遥かに仰ぎ、麗しの「遥かに仰ぎ、麗しの」の感想をば。 ■絵■ 藤原々々氏。未だに読み方のわからない氏の可愛らしい絵柄はコミカルシーンで活きて、シリアスなシーンではシリアスになり過ぎるのを緩和してくれたように感じました(※後に「ふじわらわらわら」と判明。わかるかよそんなの……)。立ち絵とイベントCGでちょっと「ん?」と思えるような違いもありましたが、総合的には好きな絵です。あとあまり拘りは無いのですが、イベントCGの数が少ないような気も。「なんでここで一枚絵がないんだ!?」と思うこともしばしば。 ■音楽■ OP・EDの主題歌に関してはあんまり印象が残りませんでしたが、BGMは作風によく合っていたかと思います。中でも印象的なのはしっとりとしたシーンで流れる『ゆりかご』とクライマックスで流れる『夜明けを運ぶ風』。特に前者は聴くだけで胸が熱くなります。これを書いてる今もBGMとして流しっぱなし。 ■シナリオ■ 簡単なあらすじ舞台は世間から完全に隔離された女学院。そこで生活する様々な問題を抱えた50名程度の生徒の前に現れたのは新任教師・滝沢司。超御嬢様学校、という表現でも飽き足らない程に全てが規格外の凰華女学院分校で、果たして司は何を見るのか。 以下クリア順にヒロイン別感想。ちなみに学院生には本校から転校してきた『本校系』と直接舞台となる分校に入学してきた『分校系』にわかれており、前者がみやび・殿子・梓乃、後者が栖香・美綺・邑那となってます。 ▼風祭みやび▼ 人となり(?)日本のトップに君臨し、学院を創設した風祭グループの出身。学院生であると同時に理事長を務めるチビっ子。とにかく我侭で意地っ張り。でもそんなところが可愛い。メイドのリーダとずっと一緒に生きてきており、互いに寄せている信頼は絶大なものがある。 頑ななまでに自分を曲げず、それ故に周囲から孤立しがちなみやびと、そんなみやび助けるべく奔走する司。そしてそれを優しく、時に厳しく、果てしない愛情をもって見守るリーダの3人の関係が大好きです。ただし、別のシナリオでもみやびが結構皆と仲良くやれるようになってるのを見て「司の頑張りは不要だった?」とちょっと切なくなったりして。一番好きなシーンはシーン。ラストはちょっと消化不良、とまでは言わないけどちゃんとケリがついたところまでやって欲しかったなぁ。 ▼鷹月殿子▼ 愛してる。 個人的にはこれで終わってもいいんだけど、世間的に許されない気がするのでもうちょっと。俗に言う素直クール? まぁ意味をよくわかってないんですけども。口数が少なくて何を考えているのかよくわからない放浪癖のある子。でも可愛い。最初は司に対して全く興味が無かったけれど、一度心を開いてからは絶対の信頼をもって接するようになり、豊かな表情も見せるように……嗚呼、可愛すぎる とにかく久しぶりにキました。キまくりやがりました。とにかく狂おしいまでに愛おしい。この気持ちをなんて表現すればいいんだろう。ご都合主義なエピローグはやや蛇足気味ですが、殿子が幸せなら私はそれでいいのです。 ▼八乙女梓乃▼ 人となり(?)非常に大人しい上に、極度の対人恐怖症の持ち主。唯一心を許せるのが親友の殿子であり、常に彼女の後ろを付いて回るか隠れてるかのどっちか。そんなある日、司と仲良くなっていく殿子に対して危機感を覚え、その暗い感情を司に向けるように……。 シナリオとしては一番好きかも。対人恐怖症という特徴を上手く料理した(というと御幣があるかもしれませんが)シナリオだったかと思います。もどかしさすら覚える対人恐怖症故の言動と、実は芯の強い梓乃の感情、そしてそんな梓乃に対する司や殿子の優しさが素晴らしい。 ▼仁礼栖香▼ 人となり(?)ガッチガチの生真面目。規律を何よりも重んじるような傾向があり、委員長という役職は無いのにクラスの号令をかける役割を負うことになる典型的な委員長タイプ。その性格故に周囲から頼りにされることはあっても、心を許せる友達はいない。 なんつーかエロ担当。回想モード全20のうち8が栖香であり、美綺の7とあわせると2人で15/20になる凄まじさ。本校系は各自1回ずつしかエロシーンが無いってのもあるんですが、栖香に関してはやや強引にエロシーンを挿入しているような感もあり、そこがややマイナスポイントかと。本校系のシナリオには一切顔を出さないので全体的な印象も薄め。でもラスト付近の展開は悪くないので、本校系のノリで栖香シナリオも進んでくれればもっと評価は高かったかもしれません。 ▼相沢美綺▼ 人となり(?)『凰華ジャーナル』なる学内新聞を作っている自称ジャーナリストの元気系。常に走り回っているような印象があり、何にでも顔を突っ込みたがるイベント人間。そんななので大雑把な性格と思われがちだけど、実は結構気配りの人だったり。親友である奏を常にからかってる。 美綺は悲しいかな、自身のシナリオではなく脇役として活きるタイプかと思います。美綺のシナリオはなんだか焦点がボヤけてしまっているような印象がありますね。エロシーンの使い方も栖香と並んで強引でしたし。なので美綺シナリオは奏との漫才を楽しむシナリオ、と割り切ってしまうのがベストかも。 ▼榛葉邑那▼ 人となり(?)温室で植物の世話をしたり、訪れた人間に対して紅茶を振舞ったりしている、大人びた学院生。司に対して謎めいた助言をしたりととにかく秘密臭プンプンな子です。実際、この邑那シナリオで他のシナリオで生じた疑問や裏設定的なものまで解消・判明するので、クリアするのはラストに持ってきた方がいいかもしれません。 邑那シナリオ自体は他のシナリオとは毛色の違うものになっており、この「遥かに仰ぎ、麗しの」という作品の中ではかなり異色めいたものを感じます。そういう意味でもラストに持ってきた方がいいかも。 どうやら本校系と分校系でライターさんが分かれているらしく、かなりシナリオの雰囲気が違うものになっております。更には主人公である司の性格まで変わってしまっているようで、その辺はちょっと頂けません。テキストに関しても分校系は不自然に難解な言い回しが多かったり、あまり使わない漢字をあてがったりと(其れとか此処とか)、もうライターさんの「やりたいようにやってます」的な空気がビンビン伝わってきます。個人的には本校系の方がシナリオ的にもテキスト的にも好きですね。特に大きいのは司のカッコよさが段違いなことかな。 全体を通して言える事ですが(特に本校系で強い傾向)、司とヒロインの関係が徐々に変わっていく過程を凄く丁寧に描いてます。素晴らしい。それは時に視点をヒロインやサブキャラのものに切り替えることで、より深く心情を理解することに繋がった手法もグッジョブ。たまに見かけるやり方ではありますが、使い方によっては結構効果的かと思います。 爆笑、というのは無かったんですが、ところどころで笑わせてくれる軽快なテキストと、シリアスな場面での盛り上げ方等が絶妙で、プレイ時間が長めであるにも関わらず中だるみすることなく一気に進めることが出来ました。一瞬もう終わりかと思って「あら、まだあったの?」みたいなのはありましたけどね。共通シナリオ部分が少なく、個別シナリオを長めにとっているのも特徴的でした。なのであまりスキップを使うことはありません。 それに他のヒロインを始めとして、特定のヒロインルートに入った後でも他のキャラが活躍するところもナイスでした。司とヒロインだけの世界に留まらない”絆”の描写がたまらなく好きです。 今作では声優さんが非常に素晴らしい仕事をしてくれています。特にみやび役の北都南さんと殿子役の遠山枝里子さん、そして梓乃役の佐本二厘さんの演技は神がかってました。声を吹き込むことは命を吹き込むこと、とはよく言ったものです。言ったのは私ですが。 北都南さんはかなり演技の幅の広い方でらっしゃいますが、やっぱり真骨頂はみやびみたいな元気系と「家族計画」の青葉みたいな姐さん系だと思うのですよ。遠山枝里子さんは初めて聞いたお名前だったんですが、殿子の抑揚の少なめなややもすると単調になりがちな中性的とも言える声を非常に上手く演じてらっしゃいました。今後も要チェックかもしれません。佐本二厘さんは出演作をそれなりにプレイしてはいるのですが、どうしても「夏日」の明日菜のイメージから離れられません。なので今回みたいな大人しい役柄は結構意外でしたが、かなりハマってらっしゃったと思います。 クリア順の推奨は【栖香→美綺→みやび→殿子→梓乃→邑那】かな。本校系の方がお薦めなので「先に分校系をやっておいた方がいいかも」と言うのと「邑那はそれでも最後にした方がいい」と言うのがその理由。あと美綺よりも先に栖香を、梓乃よりも先に殿子をやった方がいいと思われるのでこんな感じにしてみました。これからプレイなされる方は参考になさって下さい。 と言う訳で義務ゲー入り。あぁ、やってよかった。もともと持っていた期待に対して存分に応えて頂きました。多謝。 |
| 個人的満足度: ★★★★★|★★★★★ |
| 執筆: 2006/12/04 |