ひまわりのチャペルできみと「ひまチャき」こと「ひまわりのチャペルできみと」のレビュー&感想をば。 ■絵■ いくたたかのん氏。SD絵はよく見かけておりましたが、正式な原画は初めて拝見致しました。正直に言ってしまうと初見時の印象は「うわぁ……」って感じだったんですけど、プレイしているうちに可愛く思えてくるあたり、エロゲーは現代に残された最後のファンタジーなんだなぁ、と思ったり思わなかったり。カットインとして使用されるSDも可愛らしいですし、慣れてしまえばまったく気にならなくなりますので、絵だけ見て敬遠するのはちょっと早計かと思います。 ■音楽■ OP・EDを歌うのは榊原ゆいさん。最近食傷気味と言うのを差し引いたとしても可も無く不可も無く的な印象です。BGMに関しては音楽そのものよりも演出・使い方に難アリ。ぶつ切りでコロコロ変わっていくのは耳にしていてちょっと落ち着きませんでした。 ■シナリオ■ 簡単なあらすじ平和な街で平和な学園に通う主人公・海上貴宏。愉快な幼なじみ達やクラスメートとの騒がしくも楽しい寮生活を送っている。近くにある実家にはかなり変人の域に達してはいるものの優しい両親も。そんなある日、藍善萌波なる少女が転校してくる事によって、ますます騒々しいものになっていく生活の中、貴宏は大切な人の存在に気付いていく……。 とまぁこのあらすじだけ見ると普通の学園モノっぽい雰囲気ですが、そこは宇宙ライター(←イメージだけで私がそう呼んでる)竹井10日氏。そうは問屋が卸しません。学園モノとしての裏には以下のような設定が潜んでおりました。 公式サイトでは全くそんな雰囲気を匂わせてなかったから、いざ始めてみてビックリですよ。更には貴宏自身も数多くの過去を背負ってたりしてもう大変。 そんなこんなでな以下クリア順にヒロイン別感想。 ▼円澤小雪▼ 人となり(?)読み方は「つぶらさわ こゆき」。貴宏の幼なじみでバストは100cmオーバーの超巨乳。そんな重そうな胸をしていながら身体を動かす事に関しては他の追随を許さないスポーツ少女で、運動神経に反比例して成績が下の下なのはお約束。実家は貴宏の隣の家で、小さい時から一緒の貴宏・月乃とは幼なじみ以上の絆があれど、普段は貴宏に振り回されてはツッコミを入れる毎日。口癖は「恐るべき、○○イズム」。 一応メインヒロインかな。実は過去にしているとか驚きでした。他のヒロインもそうだけど貴宏に気があるのが見え見えで、自身のシナリオ以外では一時的に捻くれてしまう事もしばしば。それでもすぐに前向きに祝福・応援してくれるあたりが小雪らしいところ。超巨乳だけど全然色気を感じないのも小雪らしいところ。 小雪のシナリオは過去のわだかまりを超えて結婚したものの、しまい(原因はよくわからないけど)……と言うもの。最後がかなり駆け足になってはおりましたが、ハッピーエンドなのでヨシ。あの解決に至る爽やかな流れは何気に好みです。 ▼藍善萌波▼ 人となり(?)読み方は「あいぜん もなみ」。通称もなむー。貴宏達のクラスに転入してきた転校生。難しい言葉をよく遣い、二人称が「卿(けい)」、名前で呼ぶ時は「貴宏卿(きょう)」など、時代がかった話し方をする。身長が貴宏よりも高い178cmでスタイル抜群なモデル体系。竹を割ったように真っ直ぐな性格で、貴宏達ともすぐに打ち解けた気のいいヤツ。 もなむー、凛格好いいです(造語)。口調その他のキャラ造形がとても微妙に感じられていたのも昔の話で、今では一番のお気に入りキャラだったり。人の心は移ろい易いものでございます。 萌波のシナリオはのシーンがクライマックスだと思ってますが、その後のがあまりにもアッサリし過ぎていたのが非常に残念。萌波があの状態に至るまでの葛藤や心の変遷をもっと掘り下げられれば、シナリオとしてもっと重厚かつ面白いものになったのではないでしょうか。ラスト付近のは正直蛇足感が否めません。 ▼百寺雛梨▼ 人となり(?)読み方は「ももでら ひなり」。貴宏達の後輩で、人を疑うと言う事を全く知らない超善人。見た目はホワホワした美少女で、言動はホワホワどころじゃない超天然娘だけど、実は魔王から世界を救った『ガイアの聖騎士』と呼ばれる英雄だったりする。 英雄らしさが全く無いのが雛梨らいいところ。自転車レース等で英雄らしい身体能力を発揮する場面もありますが、それすら萌波はともかく小雪よりもやや劣るかのように描かれているのは納得がいかない点。それとも雛梨はわざと自分の力をセーブしてる? 戦争ではだったと言う話もありましたが、それにしたって……ねぇ? 雛梨シナリオで気になったのは、雛梨がと言うラストの展開。ってことはアレですか。雛梨はってことですか? もしくはって解釈でいいのかな? 後者の場合は一沙香がどうでるかわからないけど。 ▼本宮エステリア・ディノラード▼ 人となり(?)読み方は「ほんぐう〜」。通称は姫。実は魔王との戦争で滅んでしまったディノラード王国の本当のお姫様。高飛車で特に貴宏に対しては高慢に接するものの、基本的にヘナチョコなのですぐにやり返されては半泣きにされている。そのたびに「おのれ、海上貴宏、百代祟って許すまじ! ●●●の刑に処してやるのじゃっ!」と言うのが口癖。●●●の刑は、嫌がらせレベルだけどやりたくない、と言う物ばかり。 何となく6人の中ではやや浮いたシナリオとなっていた感がありましたが、逆に言うと一番ギャルゲーらしかったのかもしれません。エステリアがしてから貴宏との距離が変化していく流れは結構好き。昔のには驚きましたが、そうすると普段の貴宏の態度はちょっとどうなのよ……と言う気がしないでもないです。 ラストのエステリアがの展開は正直どうでもよくて、やはりこのシナリオで語るべきは向日葵についてでしょう。これでわかりましたし、”姫”としてのエステリアの魅力に気付くことが出来ましたし。そして何よりもは正直涙を誘いましたし。そして関係ありませんが、エステリアとのエロシーンは相当に頂けませんでした……。 ▼緒野田月乃▼ 人となり(?)読み方は「おのだ るなの」。通称ナノ子。小雪と並ぶ貴宏の幼なじみで見た目は超子供だけど、3人の中では一番の常識人で大人。食べ物や飲み物を合成するのが趣味で(例:きゅうり+ハチミツ=メロンの味)、語尾に「ナノです」を付けるのが口癖。よく「ナノですー、ナノですー、ナノですー」とセルフエコーをかけては貴宏と小雪に「エコーすんな」を突っ込まれている。 貴宏の過去に深く関わっていたのは間違いありませんが、その点に関する驚愕の展開らしきものが無かったのはちょっとガッカリ。その分、ナノ子自身の出生に秘密が隠されていたワケですけど。テキストの端々で事は示唆されてはおりましたが、まさかだったとは。貴宏がナノ子と結ばれていく過程は描写が甘かったせいか必然性に欠けるようで、いつの間にそんなと言った感じ。子供の頃から、とか言われても貴宏は気が多すぎとしか言いようが無いです。 一花についても超展開としか言いようが無く。ラストのにしても拍子抜けでした。あっさり風味にも程がある風味。 ▼鏡丘音々子▼ 人となり(?)読み方は「かがみおか ねねこ」。通称ねねねえ。貴宏の実の姉で1歳年上。諸事情によって養子に出されていたので苗字が違う。弟である貴宏にダダ甘えで、何かと我侭を言っては困らせているが、その破天荒な言動で学園一の人気者だったりもする。小雪や月乃にとっても頼れる姉貴分のようなもので、実は面倒見のいいところも。 ソフ倫規定の改定バンザイ的なシナリオ。実の姉との禁断の恋。音々子の過去に関してはエステリア以上に驚きがありました。その辺の情報の出し方もなかなか秀逸で、貴宏と音々子が結ばれていく過程はなかなか丁寧で気に入ってます。ただ音々子シナリオは『実の姉と弟』と言う”禁断の恋”と言うエッセンス以外に語るべきポイントが無いんですよね。これはちょっと痛かった。 音々子に関してはがいて、しかもなんて設定が隠されていたのも面白かったです。それでことになった理由もわかりましたし。 全てのシナリオに言える事ですが、貴宏がヒロインと結ばれるまでの過程はそこそこ丁寧なのに、その後の展開はあまりにも急だったのが気になりました。共通シナリオから個別シナリオに入って、結ばれた後のベタベタバカップル状態を経て、長い長いシナリオのラストまできてあの急展開はあまりにも勿体なかったです。ただでさえ長いシナリオなのに、選択肢で変化する会話を一通り見てみたくなる爆笑テキストのせいでセーブ&ロードを繰り返すハメになり、余計に時間をかけにかけまくって辿り着いたクライマックスだっただけに。 竹井10日さんの頭がイカれたノリのテキスト(褒め言葉)のお陰で中弛みすることなく進める事は出来ましたが、盛り込みすぎた設定が消化不良を起こしているようにも感じられました。特に貴宏と対魔王軍の関係などは、ヒントは提示されるもののプレイヤーとしてはあくまで想像の域を出ません。それがエッセンス程度であるならともかく、結構シナリオの根幹になってたりするのが困ったもの。 今まで発売されたMarron作品(「秋桜の空に」「お姉ちゃんの3乗」)のネタが散りばめられているのは、Marronファンとしては嬉しい限りでした。小鹿に関してはゲストと呼ぶには頑張りすぎだろ風味ではありますが、まぁ許容範囲かと。 ただ竹井10日さんが手掛けたライトノベルのキャラまで登場させるのはやり過ぎでは? 別にそのラノベを知らなくても問題無くゲームを進める事は出来ますので、別にいいっちゃーいいんですけどね……うーん。 とにかく竹井10日さんによるテキストのノリとパワーを楽しむゲームでした。自転車レースのシーンなんて、他に書ける人間がどれだけいることか。絵に関しても慣れれば可愛く思えてきますし、SD絵の安定感はピカイチ。 でもそれ以外の部分はあまりにも残念系でした。使いづらいインターフェースや、既読判断の甘さやスキップの不具合、演出のクオリティがイマイチな点等々。あれだけ開発に時間をかけたのであれば、もう少しシステム周りにも気を配って頂きたかったですね。 最近では珍しいボイス無しのゲームである事に関する不満は特にございませんが、Marron作品の場合ですと『ドラマCDで豪華声優を……と言うか田村ゆかりさんを採用したいってだけじゃねーの?』的な穿った見方をしてしまう私。竹井10日さんが田村さんの大ファンであると言う噂を耳にした事があるのはあくまで噂なので置いておくとしても、流石にゲーム内の自転車に『いたずら黒ウサギ号』なんて名前をつけられたら流石に……。 なんだかんだと文句が多くなってしまいましたが、総じて楽しむことが出来ましたので満足度は上々です。笑った笑った。これでMarronも3つもの作品を世に送り出した事になりますし、そろそろファンディスクでもどうでしょう? |
| 個人的満足度: ★★★★★|★★★★★ |
| 執筆: 2007/09/18 |