11eyes −罪と罰と購いの少女−「11eyes −罪と罰と購いの少女−」のレビュー&感想をば。致命的なネタバレは隠してますけど、未プレイの方は注意が必要。 ■絵■ 複数の原画さんを使用なされてますが、特にその差異による違和感等は無し。立ち絵にしてもイベントCGにしても、不自然な腕の細さがやや引っかかったぐらいでしょうか。その他は日常シーン・戦闘シーン共に気になる点はございませんでした。ただイベントCD的には、主人公達よりも黒騎士達の方が、やたらと優遇されてたような気がしないでもなかったり。 ■音楽■ OP・ED共に主題歌を歌うは彩音さん。主題歌や挿入歌、BGM共に雰囲気を盛り上げてくれる良曲が多かったと思います。特に主題歌に関しては歌詞を見ると一目瞭然ですが、この「11eyes」の世界観をそのままに表現していて、かつ躍動感のある旋律はベリーナイスでかなりお気に入りな曲。 ■シナリオ■ 簡単なあらすじ姉を喪ってから無気力怠惰な生活を送っていた主人公・皐月駆は、ある日幼なじみの水奈瀬ゆかと共に自分達以外誰も存在しない世界『赤い夜』に引き込まれる。そこで得体の知れない黒い謎の化け物に襲われ、その上更に強大な黒騎士達に命を狙われる駆達。そして何度も『赤い夜』と現実世界を行き来するうちに、自分達を含めて6人の仲間が『赤い夜』にいることを知った駆達は、『赤い夜』を終わらせるための戦いを始める……。 エンディングを迎えるにあたって、どのヒロインと結ばれるかの変化はあれど、基本的にシナリオはほぼ一本道。なので1周目はそれなりに時間がかかりますけど、2周目移行はかなりスキップで対応可能です。んで全部クリアした後にトップメニューに追加されるグランドエンド的なものを選択して〆。 以下クリア順にヒロイン別感想。 ▼水奈瀬ゆか▼ 人となり(?)駆を同じ孤児院で幼年時代を過ごした幼なじみ。孤児院が無くなった後は、姉と2人暮らしとなった駆とは違い水奈瀬家に引き取られて、十分に愛情を注がれながら幸せな人生を送る。駆に対して依存的性格をしており、誰に対しても分け隔てなく付き合うも、何はともあれ駆第一主義を発揮。ロリ顔巨乳。 なかなかハイクオリティな幼なじみでした。うん、いい幼なじみでした。ゆかを語るにはこれだけで十分なんですけどもうちょっと付け加えるなら、メインヒロインっぽい位置付けにいて、なおかつ駆の行動原理の大部分を担っているにも関わらず、物語の本質にはあまり関係していないのがアレなヒロインでした。終始出ずっぱりで、最初から最後まで可愛かったのは否めませんが、シナリオの根幹(色々な謎とか)への関係性が薄いのは残念。と言いますか、『口癖がウザい』とか『まとわりついて鬱陶しい』とか思う人がいるかもしれませんけど、実際あんな幼なじみがいたら人生勝ち組だと思うんですよ。 そうは言ったところで痩せても枯れてもメインヒロイン。安玖深音さんの好演もあって、ナイスな幼なじみでした(しつこい)。ただ孤児院が閉鎖となった経緯にはもう一捻り欲しかったところですし(正直「」みたいな)、が欲しかったと言うのが正直な感想です。そして何より残念だったのは、ゆかが光る意味での見せ場が無かったことでしょう。グランドエンドに繋がるきっかけを作ったのはゆかなので、無くてはならない存在であることは間違いないのですが、だからと言って誰を攻略しようとしてものはちと微妙。 ▼草壁美鈴▼ 人となり(?)駆の1つ年上の先輩で、陰陽道の名家である「草壁家」の血筋を引く陰陽師。草壁五宝と呼ばれる5本の妖刀を自在に操り、高い戦闘能力を有する。常に沈着冷静で『赤い夜』メンバーのリーダー的立場となるも、世情に疎いところを突かれてからかわれることも。 凛々しさの中に可愛らしさを、強さの中に弱さと脆さを秘めた美鈴先輩でございます。その二律背反が美鈴先輩の大きな魅力であることは間違いないでしょう。なった時やがわかった時の動揺っぷりもさることながら、全ての真実が明らかになった時の嘆きが私の心に響きました。んでってのはありがちではあるものの、なかなかのトラップだったと思います。 見せ場は何と言ってもラストバトルの前哨戦とも言うべき戦。もう、惚れましたね。や、惚れ直したと言った方がいいかな。ぶっちゃけ全編通して一番燃えるシーンだったと言っていいでしょう。そしてそれだけに、は「えええええええぇぇぇぇっ!?」って感じでした。登場時から中盤までは『頼れるけど面白みの無い先輩』ってイメージでしたけど、これほどイメージが反転した人も珍しいです。 ▼広原雪子▼ 人となり(?)駆の1つ年下で、駆のバイト先の新人アルバイトでもある後輩。かなりマニアックな知識まで揃えたオタク趣味的眼鏡っ子。でもそれは仮に作られた人格であり、眼鏡を外した時に表面化する冷酷な戦闘マシーンと化した姿が本性(と言っている)。そしてバラバラにされても復活する不死身体質。『赤い夜』メンバーを集めた『考現学部』も部長も兼任。 冷酷冷徹非情無情な戦闘マシーンだった雪子が、『赤い夜』のメンバー達を仲間だと思っていく過程がグッド。バトルにおける特攻隊長として熱い戦闘シーンを見せてくれました。雪子が憧れているという”月子”なる人物は同社の「3days」の登場人物らしいので、そっちもプレイしていた方が理解度がアップするかもしれません(ちなみに私は未プレイ)。 戦が一番の見せ場だった雪子ですけど、あれはいずれにしても泣けます。そこからの涙の反撃劇を期待していただけに、が切なさ満点でした。 ▼百野栞▼ 人となり(?)駆のクラスに転入してきた帰国子女。見た目はロリっ子だが、頭脳明晰で他人との関わりを持とうとしない孤高の存在。でもそんな孤立した人間を放っておかない人間によるお節介レベルの干渉により、徐々に打ち解けてくる可愛らしい一面も。 攻略対象と言っていいのかどうか微妙な線ですけど、脇役とするには重要な役だったので。と書いて『』ってのから「」を彷彿としてしまったのは私だけではないはず。ラストにきていきなりメイン級の扱いになるのはいいんですけど、それならそれでもっと当初から深く関わってきて欲しかったですね。物語の展開上仕方ないことだとは思いますが、感情移入度がやや低めなままラストバトルに突入してしまいました。 それはそうと、ラストバトルを前にしてために状況において、した場合に一体誰が栞の相手をしたのかが激しく気になるところです。匡ではないと信じたい。 ▼橘菊理▼ 人となり(?)駆の1つ年上の先輩。言葉を話すことが出来ないためスケッチブックによる筆談がデフォルト。自らの魂の形を具現化した『アブラクサス』から放たれる鎖により攻守のバランスがとれた戦闘能力を有し、更には治癒能力まで備えたマルチプレイヤー。死んだはずの駆の姉と瓜二つであるばかりか、名前まで同じな不思議な存在。 これまた攻略対象と言っていいのかどうか、栞とは別の意味で微妙な線ですけど、裏の真・ヒロインとも言うべき存在でしたので。っつーかある意味ラスボスでした。駆の死んだ姉に瓜二つな上に名前まで同じとなると物語の根幹を担う存在であろうことは容易に想像出来ましたが、あまりにも根幹過ぎて理解は出来ても納得出来るかどうかはアレなラインです。確かにあそこまで酷くなった状況をひっくり返すにはあれぐらいの力技が必要なのかもしれないけど……うーん。 結局のところその正体はだったワケですけど、それで『』とか言い出して倫理を超越しちゃうのはどうなのかと……。 前述の通りシナリオはほぼ一本道で、変化するのはエピローグで誰とヤるか、ってぐらいです。ゆかや美鈴先輩ならともかく、ラストバトル後に「真っ先に浮かんできたのは雪子のことだった」とか言われても「え〜?」としか思えず。それにせっかく特定のヒロインとのエンディングを迎えるのであれば、もうちょっとラストバトル付近の展開に幅を持たせて欲しかったですね。ラストバトル後のチマチマッとした恋愛劇は蛇足以外の何者でもありませんでした。せめてラストバトル前にその辺の要素を盛り込んでくれれば。 ラストバトルと言えば、やはりで挑む姿が見たかった、と言うのが正直なところ。、と言うのもいいんですが、ぶっちゃけは滅茶苦茶切なかったですよ。それにアレでしたし。いくらだとしても、で、と言うのは納得しかねる私です。 冗長に近いレベルで日常生活が描かれておりましたが、それがあるからこそ『赤い夜』の異常性が浮き彫りになっていたと思います。あんな異常事態にバイトなんかしてる場合か、とか言われそうですけど、異常事態だからこそ日常を大切にしていたのでは……なんてありきたりなことを思ったり。 そして物議を醸し出しそうなグランドエンド(?)について。菊理のところでもちょっと書きましたけど、、あそこまでドウニモコウニモ的な展開となってしまった後にハッピーエンドへ結びつけるには、それなりに強引な手段は必要かと思いますが、それにしたってあそこまで何でもアリになるとは。でもまぁそれもアリっちゃーアリかな……と思ってしまう私はハッピーエンド至上主義者。 物語は基本的に駆の視点で進みますが、その裏で『その時、誰々は何をしていたのか』を見ることができるクロスビジョンモードは、面白いシステムだったと思います。見なくても一応の攻略は出来るけど、見た方が遥かに物語の理解度が高くなり、そしてより物語にハマることが出来るシステム。そしてこのシステムの面白いところは、仲間だけではなく敵の視点も数多く用意されている点。特にこのゲームはとなるだけあって尚更です。 あと戦闘シーンにおける選択肢には、ほぼ全てと言っていい割合でバッドエンド直行の選択肢が含まれているので、その度にセーブ&ロードは必須。一昔以上前の理不尽なゲームブック並に即死です。 演出面はかなり秀逸。立ち絵やイベントCGを上手く使って、キャラの動きをよく表現出来ていたと思います。口パクも違和感無く自然でした。それは魔方陣のアニメーションにしてもそうでしたし、何より『赤い夜』に突入する時のひび割れ演出なんてもう。唐突にやってくる理不尽さを演出するために、普通の会話の真っ最中にいきなり発生する『赤い夜』には、キャラクター達と同じぐらいビビりました。 サブキャラについて。 賢久はヘタすりゃ駆以上に熱くて面白いキャラで、重ね重ねが勿体無いキャラでした。そんな賢久のだった彩子先生にはもうひと頑張り希望。香央里は思っていた以上にいい働きをしてくれましたが、匡はパロディネタのほとんどが寒いだけだったのが厳しい。んでもって忘れちゃいけないのが黒騎士達です。クロスビジョンシステムの甲斐もあって、裏の主役とも言うべき存在でした。 色々な謎に関してはほぼ解けていると思っているので、ちょっとまとめてみたい気がしないでもありませんが、手間隙を考えてパス1。まぁ気が向いたらってことにしておいて、その前に誰かがきっと考察をまとめてくれると信じてます。 パロネタが多いのは頂けませんでしたが、それ以外の点ではテキストのクオリティは決して低くなかったと思います。テキスト量が多くてもテンポがいいので中だるみすることもありませんでしたし、戦闘シーンの迫力も十分でしたし、あとはラストバトル突入からグランドエンドに至る流れを許容出来るかどうかでしょう。個人的にはその辺を差し引いたとしても『伝奇アクションの良作』と言うのが結論です。 |
| 個人的満足度: ★★★★★|★★★★★ |
| 執筆: 2008/05/21 |