七瀬留美の乙女な一日
その一 乙女たるもの時間にゆとりを持ち優雅に起床すべし。
ジリリリリリリィーーー。
七瀬 「・・・」
ジリリリリリリィーーー。
七瀬 「・・・・・・」
ジリリリリリリィーーー。
七瀬 (ぷちっ)
ガシッ!
ブンッ!
ガッシャァーーーン! >目覚まし時計ご臨終です。
七瀬 「むにゃむにゃ・・・すぅ〜」
そして何事もなかったかのように再び眠る七瀬であった。
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その二 乙女たるもの慌てず騒がす爽やかに登校すべし。
七瀬 「ふあぁ〜、う〜んもう朝なの〜、いっけないまた寝ぼけて目覚まし壊しちゃたかも。ええと時間は・・・えっ!?」
ガバッ!
バタバタバタ!七瀬 「お母さんなんで起こしてくれなかったのよ、もう遅刻しちゃうじゃないって、急がないと」
バタバタバタ!
そして勢いよく玄関を飛び出す七瀬であった。
母親 「いってらっしゃーい」
タッタッタッタッ。
通学路を勢いよく駆け抜ける七瀬。
七瀬 「はあはあ、い、急がないと」
浩平 「あれ? 七瀬じゃないか。どうしたこんな時間に? トイレでなかなかでなかったのか?」
七瀬 「乙女に向かって何て事言うのよ!ただの寝坊よ! はぁ〜こんな時によりにもよって一番会いたくなかった人物に会うなんて・・・」
浩平 「どうした七瀬? ため息なんかついて、でなかったのか? それとも」
バキッ!
七瀬 「いいかげんにしないと殴るわよ!」
浩平 「もう殴ってるじゃないか! やっぱりあの日」
ドカッバキッガスッ!
七瀬 「はあ、はあ、はあ、まったくこいつは・・・あっいけない急がないと遅刻しちゃう」
タッタッタッタッ。
そして再び通学路を勢いよく駆け抜ける七瀬であった。
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その三 乙女たるもの学校ではおしとやかに行動すべし。
キンコンカンコーン。
学校の小休憩の時間・・・。
七瀬 (やっぱり乙女っていったらこれよね)
ツンツン。
浩平 「おい七瀬、何やってるんだ?」
七瀬 「なによ、見て分からないの? 一人静かに次の授業のために予習をする・・・これこそおしとやかで知的な乙女がすることでしょ」
浩平 「なんだそれ? それよりもいつものように豪快に電話帳を素手で破いて見せてくれ」
七瀬 「そんなこと出来るかぁーーーっ!」
浩平 「おお、それでこそいつもの七瀬だ」
七瀬 「くっ・・・」
思わず大声で叫んでしまう七瀬であった。
そして次の休み時間は・・・。
しずしずしず。
廊下を優雅(自分ではそう思っている)に歩く七瀬。
気分はすっかり乙女モード。
そこへ。繭 「みゅう〜〜〜」
七瀬 「あれ? 繭って、ぎゃあああぁーーーっ!」
繭 「みゅう〜♪ みゅう〜♪」
駆け寄ってきた繭にお下げを引っ張られ、大声で叫ぶ七瀬。
さらに。浩平 「まーゆーーー、みーつーけーたーぞー」
ダダダダダダッ!
そう叫びながらものすごい勢いで七瀬に突っ込んでくる浩平。七瀬 「えっ!? 今度はいったいなに?」
浩平 「とりゃあぁああああっ」
ズドーーーン!
七瀬の斜め後方45度の角度に浩平のタックルが綺麗に決まる。
その勢いで思いっきり廊下に倒される七瀬。七瀬 「・・・」
繭 「みゅう〜♪ みゅう〜♪」
その隙に逃げる繭
七瀬 「・・・・・・」
浩平 「あっこら待て繭! くそー、結局逃げられたか。でも惜しかったよなーもうちょっとだったんだが・・・あれ? 七瀬、お前なんでそんなところで寝てるんだ? そんなところで寝てたらモップ代わりにされるぞ」
七瀬 (ぷちっ)
七瀬 「おーりーはーらー」
浩平 「ま、まて七瀬、冗談だって冷静になれ、ほらお詫びに当ればもれなく温泉にいける、スーパーの福引権の予備券一枚やるからこれで許してくれ」
七瀬 「そんなものいるかぁーーーっ! しかもなんで予備券なのよーーーっ!」
浩平 「贅沢なやつだな、仕方がない、ここは涙を呑んであと二枚予備券をあげよう、ううう」
七瀬 「そんなことで泣くなぁーーーっ!」
浩平 「わはははははっ」
七瀬 「なぜ今度は笑う!」
浩平 「しくしくしく」
七瀬 「いいかげんにやめんかぁーーーっ!」
その後学校中浩平を追いかけて走り回る七瀬であった。
さらに昼休み・・・。
浩平 「おーい七瀬、一緒に昼飯食おうぜ」
ガタガタガタ。
そう言って机を合わせてくる浩平。七瀬 「別にいいけど、その代わりおとなしくしてるのよ」
浩平 「おっ七瀬、その玉子焼きうまそうだな」
ひょい、ぱくっ。
七瀬 「あー! 言ってる側から何してるのよー! はう・・・私の大事な玉子焼きが・・・」
浩平 「安心しろ七瀬、代わりに俺のおかずやるから・・・おーい長森ー!」
長森 「あっ浩平、私のこと呼んだ? もしかしてお弁当に誘ってくれるの?」
浩平 「ああ、それもあるが、それよりちょっとお前の弁当見せてくれ」
長森 「わあー、珍しいね浩平からお弁当のお誘いがあるなんて、はいこれが私のお弁当だよ」
差し出された長森の弁当を手にする浩平。
そしてそのまま七瀬に差し出す浩平。浩平 「ほら七瀬、どれでも好きなの取っていいぞ、どれも俺の自信作だからな」
七瀬 「なに言ってるのよ! これ瑞佳のお弁当じゃない! どこが『俺のおかずやる』よ!」
浩平 「まったく七瀬は贅沢だな・・・いらないならこの弁当全部俺が食ってしまうぞ」
ガツガツガツガツ。
七瀬 「折原それ瑞佳のお弁当じゃない! なに勝手に食べてるのよ!」
浩平 「心配するな七瀬、長森には変わりに俺が今朝台所から持ってきたこの『お徳用 アーモンドカステラ』と『お徳用 メロンパン』をやるから。ほら長森トレードだ、これなら牛乳でもおかしくないぞ」
長森 「わあ〜、このアーモンドカステラおいしそうだね。それじゃあ私もここで一緒にお昼ご飯食べさせてもらうね」
七瀬 「はあ、まったく瑞佳らしいって、ぎゃあああぁーーーっ!」
浩平 「どうした七瀬? いきなり素に戻るなよ」
長森 「ど、どうしたの? 七瀬さん?」
七瀬 「痛い、痛いってちょっと私のお下げ引っ張らないでよ」
繭 「みゅう〜♪ みゅう〜♪」
長森 「あっ繭、今日はお昼買ってくるの早かったね」
繭 「みゅう、みゅう〜♪」
七瀬 「ちょ、ちょっと瑞佳、落ち着いて話してないで繭を何とかしてよ、お願い」
長森 「あっ、ごめんね七瀬さん。ほら繭こっちに来て一緒にお昼食べよう」
繭 「みゅう〜〜〜♪」
七瀬 「ふー、まったく私のお下げはフェレットじゃないていうのに・・・それにしても繭が来たっていうのに折原のやつやけに静かね・・・」
そう呟きながら浩平に視線を向ける七瀬。
浩平 「がつがつがつがつ」
七瀬 「あああーーーっ! 折原ー! なに私のお弁当食べてんのよー!」
浩平 「もぐもぐもぐ、いや、残すともったいないと思ってな。なんだ七瀬まだ食べるつもりだったのか? でもお前の弁当もうからだぞ」
そう言って、空の弁当箱を七瀬の前に置く浩平。
七瀬 (ぷちっ)
七瀬 「全部吐かせてやるーーーっ!」
浩平 「うおっ七瀬落ち着け、そんなに怒るとハゲるぞ」
七瀬 「うるさい折原! そこを動くな!」
浩平 「ま、まて七瀬、動かなかったら殴らないか?」
七瀬 「殴る!!」
浩平 「さらばっ!」
スタタタタタッ!
七瀬 「こらー! 折原ー! 逃げるなー!」
ダダダダダダッ!
そして再び学校中浩平を追いかけて走り回る七瀬であった。
長森 「まったく浩平はしょうがないんだから、ね、繭」
繭 「みゅう〜?」
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その四 乙女たるもの帰り道に食べるものはやっぱり甘いものだね☆
七瀬 「ちょっと折原ほんとにここに入るの。私甘いものが食べたかったんだけど・・・その方が乙女らしいし・・・」
浩平 「なに言ってるんだ七瀬、乙女の見本みさき先輩のお勧めの店だぞ、まさにお前にぴったりじゃないか」
みさき 「うん、ここは私のお勧めの店だよ。とってもおいしいんだから」
浩平 「さあ、いつまでも突っ立ってないで中に入るぞ。みさき先輩お先にどうぞ、七瀬も入るぞ」
七瀬 「わ、分かったわよ。でも絶対に納豆チーズカレーだけは注文しないわよ」
浩平 「分かってるって七瀬、さ、入った入った」
こうしてみさき先輩お勧めの店『びっくりカレーレッツ☆チャレンジ』に入る七瀬たちであった。
浩平 「おっちゃん! 納豆チーズカレー一つよろしく!みさき先輩はいつものでいいか?」
みさき 「もちろん私はそれでいいよ浩平くん」
浩平 「七瀬はここ初めてだから、みさき先輩と同じものでいいだろ?」
七瀬 「私は納豆チーズカレーじゃねければそれでいいわ。川名先輩と一緒のものなら変なもの出てこないだろうし」
浩平 「よっしゃあ!! おっちゃん『みさきスペシャル』二つよろしく!」
おっちゃん 「あいよ! 『みさきスペシャル』気合入れて作ってやるからな!」
七瀬 「・・・なによ『みさきスペシャル』って」
浩平 「それは来てからのお楽しみだ。七瀬ならきっとやり遂げてくれるはずだぜ」
おっちゃん 「へい! 納豆チーズカレーと『みさきスペシャル』二つお待ち!」
ドンッ!
七瀬 「な・・・なんなのよー! このばかみたいな量はぁーーー!」
浩平 「これはな七瀬、みさき先輩のために、わざわざここのおっちゃんが作ってくれた10人前のカツカレー、その名も『みさきスペシャル』だぁーーーっ!」
ドカッ!
浩平 「ぐはっ!」
七瀬 「だったら初めにそう説明しなさいよ! 大体こんなもの一体誰が食べきるのよ。こんなの可憐な乙女が食べるものじゃないわ」
七瀬の言葉にゆっくりと黙ってみさき先輩を指差す浩平。
七瀬 「なによ折原、川名先輩がどうしたのよ」
そしておもむろに隣に座っているみさき先輩に視線を向ける七瀬。
そこで見たものは・・・。みさき 「おじさん、『みさきスペシャル』おかわり」
おっちゃん 「あいよ! 相変わらず見事な食べっぷりだね〜見てて気持ちがいいよ。へいっ!おかわりおまちっ!」
七瀬 「なっななな」
ポンポン。
あっけにとられている七瀬の肩を優しくたたく浩平。浩平 「分かったか七瀬、あれが真の乙女だ。あれを見て七瀬は悔しくないのか? いや悔しくない訳ないよな。なんたってお前はお・と・め・なんだからな」
七瀬 「こ、これを食べきれば、真の乙女に一歩近づけるというわけね」
浩平 「そうだ七瀬! お前ならできる! レッツチャレンジ!」
七瀬 「乙女の道は厳しいという訳ね・・・望むところだわ」
そして、『みさきスペシャル』を豪快に食べ始める七瀬。
20分後・・・。
客A 「なあ見てみろよあの二人、すごいぞ」
客B 「ああすごいな、あの『みさきスペシャル』をおかわりしてるぞ」
みさき 「おじさん『みさきスペシャル』もう一皿お願いね」
おっちゃん 「あいよ!」
観客 「おおっ! あの女の子またおかわりしたぞ」
七瀬 「んぐんぐ、わ、私もおかわり」
おっちゃん 「あいよ!」
観客 「おおっ! こっちの子も負けてないぞ、すげー!」
浩平にそそのかされ、みさき先輩と大食い勝負を繰り広げる七瀬。
優雅にカツカレーを口に運ぶみさき先輩と、豪快にカツカレーをかっ食らう七瀬。
その姿が可憐な乙女に見えたかは皆さんの想像にお任せしよう。
がんばれ七瀬!
負けるな七瀬!
いつか真の乙女になれるかもしれないその日まで!
七瀬留美の乙女な一日 お・わ・り☆