「みずいろ」の愉快な仲間たち

第十話 恐怖の夜 前編


清香 「あんた、こっちに来たら、殺すからね」

健二 「分かってるって、雪希もいるのに、そんなことはしない、安心してくれ」

俺たちは、あのあとトランプに熱中するあまり、だいぶ夜更かししてしまった。
そして、今は寝るところだ。

清香 「そう言うわりには、風呂覗こうとしたのは誰よ」

健二 「それはただの出来心だ、俺もバカじゃないから、もう絶対にしないって」

清香が俺に釘を刺してくるが、俺はそれを軽く返す。
さすがにこんな夜更けに清香とやりあうのは、いろんな面でまずいだろう。

清香 「ま、こっちもあんたが側にいた方が、今回は安心だから、これ以上何も言わないわ」

清香も俺と同じ考えなのだろう。

健二 「おう、任せてくれ、何かあったら必ず助けてやるからな、それじゃみんな、おやすみ」

雪希 「うん、お兄ちゃん、おやすみなさい」

日和 「けんちゃん、おやすみ〜」

進藤 「それじゃ先輩、おやすみなさ〜い、何かあったら、真っ先に私を助けてくださいね」

麻美 「・・・おやすみなさい」

清香 「それじゃあ、用心棒よろしく」

健二 「ああ、分かった」

こうして俺たちは、何事も起こらないことを祈りつつ、寝ることにした・・・。

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−−−− 深夜 −−−−

ホーホー

?? (・・・お兄ちゃん、お兄ちゃん)

ユサユサ
誰かが俺の体を、揺する。
誰だ、こんな夜更けに・・・俺は何があっても起きないぞ・・・。
そう思って、布団を被り直す俺。

?? (・・・お兄ちゃん、起きてよー)

俺は起きないぞー。

?? (雪希ちゃん、こうなったらこれしかないわ・・・)

うん?

?? (・・・わわわ、進藤さん)

?? (必殺!エルボードロップー!)

なに?
ドガッ!
ぐほっ!
ガバッ!
さすがに、跳ね起きる俺。

健二 「誰だ!俺の鳩尾にエルボー決める奴は!」

そう叫び、俺に乗っかってる奴を見てみると・・・。
・・・進藤だった。

進藤 「あっ!せんぱ〜い、やっと起きてくれましたね、なかなか起きてくれないから、私」

ビシッ!

進藤 「はうっ!」

延髄へチョプを決める俺。

進藤 「も、もう、先輩痛いじゃないですかー、一瞬お花畑が見えましたよー」

くそっ、少し甘かったか。

雪希 「お、お兄ちゃん、ちょっといい?」

健二 「ん?」

その声に振り向くと、雪希が不安そうな顔で、俺を見ていた。
ん、そういえば雪希の声も聞こえていたな。

健二 「なんだ雪希、進藤も一体どうしたんだ、こんな夜中に」

まあ、進藤はいいとして、雪希も一緒ということは、何かあったのかもしれない。

雪希 「・・・あ、あのね、お兄ちゃん・・・私たち・・・ト、トト」

顔を真っ赤にして、何か言いあぐねている雪希。

健二 「と?」

いったい雪希は何を言いたいんだ?
その時!

進藤 「トイレに行きたいんです!先輩、一緒に行ってください!」

いきなりそう叫ぶ進藤。

健二 「うおっ!進藤、そんな大声出さなくても聞こえるって・・・全く恥ずかしい奴だな・・・でも、何でだ、二人いるんだし、一緒に行ってこればいいじゃないか」

雪希 「・・・う、うん、そうなんだけど・・・夕ご飯の時、あんな話しちゃたから・・・私怖くて・・・ね、お兄ちゃん」

進藤 「先輩、ほんとに幽霊でちゃたら、どうしましょう」

不安顔で、俺を見つめる雪希と進藤。
全く清香のやつめ・・・余計なこと言いやがって・・・。

健二 「ああ、確かにそんな話したな・・・そうだな、何かあってからじゃ遅いし・・・よし、ついて行ってやる」

進藤 「さすが先輩、頼りにしてますよ」

雪希 「お兄ちゃん、ありがとう」

俺の言葉に、どうやら二人とも安心したようだ・・・。
ピロリロリン
俺の高感度UP!

健二 「よし、それじゃあみんなを起こさないように、静かに行くぞ」

二人 「うん」

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ギシギシギシ
俺たちは今、相変わらず妙に軋む通路を歩いている。
何故か、明かりが点いていない。
ぼんやりと辺りを照らす、月明かりだけが頼りだ。
ウォーーーン
野犬の遠吠えがやけに近くに感じるぜ。

進藤 「・・・な、なんか・・・い、いかにもって、感じですよね・・・ほ、ほら、あそこの剥製・・・こっち見てるみたいな感じしませんか?」

雪希 「し、進藤さん、そんなこと言わないで」

雪希も進藤もかなり怖いみたいだ・・・まあこの状況で怖がらないのは清香ぐらいだろう。
・・・もしかして麻美先輩も平気か。

健二 「雪希、大丈夫だ、俺がいる・・・しかし・・・進藤の言う通り、なんか出て来そうなのは、確かだな・・・なにせ、この宿には俺たちしか、いないんだからな」

雪希 「お、お兄ちゃんも、もうやめてよ」

今にも泣き出しそうな雪希・・・少し言い過ぎたな。

健二 「ごめんな雪希、もう言わないから許してくれ・・・おっ、どうやら着いたみたいだぞ」

何時の間にか、目的の場所まで来ていた。

進藤 「あっ、そうみたいですね、じゃあ先輩、ここで待っていてくださいね、先に帰っちゃダメですからね」

健二 「ああ、分かってるって、雪希も待っていてやるから、安心しろ」

雪希 「う、うん、お兄ちゃん、じゃあ、ちょと待っててね」

健二 「ゆっくりでいいぞ」

そう言って、トイレに入る二人。
一人残される俺。

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ホーホー
ウォーーーン

健二 「・・・それにしても・・・何で俺たちしかこの宿に居ないんだろうな・・・いくら不便な場所に有るからって、他の客所か、従業員も女将しかいないなんてのは、おかし過ぎるよな・・・」

健二 「ここには清香が誘ったんだから、清香はこのことを知っていたのか・・・う〜ん、分からん」

健二 「まあ、何事もなければ、それでいいんだがな・・・」

俺は二人が帰ってくるまで、そんなことを考えていた・・・。

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進藤 「せんぱ〜い、終わりましたよ、さあ返りましょうね」

雪希 「お兄ちゃん、お待たせ」

暫くして、二人がトイレから出てきた。
どうやら、何事もなかったみたいだな。
俺は安心した。

健二 「よし、それじゃあ部屋に戻るか」

進藤 「はい、先輩」

雪希 「うん、お兄ちゃん」

こうして、俺たちは部屋に戻るため、再び歩き出した・・・。

つづく


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