Kanon

メーカー
発売日
1999/06/04
シナリオ
久弥直樹
麻枝准
原画
樋上いたる
音楽
折戸伸治(がんま)
OdiakeS
I’ve

 (その道では)超有名ゲーム。俺も例に漏れずヤられました。前回があんなだったのでもうPCゲームを買うのをやめればいいものをあまりに悔しかったので今度はちゃんと下調べをした上でゲームを吟味。そこで名前が浮上してきたのがこの「Kanon」でした。一言で言うと…いやホント参りました。この歳でゲームに泣かされるとは思ってもみなかった。始まった当初ではオープニングの名雪の絵を見て「う〜ん、なんか少女漫画っぽいなぁ。っつーか目がでけぇ」と言うのが正直な感想。あまり趣味じゃないなぁ、というのが第一印象でした。でもプレイを進めていくと同時にそんなのは吹き飛んでしまった。と言うか笑わされた。ああいったテキストで人を笑わせるのってすごいセンスが必要だと思うんですよ。「ああコレはスゴイな」と素直に感心するようになっていきました。そして笑いの前半から感動の後半へ。

 以下キャラ別に感想を述べていきたいと思います。攻略順です。

 ・水瀬名雪

 主人公・相沢祐一の従姉妹。両親の仕事の関係で雪の降る町に引っ越してきた祐一と一緒に住むことになる。好物はイチゴ。イチゴジャムからイチゴムース、イチゴサンデーまでイチゴと名の付くものは全て好物。大の猫好きで猫アレルギー。某ペルソナ2のモミアゲ刑事を思わせる設定です。特技(?)はなんと言っても寝ること。登場シーンの3分の1は寝てるか寝ぼけてるかのどちらかなのではないでしょうか。目が線になってる絵が一番かわいいというのはいかがなものか。でもかわいいから許す。「1日の3分の1は寝てるんじゃないのか?」ってそれ普通じゃん。ストーリーとしては7年前に拒絶されながらも思いつづけた祐一と結ばれていくというもの。そしてめでたく結ばれたと思った矢先に母親である秋子さんが事故にあってしまう。心を閉ざしてしまう名雪に手を差し伸べる祐一。笑顔を取り戻す名雪。そして秋子さん復活。簡単に言ってしまえばこんなストーリーなわけですが色々と賛否両論あるみたいですね。俺は好きです、この話。7年前に拒絶されながらも決して想いを捨てなかった名雪、そして今度は立場が逆になり拒絶される祐一。だけど決してその手を取り下げることはせずに自分を、そして名雪を信じてついには笑顔を取り戻すことができた。いい話じゃないですか。やはり大切なのは「愛」なんですね。従姉妹同士なら結婚もOKだ、ゴーゴー!!などとクリア後には思っていたのですが腑に落ちない点もありました。それは「何で秋子さんは助かったの?」「クリア直前の夢云々って何?」ってこと。その謎はこの後クリアしたあゆ編によって明らかに。

 ・月宮あゆ

 オフィシャルではヒロインと思われる少女。クリアするのは最後にしようと思っていたのですがつい狙ってしまいました。彼女は祐一を商店街で出会います。たい焼きの食い逃げ(というより単なる窃盗)の途中で祐一にぶつかってしまったのが彼女・月宮あゆ。実は彼女は7年前に祐一と出会っていて共に遊んでいたことがわかります。彼女は実は「いてはいけない」存在でした。祐一にもらった「3つの願いがかなう人形」にむかって最後の願いを告げるあゆ。

 「ボクのこと…忘れてください」

 泣きました。そりゃもう泣きましたとも。大体の想像はついてましたよ、展開からしてこんなことを言うんじゃないかな、ってセリフまで。でもそんなの関係なくヤられちゃいました。その時の笑顔がまた…。そして夕陽に照らされて消えてしまうあゆ。まるで雪が解けて消えてしまうように。

 「あゆぅぅぅぅぅ!!お前は幸せだったのかよぉぉぉぉぉ!?それでいいのかよぉぉぉぉぉぉ!?」

 と心で絶叫する社会人(四捨五入で三十路)。 そしてエピローグ、朝食の席で祐一に向かって秋子さんが語りかけます。

 「7年前に樹から落ちてずっと意識不明だった女の子の意識が戻ったそうですよ。名前は確か…」

 生きてたの!!??やられたぜ…ディスプレイの前で「くはぁ〜」などと言いながらも『そうか…生きてたんだな…よかった、本当によかったなぁ、あゆ……』と思えた自分を誇りに思います。まぁそうして感動に包まれて終わったあゆ編だったんですがやっぱり謎は残りましたね。秋子さんは明らかにあゆのことを知っていたようですが名雪は果たしてあゆのことを知っていたのか。プレゼントできなかったカチューシャをあゆがしていたのは何故か。そもそも街で会ったあゆはどんな存在だったのか。その辺に関しては人それぞれの解釈でいいと思いますし多くのSS作家の方々がその辺をテーマに書いていらっしゃいますので多くは語りません。

 ・沢渡真琴

 商店街を歩く祐一に突然襲い掛かってきた記憶喪失の少女。夜な夜な他愛も無いイタズラ(実際にやられたらシャレにならんが)を祐一に仕掛けては返り討ちにあう不憫なギャグキャラ…と思いきや後半の急展開。徐々に不器用になっていき感情も薄れていく日々。実は彼女は昔世話したことがあった狐であり、人間の姿となって祐一に会いに来ていたのだった。そして真琴の命は残りわずか…。って一つ言わせていただきますがね、卑怯ですよこの話。なんつー話なんですか。ええ、そりゃもう泣かされましたよこん畜生が。

 だんだん不器用になっていく自分に抗うように練習していた割り箸の残骸。

 ぐはぁっ!

 そして家族としての温もりを与えようと奔走する祐一。みんなで撮ったプリクラ。

 ぐはぁっっ!!

 そしてラスト、2人だけの結婚式を挙げる祐一と真琴。ブーケを風に飛ばされてもう感情もあまりないはずなのに号泣する真琴。

 ぐはぁっっっ!!!

 最後に鈴を鳴らして遊ぶ2人。だんだんそれすらもできなくなっていく真琴。無理して明るく振舞う祐一。だが真琴の手は無情にも力なく地に落ちる。

 ぐはぁっっっっっっ!!!!!!

 と後半泣き通し。秋名のハチロクも真っ青のぶっちぎり状態。完全に御伽噺で使い古されたような題材、その展開もはっきり言って読め読め。でも「だからなんだ」と言い切ることができるだけの何かがこのシナリオにはあります。はっきり言ってあゆ編より泣きました。それだけにあまり語ることも浮かんでこないのですが。エピローグ、美汐と2人で話をしている祐一。「1つだけ願いがかなうとしたら何がいいですか」との質問に祐一が思い浮かべる情景は1つしかなかった。春の日差しも暖かいものみの丘でぴろと幸せそうに昼寝をする真琴。そして流れるエンディング。この曲が一番似合うのは真琴シナリオのような気がします。このエピローグで「果たして真琴は復活したのか」と言うのは意見の分かれるところですが人それぞれでいいのだと思います。個人的な意見としては真琴は帰ってこないのではないでしょうか。すでに真琴の存在自体が奇跡だったのだし例のあゆの夢のセリフもないことですし。真琴が帰ってきて祐一をいつまでも幸せに過ごす、というのが最高のハッピーエンドであることは疑いようがありませんが、それよりむしろ真琴との思い出を糧に祐一と美汐に強く生きていって欲しい、というのが俺の気持ちです。

 ・美坂栞

 病弱少女。祐一と名雪のクラスメート・美坂香里の妹だが残りわずかな命の妹を見る苦しみから逃れるため香里は「妹なんていなかった」と思い込もうとしている。そんな時、たまたま出会った祐一に恋をして休学中の学校にこっそりやってきてはアイスを食べるようになる。そして誕生日までの1週間、栞を普通の女の子として扱うという条件で2人は恋人同士となる。そして迎える誕生日…。これまた「刹那五月雨撃」(せつなさみだれうち)なストーリーです。寒い中のアイス、四次元ポ〇ット等ギャグともとれる小道具を効かせながらも栞のストーリーには常に「死の匂い」が付きまといます。それだけに栞の健気さが活きてくるのでしょう。結局栞はあゆの願いによる奇跡で復活するわけですがその辺がやけにあっさり行われてしまったのがちょっと残念です。まるであゆのことを理解しているかのような栞のセリフ。また謎が生まれました。祐一とあゆに会ったことで自殺を思いとどまるシーンはグッときました。ここで誰もが初登場シーンのCGを見直してカッターナイフが雪に転がっていることに「ヤられた!!」と思ったことでしょう。

 ・川澄舞

 魔物を討つ者。毎晩学校に忍び込み夜な夜な剣を振るう少女。祐一は彼女と共に夜の学校に来るようになる。そして実は昔祐一と舞は出会っていたこと、魔物というのは舞の「力」そのものであることがわかります。「魔物の死=舞の死」と言うことを知りながらも戦う舞に祐一は…。とまぁ簡単にストーリーを述べてみたわけです。が、実は最後の方よくわかりませんでした。今となれば結構理解してるつもりです。小説版も立ち読みで全巻読破したことですし。でもあれを一度プレイしただけで理解しろと言うのは辛くはないですか? 舞といい佐祐理さんといいキャラが非常によかっただけに残念。全てを理解した今となってはただただ卒業後の舞・佐祐理・祐一の3人が幸せに暮らしてくれることを祈るばかりです。終盤で祐一が言っていた3人での同居暮らしが実現するかどうかはわかりませんが、卒業式の3人を見る限り前途には幸せな毎日が待っているのだと信じています。舞編をプレイしていて一番泣いたポイントは、舞と舞の母親との回想シーン。名雪の時といい雪うさぎはいい仕事してます。

 

 ついでと言っては何ですが脇役についてもちょっと感想を述べてみます。

 ・倉田佐祐理

 脇役と言えど舞編クリア後に隠しストーリーが現れます。と言っても祐一との話ではなく死んでしまった弟・一弥の話。何故佐祐理さんは自分を名前で呼ぶのか、祐一に敬語を使うのか、などの理由がわかります。一弥を辛くしたまま亡くしてしまった佐祐理さんは自殺未遂を犯すなど、自分を軽く、客観的にしか見ることができなくなってしまいます。そんな時出会ったのが舞。舞を幸せにしたい。舞を幸せにした時自分も幸せになれるのではないか。「人は人を幸せにして幸せになれる」と信じて頑張っているのが佐祐理さんなのです。うん、わかる、わかるよ佐祐理さんの言いたい事は。心から頑張って欲しいと思うよ。でもね、佐祐理さん。あなたの考えは間違ってるんですよ。「人は人を幸せにして幸せになれる」そんなことを言ったら舞はどうやったら幸せになれるというんですか。「人は人を幸せにして幸せになれる」ではなくて「人は人と幸せになるから幸せになれる」ではないでしょうか。一緒に幸せになっていけばいいんです。きっと舞と祐一がそのことに気付かせてあげられると信じてます。ちなみにどうしても佐祐理さんは「佐祐理さん」ってさん付けしてしまいます。

 ・美坂香里

 脇役ながらヒロインを食いかねない人気を誇る。主にストーリーに関わってくるのは妹である栞編。栞のことを祐一に告白するシーンは涙モンです。百花屋を出て栞を妹だと認めたシーンは本当に安心したと言いますかホッとしたと言いますか。学年トップの成績ということでしたが特にそれを思わせるようなイベントもありませんでしたね。テスト勉強の時もなにも教えてくれなかったし。あゆ編で人形を探すときに「家にいたくなかった」という発言がありましたがこれは栞との関係を表していたんですね。なかなかいい伏線はってますねぇ。個人的感想として香里はかなり好きです。なんと言うか非常に人間らしいと思うんですよね。栞をいなかったことにしようとしたのは絶対に間違いでしたが。だってそのまま栞を亡くしたら苦しみはより大きくなるだろうから。

 ・天野美汐

 真琴編にしかでてこない物静かな少女。以前妖狐との辛い別れを経験していらい人との付き合いを放棄してしていたが祐一と真琴を見て心を動かされる……。なかなか陰のある少女で立ち絵でも表情の区別が分かり難かったりします。真琴を見て何で正体に気付いたのかとかその知識はどこから仕入れたのかとかいろいろ謎はありますがそこはそこ、ミステリアスガール(by CAT’S EYE)ということで。それにしても「そんな酷なことはないでしょう」っておばさんくさいって言うよりおばあさんくさいぞ。そんな言葉使う女子高生は絶対いない。いたらゴメン。上でもちょっと書きましたが真琴が消えてしまった後、祐一と美汐がどうなるかはわかりません。でもしっかりしてそうな美汐といい加減な祐一はいいカップルになれるんじゃないんですかね。どんな関係になるにしろどちらにも幸せになってもらいたいものです。

 ・水瀬秋子

 祐一の叔母にして名雪の母親。名前以外年齢から仕事まで一切が謎。学校の緊急連絡先とかどうなっているんだろう、といらぬ心配をしてしまったりします。まさに理想の母親を体現したような人で欠点が見当たらりません。そのためか多くのSSで万能のように扱われていますが俺のイメージはちょっと違います。彼女はもっと人間らしい弱い心をもっているのではないか、名雪のために自分でそのつもりはなくともある意味「演じている」部分があるのではないか、などと根拠もなしで思ってます。弱いところもあるけれどそれを補って余りある愛情を持って名雪と祐一に接する女性、それこそが「理想の母親」なのではないのでしょうか。それにしても謎ジャムってどんな味してるんでしょうね。1度でいいから食べてみたいと思っているのは俺だけじゃないはず。多分1度でいいんだろうけど。

 ・北川潤

 祐一の唯一の男友達。金髪と妖怪アンテナ、ネコ口がポイント。とは言うものの物語の中ではあまり活躍の場がありません。一番の見せ所はあゆの天使人形を見つけるところかな。一部ではかなり嫌われているご様子ですがなんででしょう?人気のある香里に惚れているからなのでしょうか(これってオフィシャルな設定?)。俺自身は結構好きなんですが。

 ・久瀬

 苗字のみで名前は知りません。オフィシャルな設定ってあるんでしょうか?舞編でのみ登場し、舞を退学にし佐祐理さんを生徒会に引きこもうと画策するやつとしてでてきます。祐一の目からみると単なるヤなやつですが客観的に見ると舞に関して彼の言ってることは極めて普通のことなんですよね、「窓ガラスは秩序社会の象徴」とか言うやつ以外は。お前はどういう教育を受けてきたんだ。

 とまぁ多くの魅力的なキャラで彩られたこの「Kanon」。これで完全に俺のなかにあったPCゲームに対する認識が変わりました。こんな素晴らしいゲームがあったとは。


個人的満足度: ★★★★★|★★★★★
執筆: 2001/11/11