「みずいろ」の愉快な仲間たち
第十一話 恐怖の夜 中篇
月明かりがぼんやりと差し込む通路。
ギシッ、ギシッ
相変わらず妙に軋む通路。
俺たちは、部屋への帰り道を歩いていた。
あれほど聞こえていた、動物の鳴き声も、何故か今は聞こえない。
辺りは妙に静かだった・・・。進藤 「せ、先輩、何だか変な感じしませんか、何かこう・・・空気が変わったって言うんですか、何だか嫌な感じです」
辺りを窺うようにして、進藤が言った。
この妙な雰囲気に、進藤も何かを感じたのだろう。健二 「し、進藤、嫌なことを言うな、俺も何だかそんな気がしてたんだ」
俺も何となくそう感じていた。
そこへ・・・。雪希 「お、お兄ちゃん、あ、あれ・・・」
何かを見て、驚いている雪希。
健二 「雪希、どうし・・・」
雪希の見ている方をみて、固まる俺。
進藤 「あれ?先輩?雪希ちゃんも、どうし・・・」
そして、進藤も固まる。
みんなの額に、一筋の汗。
そこには、ぼんやりと月明かりに浮かび上がる、人影が・・・。健二 「うおぉーーー!チビッコ幽霊がぁーーー!」
進藤 「妖怪、座敷わらしですぅーーー!」
雪希 「いやぁーーー!きっと貞子の子供よーーー」
思わず、パニックになる俺たち、マジでビックリ!。
そして、そこへ現れたのは・・・。清香 「・・・あんたたち、随分失礼なこというわね」
俺たちの叫びに、半分引きつったような顔をして、清香が現れた。
健二 「・・・何だ、清香か・・・脅かすなよ・・・マジでビビッたぜ・・・子供の幽霊かと思ったぞ」
現れたのが、清香だと分かり、俺は安心した。
進藤 「そうですよ、清香先輩、てっきり妖怪だと思いましたよ・・・」
雪希 「清香さん、びっくりだよ・・・」
雪希も、進藤も、正体が清香だと分かり、ほっとしているようだ。
清香 「・・・あんた達、なにげに酷いこと、言ってくれるわね」
俺たちの発言に、更に不満顔の清香であった・・・。
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健二 「それで、どうしたんだ清香、お前もトイレか?」
みんなが、落ち着いてきた頃、俺は清香にそう聞いた。
清香 「いいえ、目が覚めたら3人とも居なくなってたから、心配して探しに来てあげたのよ」
そうか、いきなり居なくなれば心配するよな。
こいつはどうせ、この状況でも平気なんだろうし。健二 「清香、サンキュ」
進藤 「清香先輩、やっさしい」
雪希 「心配かけてごめんね、清香さん」
俺たちは清香に礼を言った。
清香 「そ、そんなたいした事じゃないわよ」
そう言って、照れる清香、これはこれで面白いと思う俺だった。
雪希 「それじゃあ、みんなで、部屋に戻りましょうか」
健二 「そうだな」
清香 「そうね」
そうして、俺たちが部屋へ戻ろうとした時、突然進藤が叫んだ!
進藤 「せっせせせ先輩!あっあれ!」
何かを見て、ビックリしている進藤。
健二 「どうした進藤、まさか、又幽霊とか言うんじゃないだろうな」
まだ余裕のある俺。
進藤 「よ、よよよく分かりませんが、し、白い布のような物が、こっちに迫ってきますー!」
かなりパニくってる進藤。
一体何がいるんだ。
そう思いながら進藤の見ている方へ、視線を向けると・・・。健二 「・・・何だ、あれは・・・」
雪希 「お、お兄ちゃん」
清香 「何かしらね」
確かに、月明かりに照らされた、白くぼんやりした物が、こっちに向かってくる。
一体あれは何だ?
そう思ってると、進藤がさらに・・・。進藤 「う、うわっ!な、何か、き、聞こえませんか」
聞こえる?一体何が聞こえるんだ?
そう思いながら、みんなで聞き耳を立てる・・・すると・・・。しくしくしくしくしくしくしくしく
夜の闇に・・・静かにすすり泣く、女の声が聞こえてきた・・・。
・・・もしかして・・・ものほん・・・。
ヤバイ、ヤバイぞ。健二 「わぁーーー!みんな、逃げろぉーーー!」
雪希の手を取り逃げる俺。
雪希 「お、お兄ちゃん、怖いよーーー」
パニくる雪希。
進藤 「せ、先輩、わたしを、置いていかないでくださぁーーーい」
そう言いながら、以上に逃げ足の速い進藤。
清香 「さ、さすがに本物はヤバイわ」
さすがの清香も一緒に逃げている。
そして、例の白い物体も、俺たちを追いかけてくる。一同 「わぁーーー!」
逃げる俺たち。
?? 「うわぁ〜〜〜ん」
迫り来る幽霊?
一同 「こっちに来るなーーー!」
さらに逃げる俺たち。
?? 「待ってよぉ〜〜〜」
さらに迫り来る幽霊?
一同 「あっちにいけーーー!」
執拗に逃げる俺たち。
?? 「何で、逃げるのよぉ〜〜〜」
だんだん疲れの見え始めた幽霊?
って、このヘッポコな声は・・・。健二 「ちょと待て、みんな、この声って・・・」
俺はこの時ようやく気付いた。
進藤 「せ、先輩、どうしたんですか、早く逃げないと、捕まっちゃいますよ」
雪希 「お、お兄ちゃん、早く逃げようよ」
急に俺が立ち止まったので、雪希と進藤が慌てる。
二人は、パニックのあまり、まだ気付いていないようだ。健二 「ちょと待て、雪希、進藤」
俺は再び走り出そうとする二人を止めた。
健二 「清香、この声ってもしかして・・・」
同じように、何かに気付いて立ち止まった清香に俺は尋ねた。
清香 「ええ、あたしも今、気がついたわ」
そして、俺達は幽霊?が来るのを待つことにした・・・。
暫くして・・・。?? 「うわぁ〜ん、何でみんな逃げるのよ〜、怖いよ〜、見捨てないでよ〜、置いてかないで〜、しくしくしく」
ヘッポコな声で叫びながら、近づいてくる幽霊?
雪希 「あっ、もしかして・・・」
進藤 「ああ、まさかこの声って」
どうやら雪希と、進藤も気がついたみたいだ。
健二 「ああ、どう考えても、この声は日和だな」
清香 「そうね、もう、間違いないわね」
そして、俺たちの予想通り、現れたのは、シーツを頭から被った日和だった。
日和 「ぐよぐよぐよ〜、みんなひどいよ〜、私、怖かったんだから〜、目が覚めて、回り見たら、雪希ちゃんと、進藤さんと、清香ちゃんがいなくなってて、怖くなってけんちゃん呼びに行こうとしたら、けんちゃんもいなくなってるし〜、怖かったけど〜、みんなを探しに部屋を出て、せっかくみんなを見つけたと思ったら〜、みんな逃げちゃうんだもん、ひどいよ〜、ぐっすん」
よっぽど怖かったんだろう、半泣きで力説する日和だった。
健二 「わ、悪かったって、日和、でもあの時は、マジで本物の幽霊に見えたんだから、仕方なかったんだ」
清香 「そうよね、あの声はマジでヤバイと思ったわ」
進藤 「そうですよ、あんな声だす、日和先輩も悪いですよ」
日和 「うわ〜ん、みんながいじめるよ〜しくしくしく」
せっかく会えたのに、俺達に非難され、さらにいじける日和だった。
雪希 「ほら、みんな、日和ちゃんだって怖かったんだから、あまりいじめちゃダメだよ」
そう言って、日和を慰める雪希。
そうだよな、日和のことだから、ここまで来るのも大変だっただろう。健二 「そうだな雪希、日和、ごめんな、怖がらして悪かった、これからは、みんないっしょにいるから安心しろ」
俺はそう、優しく言って日和を慰めた。
日和のことだから・・・。日和 「う、うん、ありがとう、けんちゃん、えへへ」
とたんに笑顔になる。
まったくこいつは昔から変わらないな・・・それは・・・俺も同じか・・・。
俺はこの時、そう思っていた。清香 「まあ、とりあえず幽霊じゃなくてよかったわね」
進藤 「ほんとそうですね、清香先輩」
雪希 「それじゃあ、みんなで部屋に戻りましょうか」
みんな、ほっとしている。
健二 「そうだな雪希、日和いくぞ」
俺はそう言って、日和の手を取る。
日和 「あっ・・・」
ちょと驚く日和。
だがすぐに・・・。日和 「うん、けんちゃん、えへへ」
そして、俺たちは部屋に向けて、再び歩き出した・・・。
つづく