「みずいろ」の愉快な仲間たち
第六話 温泉宿の中は
カラカラカラ
引き戸を開け俺たちは温泉宿へ入った。
清香 「中もけっこう良いじゃない」
健二 「・・・そう思ってるのはお前だけだ」
宿の中はまあ、思ったよりはまともだった。
今にも潰れそうだった外観とは違って、中の作りはしっかりしていそうだ。
しかし・・・。雪希 「・・・お、お兄ちゃん、私ちょっと怖いよ・・・」
日和 「な、なにか・・・視線がすごいね・・・私も怖いよ・・・」
そう雪希と日和が言うのは、多分あの剥製の数々の所為だろう・・・。
熊に鹿、猿、猪、キジ・・・まあこのくらいは普通だろう、だがここには更に、ライオン?、ヒョウ?、トラ?
など、どう考えてもヤバイ剥製までが、ずらっーと並んでいる・・・俺たち捕まらないだろうな?
そして更に、揃いも揃って、なぜか視線がこの宿の入口に向いている。
つまり、俺たちに熱い視線を送り続けているのだ。進藤 「先輩、先輩、すごいですよ、パンダの剥製ですよ、でも・・・パンダって国際保護動物だったような・・・まあ、珍しいから良いですよね」
そう言って、珍しそうに剥製を見て回る進藤。
パンダまであるのか・・・。麻美 「・・・みんな・・・かわいいです・・・よしよし」
そう言って剥製の頭を撫でている麻美先輩
・・・なぜ驚かないんだ?以外にも怖いの平気とか?
そんなことを思っていると・・・。女将 「・・・いらっしゃいいませ・・・小野崎様、御一行ですね・・・」
突然背後から、囁くような不気味な声色で声を掛けられた。
全員 「うわぁあああぁーーーー!?」
全員マジビビリ。
清香 「あ、あたしを、驚かすなんて、なかなかやるわね」
麻美 「・・・すばらしい・・・演出です・・・ぱちぱち」
健二 「そうじゃないだろうがー!」
まったく清香は何考えているんだか・・・しかも麻美先輩まで・・・。
雪希 「み、みんな、お、落ち着いて、ここの女将さんだよ」
そう言う雪希も動揺が隠せないようだ。
それでも女将に向かって・・・。雪希 「はい、そのようにご予約させて貰った者です、よろしくお願いします」
そう言ってお辞儀をする雪希。
じつに、礼儀正しい、さすがマイ妹だ、うんうん。女将 「・・・では、こちらへどうぞ・・・ご案内いたします・・・」
相変わらず不気味な声色で囁く女将・・・なにゆえ?
そして、俺たちは女将の案内で、部屋へ向かうことになった。・
・
・
ギシギシギシ
俺たちは今、妙に軋む通路を歩いている。
通路の壁には怪しい絵画が飾られている。進藤 「そ、それにしても、こ、ここまで雰囲気があると、ほんとに何か出てきそうですね」
清香 「そうね、まさかここまでとは、思ってもみなかったわ」
きょろきょろと周りの様子を見ながら清香と進藤が言った。
雪希 「・・・お兄ちゃん、大丈夫かな?」
健二 「まあ、取って食われることは無いだろう」
不安がる雪希をそう言って慰めた。
まあ気休めにはなるだろう。日和 「温泉、温泉、るんらら〜」
麻美 「・・・夕ご飯に・・・お餅は出るのかしら・・・げっちゅ」
・・・この二人は、もうほっとこう。
そう思っていると、不意に女将が立ち止まった。女将 「・・・どうぞ、こちらのお部屋でございます・・・間切りもございますので、好きなようにお使いくださいませ・・・」
相変わらず、不気味に囁く女将。
どうやら俺たちの部屋に着いたみたいだな。雪希 「あ、ご丁寧に、ありがとうございます」
そう言って、ペコッとお辞儀する雪希。
女将 「・・・露天風呂も、いつでも入れますので、どうぞご利用ください・・・それでは、何かありましたら、遠慮なくお申し付けください・・・」
そう言って、深々とお辞儀をして去っていく女将。
何故か、妙に辺りが静かになったような気がした・・・。健二 「・・・まあ、考えていても仕方ないから、荷物を片付けて、早速、露天風呂にでも入りに行くか」
こうなったら、開き直ってとことん楽しんでやろう、俺はそう思った。
清香 「そうね、ここに来るまでに、すっかり汗かいちゃたから、早速行きましょ」
進藤 「それじゃあ、ちゃっちゃっと用意しちゃいましょう」
雪希 「うん、そうだね、私も賛成だよ」
日和 「私もいいよ〜早速用意するね〜」
麻美 「・・・露天風呂・・・楽しみです・・・」
皆もどうやら、同じ気持ちみたいだ・・・清香は心底楽しんでいるみたいだが・・・。
こうして俺たちは、不安を打ち消すように露天風呂に向かった。つづく