こなゆき ふるり 〜柚子原町カーリング部〜「こなゆき ふるり 〜柚子原町カーリング部〜」のレビュー&感想をば。もうネタバレ全開でいきますのでご注意を。 ■絵■ 原画はぺこさん。ほわほわした絵柄がいい感じでした。SD絵も可愛らしくてよかったと思います。ただCG枚数が少ないはまだいいんですが、「このシーンでCGが無いの!?」的な場面がチラホラ見受けられたのはちょっと残念。具体的には試合のシーンとか。 ■音楽■ 印象に残るBGMは特にございませんでしたが、のほほんとしたゲームの雰囲気によく合っていたかと。それよりも特筆すべきは主題歌でしょう。OP・ED共に出演声優さんに歌わせるとは……ブルームハンドルやりやがる!と思わず声をあげてしまう程のグッジョブ。ネタでもキャラソンでもなんでもなく、ガチで歌の上手い声優さんだからこそですが、マジでやってくれました。OPの芝原のぞみさんとEDの柚木かなめさん、共にナイスジョブ。 ■シナリオ■ 簡単なあらすじ北海道の片田舎にある柚子原町は、色んな町おこしを企画するもことごとく外してきた寂れた町だった。町内会は新たな町おこしとして『カーリング』を提唱し、その監督として指名されたのはスピードスケートの道を挫折して暇をもてあましていた主人公・星野哲弥。小遣いアップなどの邪な理由で監督を引き受けた哲弥の元に集められたメンバーは、柚子原町を代表するキレイどころの面々。果たして柚子原町カーリング部の行く末は……? 攻略対象は6人(と言っていいのかどうか微妙ですけど)。以下クリア順にヒロイン別感想。 ▼松島小雪▼ 人となり(?)哲弥の隣にすむ2歳年上の幼なじみ。昔は『北の大地の妖精』とまで呼ばれるフィギュアスケーターだったが、怪我でその道を断念。悶々とした日々を送るうちに、優しい隣のお姉さんだった小雪は、何時の間にやら刺々しくなっていた。 なにはともあれツンデレ。ラブレターは相手の目の前で破く主義らしいけど、公式のキャラ紹介では何故かそれは咲の主義ってことになっている不思議。子供の頃に哲弥からもらったラブレターだけは唯一保管してあるところとか可愛らしい一面もあるんだけど、全体的に見たらどうしてもあまり可愛くないんだよなぁ。嫌いなワケじゃないんですけど、もうちょっと素直になって欲しかった。 小雪シナリオではカーリングチーム解散後、哲弥が背中を押す形で再び小雪はフィギュアを始めるワケですが、どうにも自分の演技に納得出来ない小雪を助けるために哲弥もフィギュアを始めることに。うん、そこまではいいんです。ただ2人がペアを組んで、大会に出て……となるにつれて哲弥と小雪の技術向上っぷりがいきなり過ぎて、どうにも違和感がありました。もっと長い年月をかけて丁寧に2人がステップアップしていく様子を描いてくれればよかったのに、と思います。一言で言えば小雪も言ってましたけど「フィギュアなめんな」と。ラストが唐突過ぎた、ってのもあります。なんか普通の流れで突然10年後とかになってて驚きました。 ▼吉岡冴子▼ 人となり(?)哲弥のクラスメート。哲弥が所属していたクラブのフィギュアスケーターで将来を嘱望されている。哲弥のことが好きで、何とかクラブに戻ってきてくれないかと画策しているうちに、カーリングに巻き込まれる。 小雪シナリオから派生する形で冴子シナリオに。小雪を助けるためにフィギュアを始めた哲弥をサポートするのが冴子です。そうこうしているうちに小雪が好きだったはずの哲弥は冴子のことが気になり始めて、小雪とはクリスマスの夜にキスまでしといて「隣のお姉さんに対する憧れにすぎなかった」となって、冴子と相思相愛に……ってナンジャソリャーッ!! しかもこれまたいきなりエンディングになって、冴子とペアで大会優勝してるとかどんなサプライズですか。 小雪シナリオからの方向転換が強引過ぎて、かなり不憫な展開になってる気がします。唯一年上じゃない貴重なヒロインだったし、立ち位置的にも美味しかったのに……とかなり勿体無いヒロインでした。 ▼中原麻美▼ 人となり(?)たった1人で牧場を切り盛りするクールビューティー……のように見えて、実は人と話すのが苦手なだけで結構お茶目(死語)。飼っている牛達を何よりも愛している。 麻美の牧場を潰して道路を通そうとする権力(伊織の父親)との争いから派生して、麻美の結婚問題まで。ややご都合主義が過ぎるエンディングもそうですが、伊織の父親が態度を改めるのが急展開過ぎて「それまでの確執は一体何だったんだ」と聞きたくなりました。でも他のシナリオでは空気で単なるパンチラ要員以上にはなりえなかったの伊織が大活躍なのは良かったです。 結局物語中全てを通して唯一の悪役だった森。登場したときはその余りの美味しいマヌケっぷりから通りすがりのギャグ要員かと思ったのになぁ。さきほどご都合主義が過ぎるエンディング、と書きましたけど、なんだかんだ言って善意と麻美の努力の賜物であることは間違いないので、そんなに悪いエンディングではありませんでしたよ。村おこしも出来たし、めでたしめでたし。 ▼御堂伊織▼ 人となり(?)哲弥の2歳年上で学生会長。親が資産家で町会議員のお嬢様。常に高笑いをしているタカビーな印象があるが、実はかなりヌケたところのあるお人よしでもある。ただ基本的には優秀な人なので、氷の上を歩けないというカーリングに致命的な欠点を除けば大抵のことはこなせる。 一応麻美シナリオからの派生ではありますが、麻美の牧場問題はあっさり解決するしヤッツケ仕事感がバリバリなシナリオでした。でも何気に嫌いじゃないシナリオであるのは、伊織のキャラによるところが大きいと思います。最初は単なる高飛車キャラ兼パンチラ要員かと思わせて、なかなかに愛すべきキャラクターだったかと。高飛車笑いをしてるとむせるところとか、個人的にはポイントが高かったりします。 伊織の場合は伊織自身の個別シナリオよりも、朋美シナリオにおける”最終兵器”扱いで試合に出られないことに対する騙されっぷりと、そのことに対する周囲の反応が一番のお笑いポイント。ありがちなネタではありますが、それを地方予選から始まって世界大会まで引っ張るとは恐れ入りました。 ▼木之下朋美▼ 人となり(?)大学生で実家の八百屋を手伝う町のアイドル。常に笑顔を絶やさない穏やかな性格にファンは多い。メンバー中、唯一のカーリング経験者でもある。 高校時代は全国大会決勝までいった名カーリングプレイヤー。その決勝戦での結果に関してチームメイトだった咲とは確執が……と思わせて、実は『咲の恋愛感情的好意に気付いていた』って設定はいらなかったかな。なので私の中で咲シナリオはパラレルワールドってことになってます。いや、だって、ほら、咲シナリオってアレですし。朋美に関しては哲弥の初恋相手って設定をもっと活かしてもらえればモアベターでした。 全シナリオの中で一番カーリングにこだわったシナリオでしたし、メインヒロインを小雪だとしたら朋美は”真ヒロイン”と言ったところでしょうか。後半どんどん壊れていく咲が面白かったこともあって、シナリオとしては一番好きです。ただ公式戦一勝もしていなかったチームが、そのまま勝ち続けて世界大会に出場って展開は少々安易過ぎて頂けないかも。せめて数年後とかにしてもらえればよかったのになぁ。 ▼習志野咲▼ 人となり(?)隣町のカーリングチームの選手。選手として強さだけでなくその美貌でも名を馳せている。朋美の高校時代のチームメイトでもある。 朋美に対して常にキツくあたる怖い人、と見せかけて実は朋美が大好きでその泣き顔に萌えているだけのドS変態兼ストーカー。朋美シナリオでの壊れ方には大変笑わせて頂きました。 あまりにも朋美ラブな咲とどんな風に哲弥が結ばれるんだ、と咲シナリオは楽しみにしてたんですけど、終わってみれば朋美&咲の百合シナリオで呆然。やられたぜ……。 ▼ハーレム▼ 小雪・朋美・咲とのハーレムエンド。と言っても当然の夢オチで、しかもオチてすらいない。不要説が浮上中。 要するに大きく分けて3つのルート(小雪&冴子、麻美&伊織、朋美&咲)があって、それぞれにメインとなるヒロインとサブとなるヒロインがいる感じです。個別シナリオの感想を並べてみるとかなりケチョンケチョンに言ってますが、全体を通してみるとそんなに悪いゲームではありません。テキストも物語の展開もテンポよく進んでいきますし、キャラ同士の掛け合いもまた然り。終始飽きることなく楽しむことが出来ました。同日発売された「Princess Frontier」でも思いましたが、ライターの北側さんは田舎町などの狭いコミュニティの人間像を描くのが上手いですね。っつーか同日発売て。自分で今書いて驚きました。 あったかい人間関係も見ていて気持ちよかったですし、やはり各ルートのサブヒロイン(冴子・伊織・咲)の扱いさえどうにかなっていれば、ゲームとしての評価はかなりアップしたと思います。メインヒロインのシナリオから分岐するのはまだしも、その後の展開をもう少し膨らませてくれれば……と思うとちと残念。 最初のチームを結成した時こそ強制に近い形で監督にさせられた主人公・哲弥ですけど、その後の展開はほとんどが自発的に動いた結果によるもの。ここまで能動的な主人公は最近珍しい気がして新鮮でした。まぁ1年生と言う設定はやや引っかかりますけど、その辺は気にしない方向で。 チームメイトを初めとした仲間達がどのシナリオでも最後まで互いに助け合う間柄となる展開もグッド。かき集めだったチームメイトがやる気の無いいい加減な練習の結果として当然の敗戦を喫するも、もやもやしたものが残っていたチームを再結成(ここで悔しさのあまり、とかではないのもまたいい感じ。この”もやもや”は非常に共感が湧きます)して今度こそ、と練習に燃える展開はまるで青春ドラマのよう。例えその後チームは解散してもカーリングで培った絆はそのままに……いいですねー、この体育会系のノリ。 願わくば、もうちょっとカーリングの描写が欲しかったです。掛け声とか用語とかがわからない、ってのもありましたが、もっと練習における苦しみや挫折と言った描写があれば、更に感情移入が出来たのではないかと思います。スポ根モノじゃないので難しいかもしれませんが、もっと汗水たらして練習に打ち込むリアルなシーンが見たかった。 サブキャラに関しては哲弥の家族が光ってました。何気にいい味だしてるバイセクシャルな父親(義理)に、軍隊出身を思わせるけど何故か常にウェイトレス姿の母親、そして全キャラクターの中で一番可愛い弟(「あにじゃー」はヤバい)。フェアリーズの応援団を自称する哲弥の悪友2人はちょっと立ち位置的に中途半端だったかな。特に流石のオタクっぷりはいかにもテンプレすぎましたし、鳴海の元フィギュア選手と言う設定も完全に埋まってましたし。 あと気になったのは場面転換時の”間”の無さ。日付が変わる瞬間に何も演出が無いと分かりづらい、ってのもありますが、それ以上にエンディングも同じぐらい分かりづらかったです。小雪シナリオの感想でも書きましたけど、例えるなら『先週まで何事も無く連載されていて扉絵にも”大好評連載中!”とか書かれていた漫画が、今週号でもそのままの流れで普通に始まったかのように見せかけて、何となく違和感を感じるな……と思いつつ読んでいたら実は最終回だった』みたいな。せめてエンディングに入るタイミングぐらいでは何かしらの演出が欲しかったです。EDのスタッフロールを挟むとかでも良かったですし、それがなかったので唐突感は否めませんでした。 カーリングと言う目の付け所はよかったけど、材料を活かしきることが出来ず良作になり損ねた、って感じです。色々と勿体無い点があるだけに惜しい、惜しすぎる。 |
| 個人的満足度: ★★★★★|★★★★★ |
| 執筆: 2008/04/25 |