ALMA〜ずっとそばに…〜

メーカー
発売日
2003/05/02
シナリオ
原画
的良みらん
音楽
戸越まごめ
I’ve
F-ACE
VWN

 簡単なあらすじ主人公・十崎巧巳は3年前に両親を事故で失ったが、妹の由衣や仲間達と共に平穏な日々を送っていた。そんなある日、巧巳達のクラスに不思議な転校生・円がやってきたことにより、巧巳達は真実と向き合うことになる。巧巳や由衣、幼なじみの香苗達に秘められた過去とは……。

 発売までひたすら延期がされるも、その理由の1つに『目の前でバイクを盗まれたライターさんが犯人を追いかけたら逆に刺されてしまい、入院するハメになった』なんて事情があったら「お、お大事に……」以外に言える言葉はございません。そうして散々待たされた末に発売された「ALMA」は待たされるだけの価値があった、と個人的には思っております。

 内容を一言で言ってしまうと、奇跡を織り交ぜた学園恋愛ストーリー、とでもなるのでしょうか。妹や仲間達との軽快なやり取りは非常に楽しめましたし、日常の描写もテンポが良くて飽きることなく読み進めることが出来ました。

 そして1人のヒロインと結ばれた後に訪れる悲劇。それは巧巳の過去に関係した因縁と愛慕、信念に彩られた物語……なんて書くと物凄そうな雰囲気を醸し出すことになりますが、簡単に言ってしまうと”巧巳は幽霊だった”と言う事に起因します。

 3年前の事故で実は命を失っていた巧巳は由衣の願いを聞き遂げた存在−ぶっちゃけると円なんですが−によって『普通の人間と同じように暮らせる霊体』として生きることになった、と言う過去がありました。巧巳自身はそのことを知らずに過ごしており、事故から一定の時間が過ぎてから元の身体に戻せば一件落着と言うのが由衣と円の計画。しかしこの計画には穴がありました。それは巧巳自身が己のことを自覚してしまうと物に触ることすら出来ない本当の幽霊になってしまう事。そしてその状態を他人に知られてしまうと、巧巳は世の理によって3年前の事故で死んだ事になる事。

 その辺の設定を使ってストーリーは展開するワケですが、巧巳の幽霊化が起こるのは決まっているので、ストーリーの流れが似た感じになるのはやむを得ません。ただしその中におけるヒロインの位置づけや行動はバラバラなので、同じようなシナリオは存在しない安心設計。この辺に関するライターさんの手腕は見事なものだったのではないかと思ってます。

 一番好きなのは梗。キャラもそうですがシナリオも良かったです。巧巳の幽霊化を梗が知ってしまい、巧巳の存在が失われてしまった世界で頑なに巧巳との思い出を信じ続ける健気な姿に涙涙。着やせってレベルじゃねーぞ的なバストも文字通り大きな魅力です。

 妹の由衣も良かった。兄のために真実をずっと隠しながら明るく過ごしてきた日々を思うと愛しさが止まりません。自分の想いと兄妹であると言う壁に苦しみながらも、「お兄ちゃんの妹でよかった」と笑顔で言えるまでになった由衣の強さには脱帽です。エロシーンは無く(妄想のオ○ニーシーンはあったけど)、あくまで兄と妹と言う関係を貫いたシナリオは感服するのみ……だったのに、”近親相姦OK”と規制が和らいだ後に発売された「Complete Edition」ではバリバリ由衣とヤっちゃってて逆にガッカリな私でした。

 んでもってメインである香苗&カナエのシナリオも見逃せません。カナエシナリオにのみ使われるエンディングテーマが流れるシーンの演出はありがちで陳腐なものかもしれませんが、それだけに破壊力は抜群。良かった、本当に良かった……。

 ツッコミどころも多く(物に触れない身体で2階に昇ってるとか、人に霊体である事を知られたくないのであれば数日間ぐらい山にでも篭ってればいいのに、とか)、奇跡のバーゲンセール的な展開は受け付けられない人もいらっしゃるかもしれませんが、それでも自信を持って薦められる作品でした。


個人的満足度: ★★★★★|★★★★★
執筆: 2007/09/11