「みずいろ」の愉快な仲間たち

第二十話 日和と二人で


学校の教室 PM 00:40

健二 「そういえば、確か明日の連休は縁日があるんだったよな」

いつもの昼休み、みんなで昼食をとっている時、俺はそう聞いてみた。

清香 「あんた今頃何言ってんのよ、そんなこと一ヶ月も前から分かってることじゃない」

夢中で弁当を食べていた清香が、一瞬手を休めると、心底あきれたようにそう答えてきた。

健二 「そ、そうなのか雪希、俺は今日までぜんぜん知らなかったぞ」

俺は隣に座っている雪希に聞いてみた。

雪希 「う、うん。お兄ちゃんもう知ってると思って、私何も言わなかったんだけど・・・」

食べる手を休め、申し訳なさそうな顔をする雪希。

進藤 「そうですよ先輩、今頃何言ってるんですか?そんなことこの町に住んでいる人ならみんな知っていることですよ。あれだけ町の至る所にポスターが張ってあるのにどうして今まで気がつかなかったんですか?だいたい先輩はいつも注意力が足りないんです。ほんと雪希ちゃんも大変よね」

向かいに座っていた進藤が、ここぞとばかりに捲くし立てる。
雪希も困った顔をしている。
くそ、進藤のやついい気になりやがって。

健二 「進藤!お前の後ろに何かいるぞ!」

進藤 「えっ!何がいるんですか?」

くるっ。
俺の言葉に思わず振り返る進藤。
ばかめ!

健二 「ていっ!」

ガスッ!!
俺は机から身を乗り出し、進藤の後頭部に思い切り頭突きをくれてやった。

進藤 「うっ・・・がくっ」

ぷるぷるぷる。
その場に崩れ去る進藤。
ふっこれで暫くはおとなしくしているだろう。
さてと。

健二 「雪希、それに清香、明日縁日があることを知っているのが当たり前みたいに言っているが、ここに絶対知らないやつがもう一人いるぞ」

清香 「そんな人いる訳ないじゃないって・・・今一瞬心当たりが頭に浮かんだわ」

雪希 「う、うん。私も・・・」

どうやらみんなの意見が一致したらしい。
そして、その人物にみんなで視線を向けると・・・。

日和 「あっ・・・!」

今まさに俺の弁当箱から玉子焼きを盗もうとしている日和と目が合う。

日和 「えへへ〜、もう返さないもんね。ぱくっ」

そう言って俺の玉子焼きを食べる、いつになく挑戦的な日和。
おのれ日和・・・マイ妹が作った俺の大事な玉子焼きを・・・。

健二 「お前は一体何をし・て・い・る・ん・だ」

俺はそう言いながら、すばやく日和の背後に回りこみ・・・。

健二 「こうしてくれる!食らえ必殺コチョコチョの計だ!」

コチョコチョコチョコチョ。

日和 「ん〜んんんんんん〜」

当然口に玉子焼きを入れている日和は、飲み込むことも吐き出すこともできずのたうち回る。

健二 「わはは、どうだ日和参ったか」

その時。
バシッ!
清香が俺の尻に蹴りを入れてきた。

清香 「話が進まないからいい加減その辺にしときなさいよ。まったくもう」

しかし、その衝撃で思わず日和をくすぐる手に力が入ってしまった。

日和 「にゃははははは」

耐え切れず噴出す日和。
そこへ。

進藤 「あれ?私一体いままでどうしてたのって、ぎゃああああ〜」

まさにグットタイミングで日和が噴出したものを思いっきり顔面にかぶる復活したての進藤。
ふっ進藤、どこまでも運のないやつだ。

健二 「よし、それじゃあ話を元に戻すか」

日和 「もう、『元に戻すか』じゃないよ〜ぐっすん」

コチョコチョの計で半泣きの日和だが、まあこれもいつものことだ。
ちなみに進藤は手洗い場へ直行中である。

健二 「まあまあ日和、それよりもお前、明日が縁日だって知ってたか?」

日和 「えっ・・・!?明日縁日があるの。私知らなかったよ。わ〜楽しそうだね〜けんちゃん」

縁日と聞いて、とたんに笑顔になる日和。
ナイス日和!俺はお前のその言葉を待っていたぜ!

健二 「わはは!どうだ清香!ここにもう一人知らないやつがいたぞ。この勝負俺様の勝ちだぜ。ビバ日和!俺はお前を信じていたぞ!」

腰に手を当て勝ち誇る俺。
そんな俺の横には、はてな顔の日和。

清香 「何でいつの間に勝負事になってんのよ。それにだいたいそんな事で喜んでて恥ずかしくないわけ」

呆れる清香。

雪希 「・・・お兄ちゃん」

悲しいものを見る目を向けてくる雪希。

健二 「うっ・・・だ、だがしかし、どんなことでも勝てばいいのだ!わははは」

さらに勝ち誇る俺を、さらに呆れた目で見る清香と雪希であった。

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           ・

           ・

健二 「で、本題に入るが明日の縁日みんなで行かないか?」

俺は今日の本題をみんなに提案した。
当然みんな賛成すると思っていたが、意外にもみんなの答えは・・・。

清香 「縁日に行くのはいいんだけど、私は麻美先輩と行くことになってるのよね」

雪希 「私も明日は進藤さんのお家に遊びに行って、そのまま縁日に行くつもりだったの・・・ごめんねお兄ちゃん」

清香も雪希も、もうすでに明日の予定は埋まってたのか・・・まあ、いきなりだったから当然か。

健二 「そうか、急な提案だったし仕方がないよな」

清香 「まあ、一緒には行けないけど、どうせ縁日には行くんだし、そこでばったり会うんじゃない」

雪希 「うん、それにお兄ちゃんにも一緒に行ってくれる人がいるんだしね」

そういって意味ありげな視線を俺の後ろに向ける雪希。
そこには・・・。

日和 「えへへ〜明日は健ちゃんと縁日だよ〜るんらら〜よかったね」

へっぽこな歌を唄いながら、やっぱりへっぽこな踊りを踊っている日和がいた。

健二 「そうか日和がいたんだよな、すっかり忘れていたぜ。よし日和、明日は二人で縁日に繰り出すぞ」

日和 「うん、今から楽しみだよ〜るんらら〜」

俺の言葉にさらに喜ぶ日和。

雪希 「よかったね日和ちゃん、明日はお兄ちゃんとデートだよ」

日和 「えっ・・・!?デ、デート!?」

雪希の思いもよらない言葉に顔を真っ赤にして驚く日和。

健二 「ゆ、雪希!何言ってるんだ!こ、これは断じてデートじゃないぞ。そうだろ日和」

そう言って日和を見る俺。

日和 「えへへ〜、明日は健ちゃんとデート・・・にゃあ〜」

だめだ、すでに日和はあっちの世界に行ってやがる。

清香 「よかったじゃない、明日は日和とデート出来て、思う存分楽しんでらっしゃいよ、あははは」

ここぞとばかりに俺をからかう清香。

健二 「ちがう!これは断じてデートじゃないぞー!」

俺の叫びがむなしく教室に響きわたる。
その後手洗い場から帰ってきた進藤にも俺はからかわれることになった。
みんなにからかわれたが、それでも結局俺は日和と二人で縁日に行くことにした。
日和があそこまで喜んでんだからな・・・。
その後、縁日の話で盛り上がる俺たちだった。

 

 

縁日当日

雪希 「それじゃ行って来るね、お兄ちゃん」

健二 「ああ、進藤と楽しんでこいよ雪希」

朝、俺は雪希を見送るため玄関に出ていた。

雪希 「うん、お兄ちゃんも日和ちゃんとのデート、楽しんできてね」

健二 「ゆ〜き〜、お前いい加減に・・・」

雪希 「あはは、それじゃあ行って来るねお兄ちゃん」

バタン。
勢いよく玄関の扉を開けて、雪希が満面の笑顔で表に出て行く。
まったく雪希のやつ・・・。
雪希には昨日家に帰ってきてからずっとからかわれっぱなしだ。
まあこれでもうからかわれないですむからいいか。

健二 「さて、雪希も出て行ったし日和との約束は午後の5時だし、それまで何をするかだな」

そんなことは決まっている。
俺は自分の部屋に向けて歩き出す。
そして・・・。

健二 「おやすみ俺」

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           ・

           ・

?? 「お〜き〜て〜よ〜」

ユサユサユサ。
うん?誰だ俺の体をゆすってるやつは・・・。

?? 「何でこんな時間まで寝てるのよ〜」

ユサユサユサ。
この声・・・どこかで聞いたような・・・。

?? 「もう約束の時間だよ〜、遅れちゃうよ〜」

ユサユサユサ。
約束?・・・そうか、確か日和と縁日に行くんだったよな・・・もうそんな時間か・・・しかしここで素直に起きるのは面白くない。

日和 「何でいつも私だと起きてくれないのよ〜」

健二 「それは日和だからだぞ〜」

そう言ってさらに布団に潜り込む俺。

日和 「そんなの理由になってないよ〜、それに〜目が覚めたのなら起きてよ〜」

そう言いながら俺の布団を引っ張る日和。

健二 「頭は起きたが、体はまだ寝てるぞ〜」

負けじと俺も引っ張り返す。

日和 「う〜、う〜、も、もうこうなったら、こんな時のために持ってきたあれを使うからね〜」

うん?日和のやつ何を持ち出すきだ?

日和 「ほ〜ら、アイスノンだよ〜、ふふふこれを背中に入れちゃうからね〜、覚悟はいいかな〜」

そう言って俺の布団に潜り込んでくる日和。
なにー! あんなもの背中に入れられたら洒落にならんぞ。

健二 「ひ、日和、分かった、起きるからそんなもの背中に入れようとするなって、うおっ!」

日和 「わっわわわ!」

ドスン!
慌てて飛び起きようとした俺だが、日和がアイスノンを入れようと俺の寝巻きを掴んでいたため、バランスを崩し、二人縺れるようにしてベットから落ちてしまった。

健二 「いてて、まったく日和のやつ、やってくれるぜ」

俺は上半身を起こす。

日和 「わわわ、け、けんちゃん・・・」

何故か慌ててる日和の声。

健二 「うん?なぜ日和の声がこんな近くから聞こえてくるんだ・・・」

起き上がろうとする俺の下から何故か慌ててる日和の声が聞こえる。
なぜに?
俺はそう思い、ゆっくりと下を見てみた。

健二 「うおっーーー!」

多分落ちた時にそうなったんだろう、俺は日和に覆いかぶさっていた。
しかも思いっきり・・・。

健二 「ひ、日和、こ、これはわざとじゃないぞ、事故だ事故」

俺は慌てて立ち上がった。

日和 「う、うん、分かってるよ、けんちゃん、えへへ〜」

俺がいなくなり、ゆっくり上半身を起こす日和。
何故かとてもうれしそうだ。いつものおろおろあたふたが出てこない。
くそっ俺だけが慌ててるのは面白くないぞ日和くん。

健二 「大体日和が俺を普通に起こさないのがいけないんだぞ!」

日和 「な、何言ってるのよ〜、普通に起こしたんじゃ絶対起きないくせに〜」

健二 「それはお前の起こし方が悪いんだ」

日和 「そ、そんなことないよ〜」

健二 「ということで縁日に遅れるのも日和のせいだからな」

日和 「な、何でそうなるのよ〜、ぐっすん」

とたんに半泣きになる日和。
やっぱり日和はこうでなくては面白くない。

健二 「ほら日和、いつまでも拗ねて座ってないで縁日に行くぞ。今日はお前とデートなんだからな」

俺はそういい残し、出かける準備をするため部屋を出た。
部屋を出るとき、後ろからは日和の驚く声が聞こえてきた。
きっと今頃はいつもの照れた笑顔なんだろうな・・・俺はそんなことを考えながら洗面所に向かった。

健二 「今日は楽しくなりそうだな」

ふと窓から見た空は、ゆっくりと茜色に染まり始めていた。

 

つづく


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