「その横顔を見つめてしまう〜A Profile完全版〜」の感想をば。るーすぼーい氏の書くシナリオはネタバレ無しで感想を書くのが非常に困難であるため、大したことは書けませんし、書けたとしてもネタバレになってしまう可能性があるがあることにご注意を。
■絵■
原画は有葉氏&呉マサヒロ氏&こんぺいとう氏。個人的には可も無く不可も無く、と言った感じかな。なんとなく立ち絵とイベントCGのギャップが大きいように感じました。
■音楽■
主題歌にしてもBGMにしても、音楽そのものがいいと言うよりは『使い方が上手い』と言う印象を受けました。特に主題歌が流れ出すシーンの演出は鳥肌モノ。反則的、とまで言えそう。「こ、ここでクるかぁぁぁぁぁぁっ!」と叫びたくなるこの演出は「君望」以来の衝撃かも。あ、もちろん主題歌やBGMそのものも悪くはないですよ。
■シナリオ■
主人公・葉山真之は義理の母親である莉子、義理の妹である莉寿との3人暮らし。相当に治安の悪い街の中でも最もガラの悪い学園に通いつつ、ガリ勉と言われながらも真面目に勉強をする真之はクラスでも爪弾き者。イジメに逢ってもヘラヘラしっぱなしの真之は完全に孤立しており、話し相手は昔からの悪友・快音と幼なじみの美桜、そして真之から勝手に話しかけては冷たい反応しか返ってこない未来のみ。
寝起きが悪い妹を四苦八苦しながら起こしてダッシュで登校。何故かいつも廊下に立っている未来に対して挨拶をして、教室では快音と一緒に『普通でオモロナイ』と美桜をからかう毎日……。
元々は「あかべぇそふとつぅ」さんの前身である同人サークル「あかべぇそふと」から発売された「A Profile」のリメイクとして発売されたソフトです。攻略対象は莉寿・未来・美桜の3人ですが、美桜は今回のリメイクで新たに攻略対象となったヒロイン。元が同人であるためか、1つ1つのシナリオボリュームは大きくありません。かと言って「それが不満点となるか?」と言うとさにあらず。最近はゲームとしてのボリュームが無駄に大きくなってきている肥大化・冗長化の傾向が強くなってきておりますが、この作品は「長ければいいってもんじゃない」と言う事を見事に体現してくれたように思います。あ、もちろん「ゲームは短い方がいい」とか「長いゲームはダメだ」とか言ってるワケではありませんよ。
ライターはるーすぼーいさん。同人ゲーム「夏の燈火」で初めて氏のテキストに触れて、前作の「車輪の国、向日葵の少女」でデフォ買いライターとなったるーすぼーいさんによる作品、と言うことで購入した「その横顔を〜」ですが、その判断に間違いは無かったと断言致します。クライマックスの盛り上がりはピカイチですし、少々クセがあるものの軽快な会話で笑わせてくれる日常会話もツボ。るーすぼーいさんが出演、と言うことで聴いたWEBラジオで高まっていた期待以上に楽しませて頂きました。巧妙な伏線やラスト近くで訪れるドンデン返しには気持ちイイぐらいに「やられた!」と仰け反ること必至。
以下クリア順にヒロイン別感想。と言いますか、この順番でないとダメです。クリア順は固定とかなんですかね? 私はたまたまこの順番でクリアしたのですが「本当に良かった」と言うより「助かった」と言う気持ちです。つまりは未来シナリオに莉寿シナリオのネタバレがあったりするってことなんですが、伏線やドンデン返しが大きな醍醐味でもある作品ですので、ネタバレはある意味致命傷と言えるでしょう。
▼葉山 莉寿▼
義理の妹でかなりのお兄ちゃんっ子。兄である真之に対して甘えたり殴ったりイジめたり、とにかく兄大好き。切手マニアな能天気娘……なんですが、が、が。そんな莉寿が背負っている、夢にまで出てきて眠れなくなる程の重い”何か”とは一体何なのか。
ぶっちゃけあんまり可愛いと思えなかったりするんですが、この子も可哀想な子なんです。勘弁してやってください……ネタバレ出来ない時点でこれ以上の記述は不可能。無理。
▼小野 未来▼
クラスメート。真之以上に孤立しているクールビューティー。何故かいつも朝のホームルームが始まる直前まで廊下にして、休み時間もどこへとなく消えてしまう。真之が明るく話しかけてもつれない素振り。
……ネタバレ出来ない時点でこれ以上の記述は不可能。無理。ごめんなさい。
▼相馬 美桜▼
真之の幼なじみ。孤立しがちな真之に快音と共にずっと友人を続けてくれている大切な子。でもその言動があまりにも”普通”なため、真之と快音からはからかわれっぱなしの毎日……もう無理。最早レビューでも何でもないな。
スイマセン、マジで。でも何故こんな風になってしまうのかは、プレイすればわかって頂けると思います。
上記の通り最初に同人として発表された時の攻略対象は莉寿と未来だけで、おそらく莉寿シナリオがメインと言う位置付けだったのだと思います。そして今回追加された美桜シナリオは莉寿シナリオを起点としているため、3つのシナリオのうち未来シナリオがちょっと浮いた感じになってます。実は未来シナリオが一番”ギャルゲーらしい”シナリオなんですが、それが浮いてしまうと言う時点でこの「その横顔を〜」がどんな作品なのかわかろうというもの。
一言で言ってしまうと莉寿シナリオと美桜シナリオは非常に重いです。グロとかそーゆーのではなく、人間関係や人間そのものを浮き彫りにするような重さ。そんな重さに真正直に立ち向かう真之の姿はカッコイイと思いました。
私は今、真之のことを『カッコイイ』と言いましたが、そこはおそらく評価の分かれるところだと思います。プレイなさった方の中にはどこまでも愚直なまでに真っ直ぐな真之を愚かだと思う方もいらっしゃるでしょうし、癇に障ると言う方もいらっしゃることでしょう。その気持ちはわかります。わかりますが、それをわかった上で私は真之を『カッコイイ』と思うんですよね。
シナリオのボリュームは少な目なので、1シナリオにつき大体3・4時間程度と言ったところでしょうか。ただし共通部分が少ないので、読みどころは多く感じるかもしれません。読み飛ばせるようなテキストはありませんしね。
正直「好き嫌いが分かれるかも」と思える作品ですが、今まで私が薦めてきたゲームがアタリだった方はプレイしてみては如何でしょうか。