龍−ロン−
村上もとか 小学館
written by てんさん

 

村上もとかというのは不思議な漫画家だ。決して絵は上手い方ではない。上手いどころか、「なんなんだ、このデッサンは!本当に何十年も絵を描いてるのか?」と疑いたくなるようなものもあるのだが(特に女性の顔)、妙に惹きつけられる、魅力のある絵を描く。それはひとえに表情の描き方が上手いからで、登場人物の感情の機微を丁寧に表現しているからだと思う。そして、有無を言わさぬストーリーの巧みさ。これが村上もとかの絵と見事に融合して、読者を魅了するのだなぁ。

村上氏のマンガはどれも好きなのだけれど、私が一番好きなのは現在も「ビッグコミックオリジナル」で連載中の「龍(ロン)」。主人公の龍、格好良すぎます。それに、彼を取り巻く女性キャラも魅力的。女性は皆それぞれ、龍に惹かれ、自分たちのやり方で彼を支えていく。他人に対する思いやりを忘れないその心構えは、自己嫌悪を覚えるほどです(いや、自分とギャップがありすぎて)。

でも、なんつーか、好きなだけに不満も結構あるわけで。まずストーリーのスケールが大きすぎて、龍がほとんど出てこない。おい、このマンガの主人公誰だよ、と言いたくなる。前半の、日本での龍の学生時代の話が一番面白かったかも知れない。

それに、龍もていも、なんだか節操が無さ過ぎる・・・。あんたたち!あんたたちそれでいいのか!!とか言いたくなるのは私の頭が固いんでしょうか。

でも続きがかなり楽しみなのです。いつまでも続いて欲しい反面、早く終わって欲しい気もします(ガラスの仮面みたいになられたら困るし)。実は作者も収拾のつけかたがわからなくなっているのかもしれない。

とにかく、村上氏には、ぜひ山崎豊子の「大地の子」を漫画化してほしいと思った。

 

■ラ行メインへ■