僕がサダメ 君には翼を

メーカー
発売日
2007/10/26
シナリオ
みかづき紅月
原画
refeia
音楽
Barbarian on the groove

 「僕がサダメ 君には翼を」のレビュー&感想をば。

■絵■

 原画はrefeiaさん。今までプレイしてきたゲームではあまり見た事の無い、独特のタッチで描かれる方でした。かと言ってとっつき難いワケでもなく、違和感等もございませんでしたが、何故か主人公にだけ迫力をどうにも感じられなかったのが残念。女性キャラに関しては可愛らしさと力強さが感じられてグッド。

■音楽■

 雰囲気にあったBGMは良かったと思います。ただ演出と言いますか、BGMの使い方が細切れであるように感じられました。主題歌である「真実の翼-サダメのツバサ」は『疾走系伝奇ADV』の名に恥じなること無い、それこそ疾走感溢れるナイスな曲。OPムービーは一見の価値アリですよ。

■シナリオ■

 簡単なあらすじ現代科学を超えるテクノロジーを秘めた、古代から伝わる『聖遺物』。それを人類の発展に利用しようとする巨大企業RDAと、「人類は定められた運命に従うべき」の信念に基づいて『聖遺物』を封印しようとする教会は死者を出す程に激しく対立していた。主人公・風間刀也は父親の遺志を継いでRDAに新しく所属することになった武家の跡取り。しかし、活動の中で徐々にRDAの”正義”と教会を”正義”の真実を知るにつれて、更には『聖遺物』を狙う第三者・魔女の登場によって、刀也の心は揺れ動いていく……。

 ジャンルは『疾走系伝奇ADV』。その呼び名に相応しく、物語は駆け抜けるように展開されていきますが、その足が速すぎて一部ついていけない部分も。何はともあれ以下クリア順にヒロイン別感想。

▼那須真紅▼

 人となり(?)RDAに所属し、刀也の相棒となるチームメンバー。由緒ある銃使いの家系に生まれ、その腕前はRDA最強を自称する程。普段はともかく任務中の戦闘時にまで着物姿でいるのは正直意味がわからないけど、見た目だけなら和風お嬢様であることは間違いない。気が強くて、自分にも他人にも厳しいところがある反面、女の子らしい優しい部分も。

 プレイしていて「しずく」と言う名前の読み方の違和感がなかなか取れなかったのは秘密。一応メインヒロインです。一応ね。刀也の相棒となる真紅は徹底的なツンデレであると同時に、実は幼なじみ(と言っても会ったのは1回だけ)と言う設定が付随しておりました。まぁそれは2人が出会った時から仄めかされていたからいいんですが、子供の頃に1回会って遊んだだけの刀也をずっとRDAで待ち続けていた、と言うのはあまりにもベタ過ぎますし、刀也がその事を思い出した途端に相思相愛→セックスの流れはあまりにもあんまりじゃないかと思います。まぁこの辺の描写不足は真紅に限った話ではないのですが。

 真紅シナリオは基本的に『俺は真紅とどこまでも』なシナリオで、RDAや教会が抱えている闇に関してはほぼノータッチ。プレイヤーにしてみればゲーム内世界への導入として理解しやすいシナリオだったと言えなくもありませんけど、その点を考慮したとしても話に掘り下げが足りないように感じられました。ぶっちゃけ何の解決もしてないですし。

▼白川優華▼

 人となり(?)RDAに所属し、刀也達のチームのサポートを担当する、巨乳で包容力満点の眼鏡美女。

 まぁ優華に関してはアレがアレなのであまり語る事が無いのですが、正体に気付いたきっかけジャンヌの声(CVは公式ページで未公開)を聴いていて「なんか聴いた事ある声だなぁ……うーん……そうだ、前やった●●ってゲームの○○ってキャラだ。あれって誰だったっけ……(ググった)……って風華さんかよ! 優華とCVが同じって事は、優華とジャンヌって同一人物なのか!!」って流れだったあたり、プロって凄いなぁと思う今日この頃です。

▼ジャンヌ・デュマ▼

 人となり(?)とある『聖遺物』を狙う魔女であり、使い魔である山田と共に神出鬼没に現れる謎の美女。ソフィと並んで自分の使命に縛られた人物でもあったり。

 第三勢力として関わってくるジャンヌは時に味方だったり敵だったり。RDAにも教会にもついていけなくなった刀也の逃避先……と言うと表現が悪いんですけど、かいつまんで言うとそんな感じです。

 ジャンヌとの相思相愛への道もかなり端折られているので、感情移入がどうにもこうにもままなりません。RDAから抜け出した後の同棲生活が最後のチャンスだったのに、その辺の描写がゼロとか泣けてきます。キャラとしては好きなタイプだったのになぁ。

▼ソフィティリア・アーク・フロックハート▼

 人となり(?)教会において”聖女”と崇められる神秘的な少女。儚いイメージ通りに体は丈夫ではないけど、一度決めたら譲らない頑固な部分も。刀也を「お兄様」と慕ってくる。

 「お兄様」と慕ってくる……のはいいけど、初対面から慕ってきた理由がいまいち理解出来ませんでした。刀也が人類の未来にとって”カギ”となる、文字通りキーパーソンであるのはヨシとしても、あそこまでベタベタに無警戒全開で近づいてくる理由にはならないかなぁ、と。つか最初のフェラシーン突入の流れとか意味わかんないし。

 特にソフィや玄坂のシナリオでは守られるばっかりで影が薄いヒロインでした。他のシナリオで聖女としての務めを果たそうとする姿の方がまだ印象的だったりします。個人的には頑なに”聖女”たらんとする態度はあんまり好きにはなれませんでした。

▼玄坂水澄乃▼

 人となり(?)ソフィを護る事が全てな凄腕忍び。人呼んで「ラファエルの盾」。実は女性らしい一面を秘めながらも、普段はソフィに害する者を冷酷冷徹に排除する。

 敵に対してはどこまでも冷たい仮面の裏で、ソフィに対しては親バカさながらにデレデレだったり、山のようなおにぎりを毎朝食べていたりと結構すっとぼけた性格をしてる二面性が魅力。ただ何故刀也に惹かれたのかがやっぱり謎で満ち溢れてます。なんかそーゆーエピソードなり描写なりってあったっけ?

 シナリオはソフィと全く同じで、最後の戦い前後のお相手が誰になるかの違いだけ。もう少しこの辺は練って欲しかったです。

 全体的に描写不足が目立ちました。刀也とヒロインが恋愛関係となる過程はどのシナリオでも唐突過ぎましたし、刀也が3つの勢力(RDA・教会・魔女)のどれに属するかを決めるに至る展開も、ただ流されているだけのように感じましたし、はっきり言ってここまでカッコよくないバトル物の主人公は初めてかも。

 特に教会派となる流れなんて思考を完全に放棄したとしか思えませんでした。水澄乃と共にソフィへ頭垂れる姿にはゾッとしましたよ。もちろんそんな選択もある、と言ってしまえばそれまでですが、この時点で主人公に対する感情移入度は完全にゼロとなりました。アーメン。

 ラスト付近の展開がどのシナリオも似たり寄ったりで、ラスボスが共通なばかりかバトルの流れもほぼ同一だと言うのにもちと興醒め。もうちょっとヒロインに特化したエピソードを交えるなり、展開を変えるなりの工夫が欲しかったです(別に恋愛ADVにありがちなトラウマ解消劇を見せろ、と言ってるワケではありません)。

 あとこの3つの勢力ですが、プレイしていて「真・女神転生」のIやIIを彷彿とした方も多かったのではないでしょうか。

  • RDA=カオス
  • 教会 =ロウ
  • 魔女 =ニュートラル

 ってな感じで。つまり「使えるものは何でも使って、好きなようにやらせてもらうぜ、イヤッハー!!」なRDAがカオスで、「神の定めた運命に従いましょう」な教会がロウ。んで「運命だの聖遺物だのに縛られず、人間は自分自身の力で道を切り開くべき」の魔女がニュートラル。だからどうしたってワケじゃないんですけど、あまりにもイメージが近かったので、「狙ったのか偶然なのか」で言うと狙ったとしか思えませんでした、と言う話です。

 ちなみにこれがメガテンのように「それぞれの主張・正義に一理ある」とプレイヤーが納得出来るようなら、各ルートにも意義が出来るんでしょうけど、なまじRDAのハカセを完全な悪役っぽく描いてしまったせいで、真紅ルートがどう考えてもバッドエンドとしか感じられない弊害が発生。上記で真紅を「一応メインヒロイン」と書いたのはこの辺にも一因があります。

 あと気になったのはプロローグについて。細かい説明無しで緊迫した逃亡シーンからバトルシーンへと繋がり、RDAと教会の主要登場人物が一堂に顔を揃えた上で、ラストに謎の美女(ジャンヌ)が謎めいた言葉と余韻を残して終わるプロローグは、導入としては文句無しでした。その後は時間軸を戻して登場人物達の出会いを描く……と言う流れはありがちと言えばありがちですけど、その分効果的でもあります。ただ、このプロローグがどこにも繋がらないとなれば話は別です。

 各シナリオともプロローグと全く関連も整合性もありませんでした。なので全シナリオをクリアした後でプロローグに繋がるトゥルーシナリオでも出てくるのか……と期待するも見事に裏切られた晩秋の夜更け。一体あのプロローグは何だったのでしょうか? 「数ある選択肢の可能性、パラレルワールドの1つ」なんて言われたらそれまでですが、それをプロローグにされても困ります。あれは本当に今でも意味がわかりません。

 ちょっと悪く言い過ぎたかもしれませんが、プレイ前の期待がそれだけ高かったからなんですよ。デモムービーは主題歌のカッコ良さと相まって、大いに期待感を持ち上げてくれましたし、事前に公開されていた世界観や設定などにもワクワクしてましたし。あんなにも美味しい設定を用意したんですから、もうちょっと上手い料理の仕方があったんじゃないかと、非常に勿体無くも残念な気持ちでいっぱいです。本当に勿体無い。

 もう少し開発期間を長く設定できて、じっくりテキスト・シナリオにかける時間がとれていればもっと良作になったのでは、と個人的には思ってます。テキスト自体はそんなに悪くありませんでしたので、やっつけ感を払拭出来れば次回作に期待出来るのではないかと。


個人的満足度: ★★★★★|★★★★★
執筆: 2007/11/09