 ヒロインの持つトラウマを解消するワケでもなく、大きな事件が起こるワケでもなく、あくまでも日常の中で結ばれて、日常を描いて終わる。そんな起伏のないシナリオが凄く心地いいのは私だけではないはずです。少し笑って、少し感動して、大いに癒されるゲーム。それが「波の間に間に」。逆に盛り上がりの無さが物足りなさと感じられる人にとっては、あまり面白くないゲームかもしれません。

 サブキャラもいい味出してました。体力系単純エロの政利や、ナルシス系優男エロの隼人と言った男友達連中も非常に気のいい奴らで、あんな親友がいたらどんな場所であっても楽しく過ごせそうです。裕美子さんに惚れているためか何かにつけてイチャモンをつけてくる漁労長も、憎みきれない愛すべきキャラでした。修太郎を鍛え、医者としての目を覚まさせてくれた邦光もまた、この物語には欠かせない重要人物。そんな魅力的なキャラ達が小さい神来島で、文字通り所狭しと騒動を起こしまくるのですから、それが楽しくないはずがありません。

 基本的にシナリオの展開が細かいイベントの連続なので、途中で中弛みするようなこともなくゲームを進めることが出来ました。最初は怠け者でいい加減な修太郎が癇に障って仕方ありませんでしたけど、島の人達との交流の中で医者としての意識が芽生えていく様子は非常に好感が持てて、成長物語として見ても◎。

 エンディングは裕美子さんと理恵さんにあるノーマルエンドや、誰とも結ばれないままのエンディングも含めて、暗い気持ちにさせられるものは1つも無いのがグッジョブ。個人的尺度で全てがハッピーエンドと言える終わり方なのは、非常にありがたい親切設計でした。まぁこのゲームで『遙死亡エンド』とかやられても全てをぶち壊すだけですから、これは英断だったと言えるでしょう。

 とにかくまったりとした離島の田舎での生活を楽しみつつ癒されるゲーム。疲れた現代社会に住まう心の迷子達は、今こそこーゆーゲームをプレイするべきかもしれません。


個人的満足度: ★★★★★|★★★★★
執筆: 2008/06/27