Crescend〜永遠だと思っていたあの頃〜(18禁)
D.O.
written by tomoさん

 

あの頃は、どうして今が永遠に続くものだと思っていたのだろう?

最初から好きになれなかった学校も、ほとんど無理矢理入らされた文芸部の活動拠点であった図書館も、毎日のように昼寝させてもらった保健室のベッドも、唯一信頼できた友人も、密かに憧れていた同じ部活のあの娘も、背の高さを気にしたいつも猫背気味に歩くかわいい後輩も、売春をしながらも汚れなき天使に憧れる同級生も、口が悪くても優しさが伝わってきた養護教諭も、そしてこれまで育ててくれた姉も……みんな思い出へと変わってしまうのだろうか?

いつか遠い日にその時のことを思い出し、楽しげに微笑むことができるのだろうか?

そんなことを思いながら、残りの日々を過ごしていく。

卒業まであと5日――

 

『Crescendo』は卒業までの5日間を舞台にしたノベルアドベンチャーゲームです。最初の一日目はキャラクターの顔見せ的なものですし、五日目の卒業式はエピローグですので、実質的なゲーム期間は三日間だけです。しかし、各所で的確に回想シーンが挿入されますし、描写もかなり濃いめですので(エロ含む)、決して短いとは感じないはずです。

通常ノベルゲームは主人公の一人称である場合が多いですが、このゲームは三人称で綴られており、主人公の心理だけでなく、ヒロインが何を考えているのかもしっかりと描かれておりますので、より深く物語に没入することができるでしょう。

話は突飛に設定や奇跡のようなものはない(一部例外あり)、よく言えば現実的、悪く言えば地味なものです。キャラデザインを含めて、少女マンガ的かもしれません。基本的に淡々とした物語ですが、卒業まであと僅かという焦燥や寂しさしっかりと描かれているため、卒業を経験してきた人であるならきっと当時の事を思い出して胸が切なくなることでしょう。

また、このゲームでは音楽も印象的です。ジャズの原型になったラグタイムと呼ばれるジャンルの音楽が使用されているのですが、その素朴な音がノスタルジックな雰囲気を醸し出しています(ラグタイムはこちらのホームページで聴くことができます)。

 

最後に。

このゲームははっきり言って地味です。その上、これはD.Oが2001年後期に行った四ヶ月連続リリースの第二弾に当たるのですが、第三弾があの『家族計画』であったがためにまったく話題になりませんでした。

たしかに号泣するような感動があるわけでも、血湧き肉踊る展開があるわけでもありません。しかし、このゲームには学生時代を通過した人であるなら必ずや共感できるものと思われます。そういう意味ではまさに18禁であるべきゲームなのかもしれません。

青春時代の郷愁を味わいたい人にお勧めします。

 

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