福本 伸行 竹書房

 

強運・豪腕・緻密・智略・謀略……そんなものを突き抜けた所での真剣勝負、麻雀。

 

主人公であるヒロが出会った天という1人の男は奥さんが複数いたり、人の物と自分の物の区別が無かったりと常識がありません。でもイカサマをやり、ボコボコに殴られても誰かが助かればそれでいいと言う人情派……でした。そんなホノボノとした展開は前半も前半、最初のうちだけでした。一度ヒロと別れた天が数年後に出会った時、天は一流の裏プロとなっていたのです。それ以降はもう「これが麻雀なら俺がやってるのは単なる絵合わせだな……」と思えるぐらいの凄まじい駆引きと人心操作の世界へとまっしぐら。

元々作者である福本先生は人情モノばかり描いていたのですが、彼を有名にした『カイジ』などの作品でも判るようにその真骨頂は人と人の身震いするような心理戦やイカサマです。その分岐点となった作品がこの『天』と言えるでしょう。それだけに最初のホノボノ話と後半のひりつくような闘牌はとても同じマンガとは思えません。雪の降り積もる中、折れてしまったクリスマスツリーを子供達のために支え続けていた天は一体どこへ……。

 

西と東の裏プロ対決は見物でした。というよりそれがこのマンガの全てです。飛び交うイカサマの凄まじさもそうですが、やはり見所は心理戦ですね。福本先生は普段どんなことを考えていらっしゃるんでしょうか。ちょっと心配です。

ちなみにマンガ内で登場してきた赤木というキャラ。人気が出たのか、福本先生のお気に入りだったのかはわかりませんが、この赤木の若かりし頃を描いた外伝的マンガ『アカギ』もあります。まぁ『闘将!!拉麺男』的存在だと思ってください(違う)。福本先生は余程赤木が気に入ったのか、『天』の終盤はアルツハイマーになった赤木がボケる前に自殺しようとするのを止めようとする、と言う展開になり一切麻雀が出てきません。なんて言うか福本先生の人生観と言うか死というものの考え方とががひたすら述べられるような展開。それはそれで見応えがありましたが麻雀雑誌でやらんでも……。

 

なにはともあれ面白いです。展開が異常に遅いですがコミックで読めば問題無し。ちなみに二人麻雀は実際にやるととてつもなくつまらなかったです。

 

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