月光のカルネヴァーレ

メーカー
発売日
2007/01/26
シナリオ
下倉バイオ
原画
大崎シンヤ
音楽
ZIZZ

 「月光のカルネヴァーレ」の感想・レビューをば。

 ■絵■

 原画は大崎シンヤ氏。大崎さんの絵は「刃鳴散らす」以来ですが、味があってかつ描写的なイラストは作品の雰囲気にジャストフィット(絵も雰囲気そのものを作る基ですけど)。女性キャラのみならず、男性キャラのイベントCGも多いのは好印象。

 ■音楽■

 戦闘シーンの盛り上がりは流石ニトロと言ったところ。でも個人的には”明るい”エンディングでかかるBGMが一番印象に残ってます。基本的にダークな雰囲気な作品だったので余計にそう感じましたのかもしれません。

 ■シナリオ■

 簡単なあらすじ自動機械人形、オートマタの一大生産地であるベルモント。そこでタクシードライバーを営む主人公・ロメオはオートマタと暮らしていた。”彼女”の名前はアンナ。彼女はゴミ捨て場でロメオが拾ったオートマタであり、拾われる以前の記憶が無いものの、明るく前向きな性格でロメオを慕っていた。やがて慎ましいながらも平穏な2人の生活は、ロメオがかつて所属していた組織やアンナの正体に纏わる異変により激動の時を迎える。

 ライターである下倉バイオ氏のテキストは初めて拝見致しましたが、何と言いますか御幣があるかもしれませんけれども『古き良きニトロ』を思わせる、非常に惹きこまれるものでした。今後も要注目かもしれません。以下クリア順にヒロイン別感想。

 ▼アンナ▼

 人となり(?)ロメオがゴミ捨て場で拾ったオートマタ。言葉をよく間違えたり意味不明な鼻歌を歌ったりと能天気丸出しなムードメーカー。普通のオートマタがそこまでの自由意志を持たないことからも、特別なオートマタであることは明確であり、その正体はロメオのような人狼を狩るために存在する組織・鳥兜(ルパーリヤ)に属していたオートマタ。

 アンナのシナリオでのみアンナはその存在を存続出来るので、ある意味一番のハッピーエンドと言えるのかも。2つあるエンディングはどちらも好きです。アンナ人間化エンドの方は文字通り絵に描いたようなハッピーエンドであり(他のオートマは犠牲になっていて、レベッカは行方不明とは言え)こっちまで嬉しくなってしまうよう。対して銀貨復活エンドの方はイリスやコルナリーナの元気な様子が見られてやっぱりこっちまで嬉しくなったり。今後展開されるであろうルナリアを交えた三角関係にも胸が躍ります。

 ロメオとアンナ、そしてノエルも加わった3人の生活があんなにも幸せ感に満ち溢れていたのは、その生活はいつまでも続くようなものではない、儚い夢のようなものだったから故だったのかと思うと切なさが止まりません。

 ▼ノエル▼

 人となり(?)少年ギャングに所属していた少女。ただし女だとバレると大変なので男装をしていた。偶然ロメオに助けられてからは一緒に暮らすようになって、観光客のガイドをしながらタクシー業を手伝うことに。そしていつの間にやらかけがえの無い家族となりつつあった頃、ノエルの身に大変なことが……。

 強がってはいるけど、アンナやロミオの事を心から大切に思っている優しい少女。ノエルシナリオでは恋愛感情よりも”家族”としての愛情がヒシヒシと伝わってきて切ないぐらいでした。声を演じている成瀬未亜さんは今までいくつかの作品でお名前を目にしつつもあまり印象に残っておりませんでしたが、本作で一気に印象深いものになりました。

 あとノエルシナリオで印象に残っているのはノエル本人よりもレベッカとイリスが一緒になるエピソード。コルナリーナにやられそうになっていたイリスを助けるためにレベッカが戻ってきた時はわかっちゃいたけど思わず涙がポロリ。ただのムカつくガキだったイリスが俄然可愛く思えたのもこの瞬間でした。

 ▼ルナリア▼

 人となり(?)オートマタのサーカス団・チルチェンセスに所属するオートマタの少女。一見無表情で冷めているような印象を与えるけれども、その実内心には激しい感情が渦巻いており、誰よりも”愛”を求めている。

 ロメオとアンナの関係に嫉妬しつつ、自分も同じように愛されたいと願って願って心底願い続けたルナリアの行動には、賛成出来なくとも同情は思い切り出来る。どんな罪を犯してでもロメオの傍にいようとするルナリアは、ある意味レベッカと共通する部分があるかも。

 ルナリアシナリオの2つあるエンディングのうちサーカス団復活エンドでの組織とロメオの確執は泣けそうでしたけど、元気になったイリス達が見られるので結構好き。もう片方のルナリア記憶喪失エンド明るいCGの中に物悲しさが漂うエンディングになってますが、実は完全にアンナと同じ道を辿っているあたり、ルナリアはアンナと同じように”愛”を自分のものにしたんだなと、感慨深いものが感じられたエンディングでもありました。

 ▼レベッカ▼

 人となり(?)ロメオが属していた組織の幹部である女性。昔ロメオに助けられたことがあり、ロメオの親友であるシルヴィオを含めた3人は常に一緒だったにも関わらず、ある理由が元でロメオが組織を離れてからはシルヴィオの愛人に。ずっとロメオのことを愛していて、シルヴィオの愛人になったのもロメオを助けるためだったという、あまりにも悲しすぎる女性でもある。

 登場人物の中でも一番報われない女性のような気がしてなりません。レベッカシナリオのエンディングのうち俺達の闘いはこれからだエンド(勝手に命名。別名ロメオがレベッカを許すエンド)はまだいいのですが、レベッカの子供はどうなるエンド(別名ロメオがレベッカを許さないエンド)なんて切なさ乱れ撃ちでした。ノエルよ、後はお前に任せた……。

 登場キャラクターが非常に生き生きと描かれている印象の強いこの作品ですが、それは主要人物のみにとどまらずサブキャラクターにも同じことが言えます。ジェルマーノの渋さと秘めた優しさは賞賛ものですし、ヴァレンティーノの偉大さは頭が下がる思いですし、グリエルモの冷静沈着さは尊敬に値しますし。

 シルヴィオやカルメロはシナリオの展開でイメージがガラリと変わる典型的なキャラでした。そう言う意味でもアンナシナリオが私は一番好きです。特にカルメロは笑いとカッコよさを存分に発揮してくれて、助演男優賞を上げたいぐらい。

 敵役にしても同じことが言えます。ペルラは最初から最期まであまり印象が変わりませんでしたが、イリスやコルナリーナはかなりのイメージ変動が発生しました。イリスは言うまでもなくレベッカと和解で。コルナリーナに関してはロメオが主人となるエンディングで見た人間臭さでガラッと印象が。人間臭さと言う意味ではコルナリーナが一番人間っぽかったのかもしれませんけどね。

 ダヴィデに関してはもう何も申し上げることはありません。比留間京之介さんの演技に勝るものは無し。

 と言う訳で非常に楽しめました。シナリオや展開によって変化する人間(?)模様からは目が離せません。多くのキャラクターが”入り乱れる”と言っていいレベルで動きまくる中で「よくぞここまで魅せてくれた」と手放しで賛美を贈らせて頂きたいと思います。そんなこんなで推奨ゲー入りが決定。


個人的満足度: ★★★★★|★★★★★
執筆: 2007/03/14