"Hello, world."

メーカー
発売日
2002/09/27
シナリオ
南條しかし
原画
きんりきまんとう
音楽
ZIZZ

 「"Hello, world."」の感想・レビューをば。

 ■絵■

 きんりきまんとう氏原画のキャラクター達は他のニトロ作品とはまた違った路線のようにも思えましたが、意外なことに慣れてしまえば全く気になりませんでした。ビジュアル的には学園恋愛モノなんですが、その実……と言う典型的なゲームかも。

 ■音楽■

 いとうかなこさん歌う主題歌「青い記憶」は非常に秀逸。ゲーム内に登場するアイドルが歌う挿入歌とかはどうでもよくて、BGMに関しても特に印象的なものは無いかな。

 ■シナリオ■

 簡単なあらすじ主人公である友永和樹は人間を理解するために、人間社会の中で人間と同じように生活するロボット。始めは感情らしきものを全く持ち合わせていなかったが、周囲の人たち(主に女性)との触れ合いの中で徐々に”人間らしさ”を手に入れていく。しかし、これは世界と人間、そしてロボットを巻き込む壮大な計画の一部であり、和樹やヒロイン達は否応無しにハードな運命へと叩き込まれていく。

 前半は学園恋愛物。後半は前半を無かったことにする勢いのハードバイオレンス物。いや、むしろ前半がラブラブ萌え萌えしてたからこそ、後半の展開が余計ハードに感じられるのかも。ただそこに行き着くまではあまりにも長すぎるのは大いなるマイナスポイントだったと思います。

 プレイした人間、誰もが感じることだと思いますが、とにかく長いです、このゲーム。途中で何度「ここでエンディング……じゃないの!?」って展開があったことか。別に【長い=良い】とも【長い=悪い】とも思いませんが、それでも冗長な感は否めないと思います。特に前半はプレイヤーの視点となる和樹に感情が無い設定なので、その言動がいちいち冗長かつ面倒かつ癇に障るんですよね。そのせいで感情移入出来ないばかりか、冗長感が増してしまったのは間違いないところです。

 そんな風に感情が無くて言動もどこか変な和樹がモテるのはエロゲ故に已む無し。ロボットである和樹が人間と相思相愛となればどうなるのかは予定調和な部分もございますが、それでも外せないところですし、その辺を蔑ろにせずキッチリ描いていたのは好印象(まぁこの物語の肝だし)。

 エンディングはヒロインごとにノーマルとトゥルーが用意されてるけど、トゥルーはメインヒロインである奈都美のシナリオを基盤とした共通シナリオで、違いはラストのモノローグが誰になるか、って点だけ。ハッピーエンドで読後感はいいけど、2周目以降が完全に作業(と言うか全スキップ)になっちゃうのはちょっと物足りなかったかな。

 反面、ってワケじゃないけど各ヒロインのノーマルエンドは完全なハッピーエンドと言えるものは無く、その上でどこにも救いが無いワケではない展開で、ある意味重厚なエピローグが用意されてます。それぞれに見ごたえはありますので、トゥルーエンドよりノーマルエンドの方が好きと言う方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に千絵梨はキャラ的にはあんまり好きじゃないけど、エンディングはなかなかに圧巻でした。

 特に気に入ったキャラは無し。ヒロインにしても、物語を大きくしすぎてキャラクターが付いていけてない印象がありました(←壮大かつ遠謀な計画に対して一個人ごときにやれることはない、とかの意味じゃないことに注意)。

 純愛系学園物に見られるような萌え要素と、ニトロらしい燃え要素を詰め込んだのはいいけど、それを纏める作業が無かった、と言うイメージでしょうか。読んでいて飽きがこないようなテキストと言うワケでもないので、この長さはちと辛いです。それはそうと、この"Hello, world."ってタイトルは和樹の”人間的”な成長を主軸とした物語の内容を表現しているだけじゃなく、プログラミングでよく使われる"Hello, world."を彷彿とさせてなかなかのナイスセンスかと。


個人的満足度: ★★★★★|★★★★★
執筆: 2007/07/11