「みずいろ」の愉快な仲間たち

第十九話 勝負の行方


学校の校舎 1階 PM 17:53

健二 「清香!雪希は居たか!?」

俺は、廊下ですれ違った清香に聞いた。

清香 「まだ見つかってないわ!」

清香はそう言い残し、向こうへ走っていった。

健二 「くそ、雪希の奴どこに行ったんだ!?」

そして俺も、再び走り出す。
俺たちは今、ばらばらになって、雪希を探している。
清香の怒りも、今は収まっている。
もちろん、ただで済んだ訳はなく、あのあと俺は清香におもいっきり、蹴りを入れられた。

清香 (ふん、時間がないからこれで許してあげるわ)

そう言って清香は許してくれたが、半端な蹴りじゃなかったぜ。
まだ尻が痛い。
まあ、その後の清香の発言は笑えたが・・・。

清香 (こうなったら、意地でも雪希ちゃん捕まえて、お土産だけでも確保してみせるわ)

まあ、実に清香らしいくていい、やる気満々なその発言は実に頼もしいかぎりだ。
俺はこの時、いや、おそらくみんなも、雪希はすぐ見つかるだろうと思っていたはずだ。
だが、予想に反して、雪希はなかなか見つからなかった。

健二 「おっ、日和、先輩、聞き込みはどうだった?」

俺の走る先に、二人の姿が見えたので、俺は側まで行きそう聞いた。
日和と麻美先輩には、雪希を探して貰いながら、ついでに情報を集めて貰っていた。
そして、二人が俺の声に振り向く。

日和 「あっ、けんちゃん、そっちはどうだった〜」

日和が俺の姿を確認し、最初嬉しそうに、でも直ぐに困り顔になってそう言った。

健二 「いや、まだ見つからん、雪希のいそうな所はあらかた調べたと思うんだがな」

俺はお手上げのポーズをとりながら、日和に言った。

日和 「うん、こっちもだよ、雪希ちゃんどこにもいないの〜、それに、聞き込みしてて分かったんだけど〜、鬼ごっこが始まってから、雪希ちゃんの姿見た人、誰もいないの〜、けんちゃん、おかしいと思わない〜?」

健二 「そうなのか日和?いくらなんでも鬼ごっこが始まって2時間以上たつんだ、いくらなんでも一度も姿を見せ無いなんて、そんなことあるのか?先輩の方はどうだった?」

俺と日和は、先輩の発言に注目した。

麻美 「ふるふるふる・・・私も早坂さんと同じです・・・誰に聞いても片瀬さんの姿は見ていないと言われました・・・ただ・・・」

先輩はそこで少し間をおいた、どうしようか考えているみたいだ。

健二 「先輩、悩まなくていいから、とりあえず言ってみて」

俺は先輩に優しくそう言った。
先輩は、意を決したように話し始めた。

麻美 「はい・・・片瀬さんらしい姿を、校庭で見たという情報が、一つだけありました・・・でも、これはかなり曖昧な情報ですので、信憑性に欠けます・・・リボンを見てそう思ったと言ってましたから・・・」

健二 「う〜ん、なるほど、確かに信憑性にかけるな・・・」

日和 「そうだね〜、リボンだけじゃ、他の人かもしれないしね〜」

俺と日和がそう言うと・・・。

麻美 「しゅん・・・」

落ち込む先輩。

健二 「わわ、せ、先輩、落ち込まないで、まだ違うとは限りませんから・・・」

俺がそう言って先輩を慰めていると・・・。

?? 「せんぱ〜い」

遠くから進藤の声が聞こえてきた。
そして、真っ直ぐこっちに向かってくる。
そして・・・。

進藤 「あっ、みんな集まってたんですね、それでどうでした?雪希ちゃん見つかりましたか?」

俺たちの側に来るなり、進藤がそう言った。

健二 「いや、まだ見つかってない、それでみんなで情報を分析してたんだ、進藤の方こそどうだったんだ?」

俺は進藤にそう言い、逆に質問した。

進藤 「それがですね、聞いてくださいよ、それはもう学校中探し回ったんですから、それで先輩が入れない所が怪しいと思って、女子更衣室から、おトイレまでくまなく探したんですけど、どこにもいないんです。これってどう考えてもおかしいと思いませんか?」

進藤がそう捲し立てる。
よっぽど苦労して探しまくったのだろう。
だとすると・・・。

健二 「・・・案外、先輩の情報は正しいのかもしれないな・・・」

一同 「えっ・・・!」

俺がそう言うと、みんなの視線が俺に集まる。
俺は、一度頷くと話し始めた。

健二 「進藤は、学校中探し回ったんだ、それでも雪希は見つからなかった。その時俺と清香は、それぞれ進藤とは別の場所から探し初めてたんだ、もし雪希がどこかに隠れてたのなら、多少隠れるのに移動したとしても、これで見つかるはずだ。だけど雪希は見つからなかった。だとすると雪希は動き回っていることになる。でもそれだと学校に残っている連中の誰かに見られているはずだから、日和と先輩の聞き込みで、もっと情報が集まってたはずだ。しかし、実際には雪希の姿を見た者はいない・・・ここで、先輩のあの情報が生きてくる。校庭で雪希の姿を見たという・・・つまり雪希は校舎の中には居なかったんだ始めから・・・雪希は・・・校庭のどこかに隠れてるんだ!!」

日和 「あっ!そうだね、きっとそうだよ〜、だからいくら聞き込みしても誰も知らなかったんだ〜」

うんうん頷きながら、納得顔の日和。

麻美 「・・・私の情報が、役に立って良かったです」

先輩も自分の情報が役に立って嬉しそうだ。

進藤 「それじゃあ、今までの努力はみんな無駄だったんですか」

一人ふくれる進藤。
まあ、一番走り回ってたから気持ちは分かるが・・・。

健二 「進藤、そんなことはないぞ、ここまで努力したからこそ、雪希の居場所を絞り込むことが出来たんだ、お前の苦労は決して無駄じゃないぞ」

進藤 「そうですよね、私の努力は無駄じゃないですよね」

俺の言葉に、納得する進藤。
そうだ、これはみんなの地道な捜査の賜物だ。
何だか本物の探偵になった気分だぜ。

健二 「よし、もう時間は残り少ないが、校庭なら隠れる場所は少ない、みんなで手分けすれば、雪希は直ぐ見つかるだろう、いくぞ!!」

俺はそう言うと、校庭に向け走り始めた。
ふっ、たとえマイ妹でも、勝負に情けはかけないぜ。

日和 「あっ、けんちゃん、待ってよ〜」

麻美 「・・・いよいよ、終盤ですね」

進藤 「雪希ちゃん、絶対捕まえて見せるからねー」

日和と先輩、進藤も俺の後に続いて走り始めた。

健二 「清香!雪希は校庭だ!急いで向かってくれ!」

清香 「えっ、それほんとなの健二!?」

健二 「ああ、間違いない!」

俺は、途中で会った清香に立ち止まることなくそう言った。
清香も俺が真剣なのが分かって、それ以上何も聞かずに校庭に向かってくれた。

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学校の校庭 残り時間わずか

健二 「よし、日和と先輩はあっち側、清香はこっち、進藤はそっちを頼む、もう時間が余り無い、みんな急ぐぞ!」

俺は校庭に着くと、素早くみんなに指示を出した。

清香 「任せなさい、必ず見つけるわ」

進藤 「先輩、大丈夫ですよ」

日和 「任せて、けんちゃん、えへへ」

麻美 「・・・きっと、見つけてみせます」

みんな元気にそう言うと、校庭に散っていった。
俺もがんばらないとな。
そう思い、俺も雪希を捕まえるため、校庭を走り始めた。

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健二 「くそっ、こっちにはいないぞ」

俺は自分の担当分を探し終え、思わずそう叫んだ。
みんなはどうなんだ?
俺は、日和と先輩が探している場所に向かって走り始めた・・・。

健二 「日和、先輩、どうだ、雪希は見つかったか?」

俺は二人を見つけるとそう聞いた。

日和 「いろいろ探したけど〜、こっちには居ないね〜」

麻美 「・・・残念ですが・・・」

日和と先輩が、申し訳なさそうにそう言った。

健二 「いや、仕方ないさ、それじゃ清香の方、行ってみようぜ」

日和 「うん」

麻美 「・・・はい」

そして、俺は二人を連れ、清香の方に向かって再び走り始めた。

健二 「清香!どうだ居たかって・・・その様子じゃダメか・・・」

清香はすでに探し終わったのだろう、フェンスに寄りかかって休んでいた。

清香 「ええ、隠れていそうな場所は全部探したわ、けど雪希ちゃん、どこにもいないのよね」

そう言いながら、お手上げのポーズをする清香。
となると、後は進藤だけか・・・。
そこへ・・・。

進藤 「せんぱーい、雪希ちゃんこっちにはいませんでしたよー」

そう叫びながら、進藤がこっちに向かって走って来た。
進藤の方にもいなかったのか・・・。
そして・・・。

キーン、コーン、カーン、コーン

時間切れを示す、チャイムの音が校庭に鳴り響いた・・・。

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俺の教室 PM 18:07

俺たちは、俺の教室で雪希が現れるのを待っていた。
時間になったら、ここで合流することになっていたからだ。

健二 「でも、雪希のやつ・・・一体どこに隠れてたんだろうな・・・」

俺は自分の椅子に座って、腕組みしながら何となくみんなに言った。

日和 「そうだね〜、これだけ探していないんだよ、雪希ちゃん、どこにいたんだろうね〜」

日和がいつもの考える仕草をしながらそう言った。

進藤 「そうですよ、校舎の中にも、校庭にもいなかったんですよ、他にどこがあるって言うんですか」

進藤が捲し立てる。

清香 「そうよね、どこか見落としてた場所なんてあったのかしらね」

清香もそう言って考え込む。
そこへ・・・。

麻美 「あっ・・・片瀬さん、来たみたいですよ・・・」

ずっと、廊下を眺めていた先輩が、雪希の到着を知らせてくれた。
そして・・・。

ガラッ!

雪希 「みんな、どうやら私の勝ちみたいだね、るんらら〜」

勢いよく教室の扉を開け、雪希がそう言いながら教室に入ってきた。
その顔は満面の笑顔だった。

健二 「雪希、今までどこに隠れていたんだ?俺たちは学校中、校舎の中も、それこそ校庭まで探したんだぞ」

俺は、みんなも思っているであろう質問を雪希にした。
みんなの視線が雪希に集まる。
そして、雪希の言葉にみんなが固まることになる。

雪希 「私はね・・・実は・・・家に帰って夕食の支度してたの、だって鬼ごっこの範囲が学校の中だけって決ってなかったから、ただ隠れてるのもなんだしって思って・・・夕飯が遅くなると、お兄ちゃん困るかなって思ったしね」

一同 「・・・」

雪希 「あれ?みんなどうしたの?」

固まっている俺たちを不思議そうに見ている雪希。
ま、まさか、あのルールにそんな落とし穴があったとは・・・。

清香 「このバカ健二!鬼ごっこの範囲ぐらいしっかり決めておきなさいよ!」

突然切れる清香。

健二 「な、なに言ってんだ、お前だって気付かなかったくせに、俺のせいにするんじゃねえ!」

俺も負けじと言い返す。

進藤 「なに言ってるんですか、すべて先輩が悪いんです、私あれだけがんばったのに、何ももらえないなんてあんまりです、この責任はとってもらいますからね」

そう言って進藤も俺を非難する。

健二 「進藤までなに言ってるんだ、あのルールでいいってみんな納得したじゃないか」

清香 「そんなの知ったこっちゃないわ、あんたは責任とって、あたしたちをレストランに連れて行くのよ」

進藤 「清香先輩それいいですね、先輩ぜひお願いしますね」

健二 「なんで俺がそんなことしなきゃならないんだー!」

俺と清香と進藤の言い争いをよそに後の三人は・・・。

日和 「雪希ちゃん、おめでとう〜、よかったね、るんらら〜」

麻美 「・・・鬼ごっこ優勝、おめでとうございます、完敗でした」

雪希 「ありがとう、日和ちゃん、麻美先輩、おみやげ買ってくるからね、楽しみにしててね」

二人 「わ〜い」

雪希の勝利を、讃える日和と先輩、もう行った気になっている雪希だった。

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健二 「それにしても、あの時の進藤と清香はほんと面白かったな」

進藤 「ああ、先輩あの時私、ほんと大変だったんですからね」

清香 「まさか、あれが日和の作戦だったなんて、あたしもまだまだね」

日和 「えへへ、ありがとう、清香ちゃん」

麻美 「でも・・・楽しかったですね」

雪希 「私はチケットが手に入ったから嬉しいよ、私の作戦勝ちだったね」

健二 「確かに、あれに気付かなかった俺たちの完敗だな」

清香 「そうね、勝手に範囲決めてたのは、あたしたちだからね」

進藤 「あーあ、私もそれに気付いてれば、簡単に勝てたのになー、残念です」

健二 「それが、お前と雪希の差だ」

進藤 「あー、先輩それひどいですー」

一同 「あはは」

その後俺たちは、しばらく、鬼ごっこ勝負の話で盛り上がっていた。
そこへ・・・。

?? 「お前たちだな、犯人は」

突然背後から声をかけられた。
誰だ一体。
俺たちはそう思いながら後ろを振り向く。
そこには・・・。

先生 「今日の学校の放課後、学校中を走り回ってたのはお前たちだろう、さらに変な音楽を大音響で流していたのも、玉入れのかごを学食に運び込んだのも、お前たちの仕業だな・・・」

生徒指導の先生が、そう言いながら俺たちに睨みを効かせていた。
確かにあれだけ大騒ぎしていれば、何処かから苦情が出たのも頷ける。
ヤバイ!ヤバイぞ、非常にまずい自体だ。

進藤 「なに言ってるんですか!変な音楽じゃありません、メロコアです!」

生徒指導の先生に向かって、ツッコミを入れる進藤。
確かに俺もそう思うが、それじゃあ火に油を注ぐようなもんだぞ進藤。

先生 「メロンだか、ココアだか知らんが、とにかく全員生徒指導室までこい!!」

そう言って、俺たちに向かってくる生徒指導の先生!
ここで捕まれば、ただじゃすまないぞ。

健二 「み、みんな逃げるぞ!!」

一同 「わぁーーー!」

一目散に教室から脱出する俺たち。

先生 「待たんかぁーーー!!」

そう言って追いかけてくる生徒指導の先生。

日和 「うわ〜ん、これって、半分以上は、けんちゃんのせいだよ〜」

清香 「そうよ、あんたのせいよ!」

進藤 「先輩があんな作戦するからいけないんですー!」

雪希 「お兄ちゃん、私のいない時に、いったいなにやったのよー!」

健二 「なんでみんな俺のせいにするんだぁーーー!!」

4人 「あんたが悪いからよ!」

健二 「ぐわぁー!雪希までぇー!」

麻美 「・・・いったいこの後、どうなるのかしら・・・」

こうして俺たちは、再び鬼ごっこをすることになった。
まさに命がけの・・・。

先生 「こらぁ−−−!待たんかぁーーー!」

 

「夜景の見える高級レストラン・ペア招待券」は、こうして雪希の物になった。
そして俺は、みんなに食事をおごることを約束させられたのであった・・・。

つづく


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