「みずいろ」の愉快な仲間たち

第十八話 清香を捕まえろ


学校の廊下 2階 PM:17:18

健二 「清香!まてぇーーー!」

ダダダダッ

清香 「ふん、待つわけないでしょ」

タタタタッ

俺は今、清香を追いかけている。
清香の聞き込みをしていた時、偶然姿を見つけ、清香にばれないように、先回りし、進藤の時と同じ罠を俺たちは仕掛けたのだ。

健二 「日和!清香が行くぞ!しっかりガードしろよ!」

俺は走りながら、日和にそう叫んだ!

日和 「うん、まかせて、けんちゃん」

日和が元気よく返事を返してきた。

日和 「そ〜れ、清香ちゃん、ここは通さないよ〜」

進藤の時と同じように、しっかり階段をガードする日和。
よし、日和よくやった。

清香 「なにか企んでるみたいだけど、あたしには無駄よ」

日和がいる階段には目もくれず、真っ直ぐ廊下を走る清香。
だがこれでどうだ!

健二 「せんぱぁーーーい!今だぁーーー!」

俺は先輩に合図を送った。

清香 「やっぱり何かあるのね」

俺の声に振り向くことなく、真っ直ぐ前を向いて走る清香。

先輩 「・・・えい」

クイッ
そして、清香の足元に紐が張られる。

清香 「うわっ!」

突然現れた紐に、足元を取られる清香。

健二 「よし!やったぞ!」

俺は勝利を確信し、そう言って思わず拳を握った。
その時!

清香 「ふん、このあたしをなめるんじゃないわよ」

クルン
バッ!
スタタタタッ!

健二 「なっ・・・!」

あまりの事に一瞬その場に立ちすくむ俺。
清香は見事な前回り受身を取ると、素早く立ち上がり、再び走り出していた。

健二 「しかし、まだ予想の範囲内だ」

そして俺も再び走り出す。
俺はこんなこともあろうかと、もう一つ作戦を立てていた。

健二 「進藤!清香がそっちに行くぞ!捕まえてくれ!」

俺はそう叫んだ。
そう、俺は進藤を待ち伏せさせていたのだ。
さすがの清香もこれで終わりだ、逃げ道はどこにも無いぜ!

進藤 「任せてください先輩!ふふふ、清香先輩、もうおしまいですよ」

そして進藤が清香の前に立ちふさがる。
よし、貰った!

健二 「進藤!落ち着いていけよ!」

進藤 「お任せですよ!先輩!」

清香と進藤の距離が詰まる!
あともう少し、俺は勝利を確信した。
が、その時またしても!

キュキュキュ!
見事なフェイントをかける清香!
そして・・・。

進藤 「あっ・・・!」

清香 「まだまだ、甘いわね」

タタタタッ
そう言い残し、進藤の横をあっさり抜いて、走り去っていく清香!
あいつはどういう運動神経しているんだ。

健二 「くそっ!進藤!清香を追うぞ!」

進藤 「は、はい、先輩」

あっけに取られている進藤を正気に戻し、俺たちは再び清香の後を追った!

清香 「あんたたち、詰めが甘いのよ」

遠くから、清香のそんな声が聞こえてきた。
くっ、言い返すことが出来ないぜ。
そして、清香が廊下を曲がった、あの先は階段だ。
俺と進藤も、急いで階段に向かう。

健二 「くそっ!清香のやつ、どっちに行ったんだ!」

俺と進藤は階段に着くと、立ち止まってしまった。
階段は上と下の二通りある。

進藤 「先輩!上です!」

その時進藤がそう叫びながら、何かを指差した。

健二 「上・・・?」

俺は進藤が指差しているものに、視線を向けた。
そこには清香のリボンが見えた。

健二 「よし、進藤!上に行くぞ!」

進藤 「はい!」

俺と進藤は急いで階段を駆け上がった。
ダダダダッ!
そして、下から見えていた清香のリボンを俺は掴む。

健二 「清香!捕まえたぞ!」

俺はそう言って、清香のリボンを引っ張った。
スポッ!

健二 「スポッ?」

俺の手には、清香のリボンだけが握られていた。
清香本人はここにはいなかった・・・。
そして、リボンの裏には・・・。

「バーカ」

という紙が張ってあった。
もしかしてこれはダミーか!?

健二 「あいつは忍者か、くそっ!」

俺はリボンを手に悔しがった。
まんまとしてやられたぜ。

進藤 「せ、先輩、ど、どうなりましたか?」

そこへ、息を切らせながら、少し遅れて進藤が到着した。

健二 「逃げられた・・・」

俺は手に持っていた、清香のリボンを進藤に見せながらそう言った。
進藤もそれが、ダミーだったと分かったのだろう。

進藤 「やっぱり只者じゃありませんね、清香先輩」

そう言って、進藤はその場にへたり込んだ。
俺も進藤の横に、同じようにへたり込んだ。
さすがに気が抜けたぜ・・・。
しばらくして、日和と先輩が俺たちの所にやって来た。

日和 「・・・逃げられちゃったんだね、けんちゃん」

麻美 「・・・残念です・・・しゅん」

俺と進藤の様子を見て察したのだろう、日和と先輩がそう言った。

健二 「ああ、見事にやられた、完敗だ」

進藤 「疲れました〜」

そして、「は〜」とため息をつく俺たちだった。
こうして、第一ラウンドは清香の勝利に終わった・・・。

           ・

           ・

           ・

俺の教室 PM 17:25

俺たちは今、俺の教室に集まっている。
清香をどうやって捕まえるか、みんなで考えるためだ。

健二 「さて、いったいどうしたものか・・・」

俺は椅子に座り、腕を組んで考えながら、みんなに聞いた。

日和 「う〜ん、清香ちゃんを、追いかけて捕まえるのは、、無理そうだね〜」

日和が、いつもの頬に手を当てる仕草をしながら、そう言った。
確かに、普通に追いかけてたんじゃ、あの高機動ウイングを装備した清香を捕まえるのは無理だろう。

進藤 「そうですよ、あの動きは凄すぎます、普通の方法で捕まえるのは無理です」

進藤が、机に手をつき、そう捲し立てた。

麻美 「・・・やはり・・・どこか、逃げ道の無い所に、おびき出すしかないのでは・・・」

ちょこんと椅子に座っていた先輩が、遠慮がちにそう言った。
なるほど・・・。

健二 「逃げ道のない所か・・・それだと屋上が一番いいのか・・・」

先輩の意見を元に、俺は思いついたことを言った。

日和 「でも、どうやって、清香ちゃんを、屋上までおびき寄せるの〜」

日和がもっともな意見を言った。
確かに、あの清香をおびき出すのは至難の業だ。

健二 「う〜ん、確かにそうだな、どんな作戦を立てたとしても、清香をおびき寄せる餌がないとな」

一同 「う〜ん」

俺たちは、再び頭を悩ませていた。
その時。

進藤 「先輩、確か清香先輩の席って、この教室なんですよね、だったらそこに何かあるかもしれませんよ」

進藤がナイスな意見を言った。

健二 「進藤それだ!清香の席はそこだ!何かないか徹底的に調べるんだ!」

俺は立ち上がり、清香の席を指差しながら、そう言った。

進藤 「了解です、先輩」

そして俺と進藤は、清香の机をひっくり返して調べ始めた。
勝負に情けはかけないぜ、るんらら〜。

日和 「・・・なんか、二人とも、楽しそうにやってるね」

そんな俺と進藤を見て日和がポツリと言った。

健二 「日和、そんなことはないぞ、これは勝負に勝つために仕方なくやってるんだ」

進藤 「そうですよ、日和先輩、全然楽しくなんてありませんよ」

俺と進藤は、日和に真剣な顔を見せてそう言った。

日和 「そ、そうなのかな〜」

不信顔の日和。

健二 「進藤!ついでに清香の弱みも見つけてしまうんだ!日記なんかがあれば最高だぞ!」

進藤 「任せてください先輩!徹底的に調べ上げますよ!」

日和 「絶対、楽しんでるよ〜、後で清香ちゃんに怒られても、私は知らないからね〜」

日和が非難してくるなか、本来の目的を忘れて清香の机を漁る、俺と進藤だった。

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そして・・・。

進藤 「先輩、もしかして、これ、使えませんか」

進藤が何かを見つけたみたいだ。

健二 「なんだ?進藤」

進藤 「これです」

そう言って、進藤が俺に見せたのは、清香の宝物、通販でゲットした怪しい代物の数々だった。

健二 「・・・あいつ、学校にまで持ってきてたのか」

俺は呆れてしまった。
でも、確かにこれなら・・・。

進藤 「確か清香先輩、温泉の時にも持って来てましたよね、よっぽど大事な物なんですよ、きっと」

進藤が、お札を俺に見せながら、嬉しそうにそう言った。

健二 「ああ、進藤、これなら間違いなく、清香をおびき寄せることが出来るぞ」

日和 「けんちゃん、何かあったの〜」

麻美 「・・・何かありましたか」

そんな俺と進藤のやり取りをみて、日和と先輩が覗き込んで来た。

健二 「日和!先輩!清香をおびき寄せる餌は見つかった、これから作戦を立てるぞ!」

俺は勢いよく立ち上がり、みんなに言った。
こうして俺たちは、再び作戦会議に入った。

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健二 「さて、これを使ってどういう罠を仕掛けるかだな」

俺は、みんなを見渡しながらそう言った。
あとは、俺とみんなのアイデア次第だ。

日和 「えへへ、けんちゃん、こんなのはどうかな〜」

そんな時、日和が得意満面な顔をして何か言いたそうにしていた。

健二 「日和、なにかいいアイデアがあるのか?」

俺は日和に聞いた。

日和 「あのね・・・」

みんな、日和の発言に注目する。
そして・・・。

健二 「なるほど、子供っぽい作戦だが、成功すれば面白いことになるな」

俺は日和の意見に興味を持った。
この作戦が成功した時の、清香の顔を思い浮かべると実に愉快だ。
いいかもしれない。

進藤 「日和先輩、その作戦すっごく楽しそうです、それじゃあ、おびき寄せる方法は・・・」

進藤はもう乗り気みたいだな。
日和の意見を元に、具体的な作戦を提案している。

麻美 「・・・やってみたいですね・・・ふふふ」

先輩が楽しそうに笑う。
きっと、成功した時の光景を想像しているんだろう。

健二 「よし、日和のアイデアを元にした、進藤の作戦で行くことにしよう、日和、ナイスなアイデアだったぞ」

俺はそう言って、日和の頭を撫でてやった。

日和 「えへへ、ありがとう〜、けんちゃん、るんらら〜、よかったね」

自分のアイデアが採用され、嬉しいのだろう、笑顔ではしゃぐ日和だった。

健二 「よし、早速準備に取り掛かろう」

俺はみんなに言った。

一同 「お〜!」

こうして清香との、第二ラウンドが始まった。

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学校の校庭 砂場 PM 17:40

健二 「よし、こんなもんでいいかな、進藤、もういいだろう、仕上げにかかろうぜ」

俺は手を休めて進藤にそう言った。

進藤 「そうですね、ここまでやれば、十分ですよね、それじゃあ早く仕上げちゃいましょう」

進藤も動かしていた手を休め、そう言った。
俺と進藤は最後の仕上げに取り掛かった。

健二 「よし、いいだろう、進藤、そこの清香の通販グッツ取ってくれ」

進藤 「はい、先輩、これで準備は完璧ですね」

程なくして、作戦の要になるものは完成した。
そこへ・・・。

日和 「けんちゃん、目立つところには、大体貼ってきたよ〜」

麻美 「・・・あれなら、どこにいても、目に付くでしょう」

日和と麻美先輩が帰ってきた。
二人には清香をここに呼ぶための、チラシ張りを頼んでいた。
チラシには・・・。

(清香、お前の通販グッツは預かった、返して欲しければ、校庭の砂場までこい、逃げるなよ)

と書いておいた。
あの強気な清香が、これを読んでここに来ないはずはないぜ。

健二 「日和、先輩、ご苦労さん、よしみんな、隠れて清香を待つぞ」

俺は立ち上がり、手に付いた砂を払い落としながらみんなに言った。

一同 「お〜」

そして俺たちは、清香が来るのを物陰に隠れて待った。
しばらくして・・・。

日和 「け、けんちゃん、ものすごい勢いで清香ちゃんが来るよ〜」

清香のあまりの迫力にビビる日和。

進藤 「よっぽど大事な物だったんですね」

冷静に分析する進藤。

麻美 「・・・この後が楽しみですね」

そして楽しそうな先輩。

健二 「ああ、あそこまで必死だと実に面白いな、この後が楽しみだぜ」

俺もこの後の展開を思うと、可笑しくてたまらない。
そんなふうに、清香の様子を見守る俺たち。

ダダダダッ

何のためらいもなく、通販グッツに向かう清香。
俺たちがいるのが分かってるはずなのに、すごい勇気だぜ。
だが、その自信がお前の命取りだ。

清香 「・・・どこかで見てるはずだけど・・・これなら逃げきれるわね」

砂場に近ずくと、さすがに多少警戒しているみたいだが、真っ直ぐ砂場に向かってくる清香。

清香 「あ、これだわ、まったく何てことしてくれるのよ、きっとバカ健二の仕業ね」

そう言って、清香が通販グッツに手をかけた、その時!

ズボッ!!

清香 「な、なに!?」

砂場に仕掛けていた落とし穴に見事にはまる清香!
その間抜けな姿は、最高だぜ。

清香 「な、なんでこんなところに落とし穴があるのよー!」

そう叫ぶ清香、だがもう遅い。

健二 「よし、穴に落ちたぞ、みんな清香を埋めてしまえ!」

進藤 「任せてください先輩!」

清香 「こらっ!あんたたち!何するのよ!」

清香の叫びを無視して、手に持っていたスコップで、清香を埋める俺と進藤。
めちゃめちゃ楽しいぜ。
そして・・・。

清香 「・・・」

健二 「わはは、清香、さすがのお前も動けないだろう」

進藤 「やりましたね先輩」

清香は体の2/3を埋められ、身動きが取れないでいた。

麻美 「よしよし」

その清香の頭をなでる先輩。
俺と進藤は手を叩き合って、勝利を喜んだ。
まさに、完璧な作戦だったぜ。

日和 「・・・け、けんちゃん」

そんな時、何かに怯えたような日和の声が聞こえた。

健二 「ん、日和どうした?」

俺は日和に視線を向けた。

日和 「清香ちゃん、ぷるぷる震えてるよ〜」

日和の言葉に清香を見てみる俺。
確かにぷるぷる震えている、余りの悔しさに震えてるんだろう。

健二 「わはは、清香、そんなに悔しいか、うんうん、そうだろう、そうだろう、こんな子供じみた罠に引っかかったんだもんな、ビバッ!清香最高!」

そおして、清香をからかっていた、その時!

清香 「け〜ん〜じ〜」

今まで沈黙していた清香が突然そう言った。
そして、自力で落とし穴から這い出してきた!
怒りによる火事場のクソ力か!
もしかしてこれは、かなりヤバイ!?

健二 「き、清香、話せば分かる、な、な」

徐々に清香と距離をとる俺。

清香 「よくもやってくれたわね!このバカ健二!あたしの大切な通販グッツも台無しよ!ただで済む分けないでしょうが!」

そう叫び、俺に向かってくる清香。

健二 「ヤ、ヤバイ!こうなったら俺ダァーシュ!」

そして、一目散に逃げる俺。

清香 「逃がさないわよー!」

そして、清香と俺の鬼ごっこは、この後しばらく続くことになった・・・。

日和 「とにかく、あたしの作戦、大成功だったね、るんらら〜、よかったね」

進藤 「これであの時のかりは、返せましたね」

麻美 「・・・これでいよいよ、後一人ですね、がんばりましょう」

俺と清香をよそに、大喜びの日和と進藤と先輩だった。


「夜景の見える高級レストラン・ペア招待券」まで、いよいよ残りあと一人。

つづく


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