この青空に約束を―(18禁)
戯画

 



「この青空に約束を―」の感想をば。極力ネタバレは抑えますが、どうしても抑えきれない箇所も出てくるかと思います。ご注意を。

■絵■

お馴染み・ねこにゃん氏。個人的には可もなく不可もなくというところだったりします。ただ、販促等で使用されている海己と凛奈の2ショットCGに描かれている凛奈に違和感を感じまくるのは、これが初期の絵とかだったりするからでしょうか。

イベントCGよりも立ち絵の方が可愛く感じるのは私だけ? 特にHシーンのイベントCGだと妙にノペッとした印象があるんですよねー。ノペ?

■音楽■

歌ありなのはOP・EDと挿入歌。ただしEDはある条件を満たさないとインストバージョンとなりますけど、その辺はネタバレになるので省略。OPはKOTOKOさんで相変わらずのクオリティではありますが、インパクトと言う面ではちと弱いかな。や、いい曲だと思いますよ? クリアした今は聴きまくってますし。

そのインパクトと言う意味ですとEDの方が絶大的に上。それは曲としての素晴らしさと言うよりも、その曲が持つ意味に因るところが大きいです。『ゲームの曲はあくまで”ゲームの一要素”であり、BGMと位置付けは同じ』と言う私の信念かつ方針がこれだけ色濃く出る曲も珍しい。

■シナリオ■

シナリオ担当は丸戸史明氏&企画屋。無条件でシナリオ買いが可能な数少ないライターさんです。そしてその期待は裏切られること無く、むしろ大きく上回る形で応えて頂きました。日常会話・クライマックス共にテキストはクリティカルヒット。ここまで惹きつけられるテキストはそうそうございません。(個人的にはねこねこの片岡ともさんと丸戸さんぐらいかな)

今回ちょっと気になったのはパロディネタでしょうか。思わず笑ってしまうネタも多数ございましたし、以前から丸戸さんは元ネタのあるフレーズをよく使われる方ではありましたが、他社ゲームネタを多用されるのはちと微妙だったり。例えば「ねえ、ちゃんとしようよ!」とか「奴隷(オベイ)」とか「ひぐらしのなく頃に」とか「AIR」とかの他社ゲームネタが結構あったかと思います。それはそれで面白いんですが、ある意味長続きしない時事ネタですし、「そんなネタは使わなくても面白いのに」と思うと勿体無い気がするんです。

丸戸さんご自身が手がけた作品のネタでしたらファンとして純粋に「ニヤリ」としてしまうんですけどね。例えば東津本女子大(「ショコラ」香奈子さんの大学)とか八橋大(「パルフェ」仁や里伽子の大学)とかブルーシール(「Ripple」の巨大アミューズメントパーク)とか「たすけ手」の話(「FOLKLORE JAM」の怪奇スポット)とか、「パルフェ」や「V.G.NEO」のBGMが使われたりとetc etc...。

あ、あと『こんにゃく』って略し方はちと嫌いです。「この+やく」でこうなったんでしょうけど好きになれないので、私はいつも「青空」と呼んでます。「青空の見える丘」と紛らわしいって? ははは、一緒にしちゃいけません。

舞台は南栄生島(みなみさこうじま)なる「古きよき時代」と「近代的な企業の進出による発展」が同居した人口2000人程度の小さな島。主人公・星野航(わたる)は島唯一の学園に寮から通っており、その寮の名前は『つぐみ寮』。航以外は寮長である先生を含めて全員女性であり、誰も彼もがヒトクセもフタクセもある者ばかり。『つぐみ寮』の中には揺ぎ無い絆と仲間意識があり、永遠に続いて欲しいと思える程の楽園とも言える場所。そんな『つぐみ寮』に1人の新入寮生が現れるところから物語は始まる……。

ヒロインはつぐみ寮生5人+寮長と隠れ(?)ヒロイン1人の合計7人で、つぐみ寮関係者をオールクリアするとメニューに追加されるシナリオもあります。本編は【Act.1】から【Act.3】まで。【Act.1】はほぼ共通ルートであり、【Act.2】の後半から徐々に攻略ヒロインによる”色”が出始めて、【Act.3】が完全に個別シナリオ。では以下クリア順に感想を。

▼沢城 凛奈(さわき りんな)▼

航が2年生になった春、つぐみ寮にやってきた新しい寮生。最初は誰とでも激しく距離を置こうとし、それでも近づいてくる寮生達には攻撃的なまでに反抗する強気娘。【Act.1】のほとんどは、そんな凛奈を仲間にすべく航がひたすら奮闘するシーンとなってます。メインヒロインと言えるでしょう、表の。

つぐみ寮に溶け込んだ後の凛奈はかなりいいキャラをしてるけど、それでいて寮生の中では一番まともだったりして。運動神経が抜群で、強気なのに弱いところが非常に可愛い。やがて訪れる別れに直面した時の凛奈の反応は初めて会った時の事を思うと嬉しくもあり、そして避けられない運命が悲しくもあり……。

▼浅倉 奈緒子(あさくら なおこ)▼

唯一の3年生で生徒会長(ちなみに航は副会長)。外面が異様に良く、寮生で占められた生徒会や寮内での唯我独尊っぷりは目に余るものがありますが、それ以上に有事の際には仲間を全力で守ろうとする姿勢が眩しく目に映ります。誰もが恐れ、誰もが尊敬してしまう。そんな会長は私のエロゲ史上、最高にイイ女として認定されました。そのカッコよさが発揮されるのは主に他シナリオでおいてであり、会長シナリオではむしろ可愛らしさといい意味で”ヤな女”っぷりが強調されてる感じですけどね。

実は航と過去にイロイロあったりして、それは他シナリオでも会話の端々で見え隠れしてます。なので会長は早めにクリアするのがお勧め。そうすれば会長のセリフの裏に秘められた意味と想いを感じ取れるようになるでしょう。

▼桐島 沙衣里(きりしま さえり)▼

航の担任にして寮長。通称さえちゃん。一番年上であり、一番ダメダメなキャラ。それでいて一番可愛いキャラ、それがさえちゃん先生。いつも会長にやり込められ、航に愚痴りつつビールを煽る飲んだくれ新米2年目ダメ教師。すぐ人に頼ろうとして、生徒である航にすら依存しまくるダメっぷりも、さえちゃんにかかれば全て愛嬌に早代わり。

そんなさえちゃんがつぐみ寮に訪れた(自業自得な)最大の危機に直面した時、自分の力で道を切り開いた”あのシーン”は何度見ても面白いです。「12人の怒れる男」を徹底的にパロった演出には思わず笑いがこぼれてしまいました。キャラクターを『ちゃん付け』するのが嫌いな私ですが、この「さえちゃん」に関しては完全な例外となっております。

▼六条 宮穂(ろくじょう みやほ)▼

1年生にして学園長代理でつぐみ寮の大家。通称・宮。完全無欠なお嬢様だったのに、つぐみ寮で航にイジめられつつ会長に染められているうちに、すっかり”つぐみ寮の住人”らしいクセのあるキャラに育ちました。笑顔で毒を吐くその姿は頼もしい限り。愛あるイジメに幸せを感じる少女、それが宮穂。

宮穂も自身のシナリオより他のヒロインルートで脇役として活躍する方が光るキャラだったかと思います。要所要所でツッコミを入れるorイジめられるキャラとして。あと航が宮穂のことを好きになる過程の描写がちょっと弱かったように感じましたが、それはさえちゃんや静も似たような感じかな。

▼藤村 静(ふじむら しず)▼

1年生だけど、つぐみ寮には入学半年前から住んでいる無口系少女。静がつぐみ寮で生活するようになったキッカケは、誰もいないところで寂しげに佇む静を渡るが見かけて、あまりに静を放置している両親の実態に憤った航やさえちゃんがつぐみ寮に引き取った、と言うもの。それから半年、静はつぐみ寮の人間には心を開いて、存分に甘やかされて育てられたため大層ワガママな子になりましたとさ。

年齢は1歳差だとしても、まるで自分の子供のように育ててきた静に対して恋愛感情を持つに至った航にはちょっと感情移入出来ませんでした。ただ、家族として、つぐみ寮の仲間として愛し合う7人の絆には大いに泣かされてしまいましたよ。そしてここでも会長がまたカッコイイ女でさぁ……タマらんね。

▼羽山 海己(はやま うみ)▼

航のクラスメート(と言っても1学年1クラスしかないけど)にして幼なじみ。寮でも、学園でも海己は航のことを甲斐甲斐しく世話をしていて、誰から見ても一番近くにいる2人。だけど決して結ばれることの無い2人。

海己には容易に乗り越えることなど出来ない壁とも言うべきトラウマが。誰よりも大好きで、誰よりも大切なのに絶対にある一定の距離から先には近づけない。そんな関係をずっと続けてきた航と海己には……本当に幸せになって欲しい。

▼追加シナリオ「約束の日」▼

誰かの攻略ルートと言うわけではなく、つぐみ寮の卒寮式の話。わかっていた、避けられない別れの日。それぞれの胸に去来する想いを推し測ることなど、出来るはずもありません。ただ、この日を静かに迎えたつぐみ寮の中間達をそっと見守るのみ……と言ってもこの頃にはもう自分も完全につぐみ寮の仲間と化しているので、既に泣きそうになってるワケですが。

卒寮式。さえちゃんから1人1人にかけられる最後の言葉。卒寮生代表である会長の挨拶。そして航が作曲をして、皆で考えた”誓い”の歌。スタッフロールと共に流れる歌は涙交じりで「おいおい、この演出はちょっとあざといんじゃないか?」と泣きながらもやや冷めた目で見て……と思っていたのは自分だけのようで、会長がさえちゃんにしがみつきながら大泣きしてるCGを見た瞬間、涙腺は大決壊。ありがとう……本当にありがとう、つぐみ寮。

と言う訳で「約束の日」ですが、これは上記の通り”誰かの攻略ルート上の話”ではなく、つぐみ寮の仲間との別れを描き、再会を誓う話。私はこの話を『誰を攻略したかに関係無く、それこそ誰も攻略出来ないままだったとしても、必ず迎えることになるシナリオ』と認識してます。いや、認識と言うよりは”信じて”ますし、”確信”もしてます。

ちなみにこの「約束の日」を見た後は、通常のEDでも歌が流れるようになります。

▼三田村 茜(みたむら あかね)▼

茜シナリオは他のヒロインと違って、卒寮後の話となってます。つぐみ寮の仲間との別れ(さえちゃんはいるけど)と、あと”1つの要因”によって覇気を全く無くしてしまった航を一生懸命励ます茜のストーリー。今までは『単なる面白キャラ』だった茜のいじらしさと面白さ(結局は面白いヤツなので)。正に「7人目の妻」に相応しいと言えるでしょう。

全編通して感じられるのは、航とヒロインの恋愛は当然としても、それと同等もしくはそれ以上に強い『つぐみ寮の絆』でした。楽園と言う言葉がよく出てきましたが正しくその通り。誰が欠けてもいけない、揺ぎ無い『和』と『輪』と言えるでしょう。そんなつぐみ寮に入寮出来るのだとしたら今の生活、全てを投げ出す覚悟だってあります。

そんな仲間達に優劣を付けるのは非常に気が引けるのですが、あえて順位付けをするなら……………………………(中略)……………………………(中略)……………………………(中略)……………………………(中略)……………………………私に1分間だけ時間を下さい(←NHK鈴木アナウンサー風……なんつっても誰も知らんか)。だって会長は最高にイイ女ですし、さえちゃんはマジで可愛いですし、凛奈にはずっと傍にいて欲しいし、海己は心底愛おしいですし…………出来ない……今の私に順位付けなんて出来ないっ……!!

好きなシーンは凛奈の歓迎会ベランダに全員集合するシーン。例え既読スキップを使用していても、このポイントは絶対にトバしません。特に後者なんて単なる『日常のワンシーン』にすぎないのですが、むしろ”だからこそ”惹かれるのかもしれませんね。

個別シナリオで特に好きなシーンは会長シナリオの新・寮則エキスパンション復唱のシーン凛奈シナリオの告白シーンかな。もちろん”特に”の話であり、普通に『好きなシーン』なら大量にございますので誤解の無きよう。

システム面に関してはADVとしてはある意味完成されていた「パルフェ」のシステムをほぼ踏襲しており、さらにはHシーン以外のイベント回想も可能になっている親切設計。ただ名場面セーブデータ集を作る楽しみを奪われてしまったようで、ちと寂しかったり。

タイトル画面も結構凝ってます。時間によって画面内の時刻も変化(昼とか夜とか)するのには気付いておりましたが、メールで教えて頂いた情報によりますと(感謝!)日付によっても色々なパターンがあるようで。すげー。

そろそろ1分経ったと思うので順位付けをしないといけません。そう、己の所有権を主張するためにも。浮気も八方美人も許されない。自分にとって絶対の存在を見つけないといけない。最高にイイ女な会長……マジで可愛いさえちゃん……ずっと傍にいて欲しい凛奈……心底愛おしい海己…………俺は……俺は…………

 

海己を愛し続けようと思います。

 

断腸の思いではありますが海己を愛し、海己と共に生きようと思います。決め手は……そう、幼なじみであること(や、もちろん他にも理由はあるけど)。

バカで熱い主人公・航には開始5分で感情移入が完了。一度始めたらやめられない、止まらない。今でも卒寮するたびに再入寮する日々を送っております。しばらくこの楽園からは抜けられそうにありません。

文句無しに義務ゲーとさせて頂きます。

 

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