Brand-new Day


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・・・夢・・・私は夢を見ている・・・懐かしい夢・・・。

・・・今ならそれは・・・ただの懐かしい思い出・・・。

でも・・・あの頃の私にとっては・・・それがすべてだった・・・。

 

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父親 (・・・もう、清香のお母さんは、お前なんだからな)

・・・そう、お父さんがお姉さんに言った日・・・私は一人になった・・・そして・・・泣いた・・・。

お母さんは必ず帰ってくる・・・そう信じて疑わなかったころ・・・。

清香 (お母さんは帰ってくるもん、私の砂絵を見に、きっと帰ってくるもん)

ただ・・・そう信じていたかったころ・・・。

私は砂絵を続けることと・・・もう一つ、決めたことがある・・・。

私の大きなリボン・・・大好きなお母さんに、選んで着けて貰った・・・大切なリボン・・・。

これをお母さんへの目印にしよう・・・そう決めた・・・。

・・・たとえこの先、私の姿が変わることが有っても・・・この目印のリボンは変わることはない・・・。

私の・・・大好きなお母さんなら、すぐに気が付いてくれる・・・この大きなリボンを見てくれれば・・・。

そう信じていた、あのころの私・・・まだ何も知らなかったころの私・・・。

ただ・・・何かに縋りたかった・・・。

清香 (・・・お母さん・・・何で帰って来てくれないの・・・私・・・砂絵上手くなったよ・・・)

2月14日・・・お母さんの誕生日・・・。

私は毎年砂絵を書き続けた・・・そして・・・その度破り捨てた・・・。

清香 (何で、帰って来てくれないのよ!)

お母さんへの目印の大きなリボンも、すっかり馴染んできたころ・・・。

何年も・・・書いては破り捨てた砂絵・・・そんな何年目かの2月14日のこと・・・。

・・・もう・・・私にも分かっていた・・・。

お母さんはもう帰ってこない・・・こんな事続けても・・・もう無駄なんだと・・・。

・・・でも・・・この頃の私にはそれが全てだった・・・私にはもう・・・自分から止める事は出来なかった・・・。

 

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カチャ

・・・ドアが開いたような気がした・・・。

清香 「・・・う、うん・・・すー」

母親 「まあ、清香ったら・・・風邪を引きますよ・・・」

パサッ

・・・誰かが毛布を掛けてくれた様な気がした・・・。

母親 「かわいい寝顔ね・・・少し見ていましょうか・・・」

・・・誰かが私の側にいてくれる・・・そんな気がしたけど・・・私はまだ、夢の中にいた・・・。

 

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それからも何年も続いた報われない行為・・・書いては破り続けた砂絵・・・。

このままでは何も変わらない・・・私はほんとに一人になってしまう・・・そう強く思った日のこと・・・。

私はある決意とともに、リボンを少し大きくしてみた・・・今年で終わりにさせたいという思いとともに・・・。

健二 (うわ、清香、何だそのリボンは)

予想どうり私のリボンを見て、からかってくる。

清香 (あんたなんかに、関係ないでしょ)

私も負けじと言い返す・・・健二と会うと何時もこうなってしまう・・・ほんとは・・・。

だから健二に賭けてみよう・・・。

清香 (あんた、砂絵手伝ってくれない?)

健二 (はぁ?何で俺が?)

清香 (いいから手伝うのよ)

いっしょに砂絵を書くことで・・・何が変わるかなんて・・・この時の私には分からなかった・・・。

ただ・・・昔から・・・公園で慰めてくれた日から・・・ずっと好きだった健二と、砂絵を書きたかった・・・ただそれだけだったのかもしれない・・・。

清香 (あんたなんかに・・・分かるわけないじゃない!!)

健二 (だからお前は一人になるんだよ!!)

・・・健二と砂絵を書くことで・・・私は変わることが出来た・・・。

・・・何年も・・・心の中にあった、蟠りも・・・なくなっていった・・・。

・・・私自身・・・ここまで素直になれるとは・・・思ってもいなかった・・・ありがとう・・・健二・・・。

そして・・・私は一人ぼっちじゃなくなった・・・。

清香 (・・・これ、見てほしいの)

母親 (・・・清香・・・私で・・・いいの?)

清香 (・・・うん・・・お母さん)

ずっと・・・こんな私を見守ってくれたお姉さん・・・今は私のお母さん・・・。

だから・・・今のリボンは今のお母さんのために・・・私が何処にいても・・・直ぐに分かるように・・・。

これからも、ずっと着けていくね・・・。

 

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清香 「・・・お母さん・・・大好き・・・」

母親 「あらあら、この子は・・・ありがとう、清香・・・私も大好きよ・・・」

・・・誰かが・・・私の頭を撫でてくれたような気がした・・・私は幸せだった・・・。

今・・・私は一人じゃない・・・私の側には大好きなお母さんと・・・私を変えてくれた健二がいる・・・。

清香 「えへへ」

母親 「ふふふ、この子ったら・・・どんな夢を見ているのかしら・・・」

差し込む日差しは優しい春の日差し・・・そっと私を包んでくれる・・・。

少し開いた窓の隙間からは・・・柔らかな風が私の頬を撫でてくれる・・・。

季節はもう、冬の装いから、春の装いに変わっていた。

そんな・・・麗らかな、春の日の昼下がり・・・私はそんな夢を見ていた・・・。

 

おわり


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